Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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#ちょっとズレてるお人好しども
#破術争奪戦編

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Post-0198

禁術娘「じゃあ、まず破術を全部集める。として、どうやって集めるんだ、ねェ?」
禁術複製「まあ、なんとなく予想はつくねぃ」
魔法使い「そうですね。さっきの破術使いさんの行動を見ればだいたい分かりますよね」
戦士「???」
魔法使い「破術使いさんは<接続>を求めて王都の破術使いを放逐して、最終的に辺境寄りのこちらに来ました」
盗賊「追いかけて、ではないな。王都で全て片付けて最終的にこっちに来ている」
魔法使い「そうなんです。しかし、これは破術を集めるのには適した方法ではないんです」
僧侶「存在に気づく人数の問題ですか?」
魔法使い「そうです。破術使いが動いたという情報が入れば他の破術使いは身を隠しつつ情報元を仕留めに行くはず」
禁術娘「そうだねェ。情報を漏らす馬鹿は闇討ちするのが定番だよねェ」
禁術複製「だからこそ破術を見せる時は周囲を片付けるか、記憶を操作しないといけないんだよねぃ」
魔法使い「そうです。なのにあの破術使いさんはそんな事をせず悠々と追ってきた」
禁術娘「まあ舐めてるのんもあるんだろうけどね」
禁術複製「魔法使いの人を舐めたとしても、情報が漏れて困るのは自分だねぃ。つまり」
魔法使い「はい。こちらから王都方面にかけて、もう破術使いはいないはずです。そして、これはもう一つの情報と整合します」
禁術娘「整合?」
魔法使い「はい。<伝播>は使われたのを観測された事がない。つまり誰が持っているかわからない。それが眠るのはどう考えても古代魔法文明の遺跡です。しかし今までに見つかっていないものが簡単に見つかるかというと、それは難しい。ですが」
禁術複製「みんな知ってるねぃ。辺境に、今まで見つかった事の無い、大きな古代魔法文明の遺跡があったと」
禁術娘「そうだね、正直、まほクンを引っかけたのはそれが目的だったのさ。何か知ってるんじゃないかって」
魔法使い「あはは、でしょうね。そんな事でも無ければ僕が女の子から声をかけられるなんて一生ないでしょうから」
禁術娘「……。それは、違うよ……」
魔法使い「ありがとうございます。優しいんですね。大丈夫です、傷ついてませんから」
禁術娘「違うよ、優しいのは……」
禁術複製「魔法使いの人にお義兄さんって言われる流れかねぃ?」
禁術娘「ブチ殺すよクズ」
禁術複製「クズに戻されたねぃ」
魔法使い「なので、おそらくこの騒動で残った破術持ちが活発化します」
禁術複製「あの破術使いを白髪の人に渡したのは失敗だったかねぃ?不死じゃない以上簡単に吐くねぃ」
魔法使い「大丈夫です、あの破術使いさんもう1つ唯一の破術持ってるはずですから」
禁術娘「アハハ、本当に頭がいいね」
魔法使い「ですよね。不死である事でチャンスが1回生まれる以上、手詰まりになるまではラスト1個は使いませんよね」
禁術複製「みんなそうするよねぃ」
僧侶「ですがナンバー1は不死性が失われたと……」
魔法使い「ナンバー1さんがどうやって不死性を判断しているのかはわかりませんが、僕たちに対するブラフですよね」
騎士「おいおい」
魔法使い「いえ、ナンバー1さんが常に正しく常に最悪ならば、破術使いさんは引き渡して正解のはずです。なにか理由があって嘘をついてまで引き取ったんです。おそらく、用が終われば本人か、あるいは破術だけ帰ってくるはずです」
禁術娘「ま、まほクン?」
魔法使い「可哀想だとは思いますし、申し訳ないとも思います。でも、彼は裁かれなければならないし、不死を裁くのは神殿の仕事です」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0188:

偽聖騎士「オレは外を見てくるよ。まあ見る必要もないとは思うが。ちょっとマントを持って行く」

偽聖騎士「これは、酷いな。ほぼ原型を留めていない。可哀想だが人を殺そうとするという事はそういう事だ。せめてマントで隠してやろう」
偽聖騎士「ん……?関節が動いて……?そうか、これでも死なないのか。そしてゆっくり治っていく……」
偽聖騎士「すまない、見世物にするのは心苦しい。運ばせて貰うぞ。よいしょっと」

