Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

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Post-0200

聖騎士女「この件、私達も関わってしまった以上無視もできない。片付くまで付き合おう」
魔法使い「助かります」
騎士「しかし、襲ってくるのを返り討ちにする前提でいうのであれば、この宿屋を使うのも危険だな」
魔法使い「そうなんです。そこで、騎士さんと聖騎士女さんのお力をお借りしたいです」
聖騎士女「ふむ。騎士殿だけでなく私も必要という事は権力が必要なのだね?」
魔法使い「はい。まず不死の4人が安心して過ごせて、かつ周囲に大きな損害を与えない立地の場所に仮住居が必要です。それほど長い見込みではないですが、相手に持久戦をされると待ち受けている側の方が圧倒的に消耗します」
戦士「あ、それはわかる。攻撃する側より守る側の方が圧倒的に大変なんだよな」
騎士「なるほど、では立地については思い当たる場所がある。視界が広く高い場所が理想的だな?」
聖騎士女「つまり、湖の畔の風車塔だな。今管理する人もおらず、それほど古くもない。周囲は開けているし、塔をなぎ倒すような強烈な破術も残っていなさそうだ」
魔法使い「はい、助かります。ただ、あの風車塔は湖の貴婦人の持ち物なので、お借りするにしろ買うにしろコネクションが必要です」
騎士「運がいい。湖の貴婦人は黒騎士殿と懇意の方だ。昔黒騎士殿が貴婦人をお守りした事があったらしくてな。私も黒騎士殿と一緒に何度かお目通りを願った事がある。優しいお方だ、きっと力になって下さる」
魔法使い「本当に助かります。そして、基本的は反撃メインですが、こちらから追わない道理もありません。特に、破術を使う人は破術使いに襲われることは想定しているでしょうが、そうでない者に組織だって襲われる事を想定していないはずです」
禁術複製「そりゃそうだねぃ。情報を漏らさない前提だし、偶然雑魚に絡まれても一撃で終わりだねぃ」
禁術娘「そうだねェ。少なくとも、禁術使い以外に命の危険にあわされた事は無いねェ」
魔法使い「ある意味で当然ですよね。誰だって不死になりたい。術者以外にそれを漏らしたら最初に自分が狙われますから」
盗賊「つまり、俺の出番という事でいいか?」
魔法使い「でも、無理はしないで下さい。僕が<転移>の巻物を2つ作ります。魔法コストの問題でそれ以上作れないですけど、1個あれば盗賊さんなら十分逃げられますよね。<転移>先で待ち伏せの可能性があるので2個作りますが、先に転移先を2つ別々に選んでおいて下さい」
盗賊「そんなお宝があるなら普通の仕事より楽だな」
盗賊娘「じゃあ、私も……」
戦士「すまねえ、目のいい奴が一人必要だから、こっちのフォローしてくんねえか?塔に登っても目が節穴だと何も見つけられねえ」
聖騎士女「そうだな、盗賊娘は特に目が良いからな」
戦士「悪いけど頼まれてくれるか?」
盗賊娘「みんながそう言うなら……」
剣士「私達が下で即応できるよう準備するとして、やはり目のいい者は必要だからな」
術士「むしろ一番キツい仕事だから、頼まれてくれるか?」
盗賊娘「うん。喜んで」

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Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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Post-0198

禁術娘「じゃあ、まず破術を全部集める。として、どうやって集めるんだ、ねェ?」
禁術複製「まあ、なんとなく予想はつくねぃ」
魔法使い「そうですね。さっきの破術使いさんの行動を見ればだいたい分かりますよね」
戦士「???」
魔法使い「破術使いさんは<接続>を求めて王都の破術使いを放逐して、最終的に辺境寄りのこちらに来ました」
盗賊「追いかけて、ではないな。王都で全て片付けて最終的にこっちに来ている」
魔法使い「そうなんです。しかし、これは破術を集めるのには適した方法ではないんです」
僧侶「存在に気づく人数の問題ですか?」
魔法使い「そうです。破術使いが動いたという情報が入れば他の破術使いは身を隠しつつ情報元を仕留めに行くはず」
禁術娘「そうだねェ。情報を漏らす馬鹿は闇討ちするのが定番だよねェ」
禁術複製「だからこそ破術を見せる時は周囲を片付けるか、記憶を操作しないといけないんだよねぃ」
魔法使い「そうです。なのにあの破術使いさんはそんな事をせず悠々と追ってきた」
禁術娘「まあ舐めてるのんもあるんだろうけどね」
禁術複製「魔法使いの人を舐めたとしても、情報が漏れて困るのは自分だねぃ。つまり」
魔法使い「はい。こちらから王都方面にかけて、もう破術使いはいないはずです。そして、これはもう一つの情報と整合します」
禁術娘「整合?」
魔法使い「はい。<伝播>は使われたのを観測された事がない。つまり誰が持っているかわからない。それが眠るのはどう考えても古代魔法文明の遺跡です。しかし今までに見つかっていないものが簡単に見つかるかというと、それは難しい。ですが」
禁術複製「みんな知ってるねぃ。辺境に、今まで見つかった事の無い、大きな古代魔法文明の遺跡があったと」
禁術娘「そうだね、正直、まほクンを引っかけたのはそれが目的だったのさ。何か知ってるんじゃないかって」
魔法使い「あはは、でしょうね。そんな事でも無ければ僕が女の子から声をかけられるなんて一生ないでしょうから」
禁術娘「……。それは、違うよ……」
魔法使い「ありがとうございます。優しいんですね。大丈夫です、傷ついてませんから」
禁術娘「違うよ、優しいのは……」
禁術複製「魔法使いの人にお義兄さんって言われる流れかねぃ?」
禁術娘「ブチ殺すよクズ」
禁術複製「クズに戻されたねぃ」
魔法使い「なので、おそらくこの騒動で残った破術持ちが活発化します」
禁術複製「あの破術使いを白髪の人に渡したのは失敗だったかねぃ?不死じゃない以上簡単に吐くねぃ」
魔法使い「大丈夫です、あの破術使いさんもう1つ唯一の破術持ってるはずですから」
禁術娘「アハハ、本当に頭がいいね」
魔法使い「ですよね。不死である事でチャンスが1回生まれる以上、手詰まりになるまではラスト1個は使いませんよね」
禁術複製「みんなそうするよねぃ」
僧侶「ですがナンバー1は不死性が失われたと……」
魔法使い「ナンバー1さんがどうやって不死性を判断しているのかはわかりませんが、僕たちに対するブラフですよね」
騎士「おいおい」
魔法使い「いえ、ナンバー1さんが常に正しく常に最悪ならば、破術使いさんは引き渡して正解のはずです。なにか理由があって嘘をついてまで引き取ったんです。おそらく、用が終われば本人か、あるいは破術だけ帰ってくるはずです」
禁術娘「ま、まほクン?」
魔法使い「可哀想だとは思いますし、申し訳ないとも思います。でも、彼は裁かれなければならないし、不死を裁くのは神殿の仕事です」

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Post-0196

禁術複製「終わらせる?」
禁術娘「破術争奪戦を?」
魔法使い「確実ではないんですけど、試す価値はあると思います。じゃあ、どうやって破術を集めるかを考えましょう」
禁術複製「どうやって終わらせるんだよねぃ?」
禁術娘「まほクンは、まず集める、その後危ない部分を修正して広める、って言ったねェ?」
魔法使い「そうですね。まず、前提として争奪戦に参加している人、みんな勘違いをしているんです」
禁術娘「勘違い?」
魔法使い「破術を全部集めたい、と不死を守りたい、の2つを守る場合、参加者全員を殺すのは一つの答えですが、最適解ではないんです」
禁術複製「最適解ではない?どういう意味なんだねぃ?襲ってくるのは全部殺せばいいよねぃ?」
魔法使い「そうとも限りません。まず、不死を確保するために自分しか知らない破術を1つ持っておく事自体は意味があります」
禁術娘「そうだねェ」
魔法使い「しかし、人から破術を奪った後、相手を殺す必要は無いんです」
盗賊「それだと取り返そうとして後で襲ってくるぞ」
魔法使い「そうです。だから、襲ってくる前に他に広めればいい。そうすれば知ってる人間が3人、相手は1人ですがこっちは2人です。その2人が手を組めばもっと楽に身を守れます」
騎士「しかし、それだと全ての破術を集められないな」
魔法使い「そこです。逆に言えば、集める瞬間までは手を組んだ方がいいし、最終的な判断は独占するために殺し合うか、不死を捨てて全員が全ての破術を得るかです。今の戦い方だとその選択肢がない」
禁術娘「つまり、まほクンと組めば、不死は捨てる事になるけど、全ての破術を集めることができる、って事だねェ?」
魔法使い「そうです。そして、不死自体は魔法使いなら別の手段で達成できる」
禁術複製「不死を達成?」
魔法使い「厳密には不死ではありませんが、極限まで死なない形を作ることができる。それを越えて生きたいなら、いつか全ての生命が失われて荒廃のみが残るという『黄昏の後』で永遠に一人で生きる事になります」
禁術娘「みんな死んだ後、誰もいない世界に自分だけ……。それは、生きていて嫌になるかもねぇ……」
魔法使い「そうなったとき、もう破術を教える相手もいない。詰みです。そんなのがいい人生なわけがない」
禁術複製「ちょっと、ぞっとしないねぃ」
魔法使い「ね。その前提なら殺し合わない選択肢があるんです」

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Post-0194

魔法使い「禁術娘さん、禁術複製さん。今知られている破術について教えてください」
禁術複製「俺っちが説明」
禁術娘「アンタは自分に都合良く説明するだろ。アタシがするよ」
禁術複製「あれ、クズって言わなかったねぃ?」
禁術娘「痛い目に遭いたくなければ黙ってな」
禁術複製「はいはい」
禁術娘「破術は4門4術で16種類。創造門は<創造><伸縮><複写><転質>、移送門は<引力><接続><置換><整地>、操作門は<分離><固定><促進><還元>、魔力門は<透過><蓄積><均衡><伝播>だよ」
戦士「なんかの試験かよ」
盗賊「実際試験だな」
魔法使い「えーと、<創造>がさっきの破術使いの棘、<伸縮>もさっきの破術使い、<複写>が禁術複製さん、<接続>が魔術師さん、<置換>が禁術娘さん、<整地>が<破城の鉄槌>で合ってますよね?」
戦士「何言ってるのか全然わからねえ」
禁術複製「あってる。さすがまほクンは頭がいいねぃ」
魔法使い「じゃあ残り10個ですよね。あと、<固定>っていう魔法はありますよね?」
禁術娘「今使われている<固定>の源流だねェ。こっちは魔法だけじゃなく全ての状態を固定する」
魔法使い「ということは、動きを完全に止められる?」
禁術複製「ご明察。そうだと言われてるねぃ」
魔法使い「では、存在が確認できていない破術ってこの中にあります?」
禁術複製「<伝播>が使われた事実は確認できないねぃ」
魔法使い「どういう破術ですか?」
禁術娘「何かの状態を伝染させる術だって言われてるねェ」
魔法使い「……!なるほど。他は実在が確認できているんですよね?もうちょっと詳しく教えて頂ければ、多分、終わらせられる……」
禁術複製「終わらせる?」
禁術娘「破術争奪戦を?」
魔法使い「確実ではないんですけど、試す価値はあると思います。じゃあ、どうやって破術を集めるかを考えましょう」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0191

禁術娘「さて。この男、不死を奪ったとしても、破術自体は持っている、ねェ。詠唱破棄できるなら拘束もあまり意味がない、ねェ」
禁術複製「じゃあ、魔法使いの人が来る前に処しちゃうかねぃ?」
術士「駄目だな、俺たちがもういる」
剣士「つまり、詠唱破棄すらさせなければいいのだろう?私に任せてくれ。身体か魔力かが動いた瞬間に意識を刈り取る」
禁術娘「刈り取る……?何者……?」
術士「あー、俺が知る中で世界で一番技術の高い剣士だよ。総合力で並ぶ者はいるが技術で並ぶ者は見た事がないな」
盗賊娘「うん、剣士さんが任せろ、というなら、それはもう大丈夫だよ。私でも1秒で意識を落とさせる事ができるから、剣士さんなら本当に一瞬だよ」
剣士「あまり褒めてくれるな。慢心してしまう」
術士「そういう堅苦しい奴だから油断もしねえしな」
盗賊娘「……うふふ」
禁術娘「……なんか毒を抜かれちまった、ねェ。アンタらみんなこんな感じなのかい?」
術士「みんな気負う必要がないくらいには鍛錬してるしな。が、それはあんたらも一緒だ。死なないのに何をそんなにカリカリしてるんだ?」
禁術複製「本当に死なないならねぃ。殺す方法が確立してる不死なんて不死じゃないねぃ」
禁術娘「……そうなんだよね。アタシらは人と違って寿命で死なない。争奪戦に敗れ、拷問され、術式を吐かされて死ぬ、しか死に方が選べないんだよ、ねェ」
盗賊娘「……そうなんだ。きっと、戦士さんなら『望まない運命を押しつけてくる奴なんてぶん殴られて当然だ』って言うよ」
禁術娘「あの馬鹿っぽいのが?」
剣士「ははは!彼は真っ直ぐだが、だからこそ最短距離で答えにたどり着く。実際、君もその運命についてそう思っているのでは?」
禁術娘「……そうかも、ね」

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Post-0189

魔法使い「では、不死ではなくなったところで建設的な話し合いをしませんか」
破術使い「そ、その前に他の奴らをどかしてくれ。この男もこの女も破術使いなんだろ」
魔法使い「ええ、ちょっと下がって頂けますか、禁術娘さん、禁術複製さん?」
禁術娘「いいけど、ねェ」
禁術複製「まあ、口車に乗らないようにねぃ」
魔法使い「これでいいですか?」
破術使い「もちろん。いいに、決まってる!<伸縮>!」
盗賊「おお、手を伸ばして酒場の外の物を掴んで、手を縮ませるのか。一瞬で移動できるな」
禁術娘「やっぱり、ねェ」
禁術複製「そうなるよ、ねぃ」

破術使い「やったぞ!って、何故女と男がここにいるんだ!?」
禁術娘「移動先の空気とアタシを入れ替えたんだよ、ねェ」
禁術複製「はは、術を複製させて貰ったねぃ。もう馬鹿の人しか<伸縮>が使えないわけじゃない。今度こそ本当に不死じゃないねぃ」
破術使い「くそ、くそッ!」
禁術娘「この段階まで生きてる奴が破術を一つしか持っていないわけがない、ねェ」
禁術複製「この段階まで生きてる奴が破術を一つしか持っていないわけがないねぃ」
禁術娘・禁術複製「……」

ナンバー1「不死の気配が1人分減った。あまりその術を広めて欲しくないのだが……」

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Post-0188:

偽聖騎士「オレは外を見てくるよ。まあ見る必要もないとは思うが。ちょっとマントを持って行く」

偽聖騎士「これは、酷いな。ほぼ原型を留めていない。可哀想だが人を殺そうとするという事はそういう事だ。せめてマントで隠してやろう」
偽聖騎士「ん……?関節が動いて……?そうか、これでも死なないのか。そしてゆっくり治っていく……」
偽聖騎士「すまない、見世物にするのは心苦しい。運ばせて貰うぞ。よいしょっと」

偽聖騎士「彼を連れてきた。治るまでにはしばらくかかるだろう。話を聞くなら僧侶君に治して貰いたいのだが」
禁術娘「はぁ、はぁ。放っておいてもゆっくり治るよ。治してやる必要なんてない」
偽聖騎士「しかし感じないで良い苦痛があるなら助けてやるべきでは?」
禁術娘「今まさにアタシがこのクソ野郎に感じないで良い苦痛を貰ったよ、ねェ」
偽聖騎士「その報いは今受けている。殺すなら少ない苦痛で殺すべきだし、助けるなら早く助けるべきだ」
禁術娘「クソ熱い奴だねェ……。嫌いじゃないんだけど、近くにいて欲しくない、ねェ」
偽聖騎士「それは済まなかった」
禁術複製「で、この襲撃者の人はどうするんだねぃ?魔法使い先生」
魔法使い「先生じゃないですけどね……。呪術女さん、この人が魔法を使えないように歌って貰えますか?」
呪術女「無論。あーるるぅあぇー」
魔法使い「じゃあ、オリジナルの人からヒントを貰った、便利魔法の悪い使い方をしましょう。僧侶さん、治して貰って大丈夫です。戦士さんは暴れたら取り押さえてください」
戦士「おうよ」
僧侶「わかりました。<治癒>」
魔法使い「では、僕とあなただけに、<対話>。持っている破術の情報、思い出してくださいね!」
破術使い「四門四術の創造門<創造>」
魔法使い「四門四術の移送門<整地>」
破術使い「……!くそッ、思考を読まれた……!しかし俺の<創造>を奪われたが、お前の<整地>を貰った!」
魔法使い「そう、これで二人とも不死ではありませんね……」
破術使い「ま、待て。話をしよう」
魔術師「仲間を散々殺しておいて、自分だけ死にたくないだと!?ふざけるな、<接続>で体内を深海につなげてやる!」
盗賊「ちょっとごめんよ」
魔術師「うっ……(倒れる)」
盗賊「ヤバい術持ち多いんだよ……」

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