偽聖騎士「彼を連れてきた。治るまでにはしばらくかかるだろう。話を聞くなら僧侶君に治して貰いたいのだが」
禁術娘「はぁ、はぁ。放っておいてもゆっくり治るよ。治してやる必要なんてない」
偽聖騎士「しかし感じないで良い苦痛があるなら助けてやるべきでは?」
禁術娘「今まさにアタシがこのクソ野郎に感じないで良い苦痛を貰ったよ、ねェ」
偽聖騎士「その報いは今受けている。殺すなら少ない苦痛で殺すべきだし、助けるなら早く助けるべきだ」
禁術娘「クソ熱い奴だねェ……。嫌いじゃないんだけど、近くにいて欲しくない、ねェ」
偽聖騎士「それは済まなかった」
禁術複製「で、この襲撃者の人はどうするんだねぃ?魔法使い先生」
魔法使い「先生じゃないですけどね……。呪術女さん、この人が魔法を使えないように歌って貰えますか?」
呪術女「無論。あーるるぅあぇー」
魔法使い「じゃあ、オリジナルの人からヒントを貰った、便利魔法の悪い使い方をしましょう。僧侶さん、治して貰って大丈夫です。戦士さんは暴れたら取り押さえてください」
戦士「おうよ」
僧侶「わかりました。<治癒>」
魔法使い「では、僕とあなただけに、<対話>。持っている破術の情報、思い出してくださいね!」
破術使い「四門四術の創造門<創造>」
魔法使い「四門四術の移送門<整地>」
破術使い「……!くそッ、思考を読まれた……!しかし俺の<創造>を奪われたが、お前の<整地>を貰った!」
魔法使い「そう、これで二人とも不死ではありませんね……」
破術使い「ま、待て。話をしよう」
魔術師「仲間を散々殺しておいて、自分だけ死にたくないだと!?ふざけるな、<接続>で体内を深海につなげてやる!」
盗賊「ちょっとごめんよ」
魔術師「うっ……(倒れる)」
盗賊「ヤバい術持ち多いんだよ……」

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Post-0187:

禁術娘「アハハ、まほクン、痛いよ、ねェ。早く、棘を、消して」
魔法使い「棘を消しながら治さないと、大量に血が出ます」
禁術娘「出ても死なないよ。早く、消して」
魔法使い「僧侶さん、お願いします。凱旋の歌に合わせて、一、二、三。<消滅>」
僧侶「<治癒>」
聖騎士女「本当に連携が上手い。惚れ惚れするな」
禁術複製「じゃあ俺っちは……」
魔法使い「あなたは動かないでください」
禁術複製「俺っちなら楽勝で情報を抜けるねぃ」
魔法使い「知ってます。<複写>で本人を増やした後で<支配>するんでしょう?駄目です」
禁術複製「手っ取り早いんだけどねぃ」
盗賊「それで増やした奴をどうするんだよ?」
禁術複製「まあ、いなくなってもらうねぃ」
魔法使い「複製された人だって人間です。それを殺すなら殺人だ。殺さずに勝つのが最低条件です」
禁術複製「っと、それは、俺っちを人間として認めてくれるって事?」
魔法使い「当たり前じゃないですか」
禁術複製「こっちは君の事わりと好きだねぃ」
魔法使い「あはは、オリジナルにも言われました」

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Post-0186

ナンバー1「そして僧侶、今面白い事に巻き込まれているね?」
僧侶「まあ、確かにそうです」
ナンバー1「匂いで分かる。定命の定めに逆らっている者がこの場に3人、そして近くに1人いる」
禁術娘「……!」
禁術複製「妹ちゃん、駄目だ。この女に手を出したら、終わるねぃ。見なよ、上半身を揺らしてる。片目だから距離感ないのを、頭の位置を変えて見てるねぃ」
ナンバー1「ほう。わかるか」
禁術複製「三角測量だねぃ。実践でやってる奴は初めて見たねぃ」
ナンバー1「まあ種が割れて困るような手品でもない。君と君が不死だね?」
禁術娘「……!なんで、わかるん、だい?」
ナンバー1「人は無意識に心臓を守ろうとする。が、君らにはその動作がない。つまり、心臓がどうでもいいくらいに死なない事に慣れている。もう一人は心臓を守っているな。まだ不死になって短いか」
禁術娘「……くそっ」
ナンバー1「まあそれはどうでもいい。懺悔して、神に死を賜るか?私にはできるが」
禁術複製「冗談じゃないねぃ。生まれたばっかり、自由になったばっかりで死なんか賜ってられないねぃ。それに神の術でも死ねるとは思わないねぃ」
ナンバー1「そうか、なら構わないが」(一息に踏み込み、抜いた剣で二人の心臓を串刺しにする)
禁術複製「ぐっ!」
禁術娘「ぎゃっ!」
ナンバー1「この足なら踏み込みも十分だ。そして、本当に2人とも心臓を貫いても死なない。不死か……」
僧侶「何という事を……!」
ナンバー1「死なないのだから構うまい。神の摂理には反するが、実際に存在し、そして負の生命でない以上特段対処の必要もないな」
戦士「一応そいつら、俺らのお客さんだからよ、これ以上暴れるのはやめて貰えるか?」
ナンバー1「失礼した。では、後ろの一人には手を出さないでおこう。対処は任せた。私は自分の身を守れるからご自由に」
破術使い「破ァ!<魔力遮断>があるなら越えてから使えばいいんだよ!<呪禁の棘>!」
禁術娘「まほクン、遮断するな!オイタはいけない、ねェ。」
魔法使い「禁術娘さん……!」
禁術娘「アハハ、アタシは不死なんで、ねェ。痛くても根性があれば術は使える。破術持ち複数相手に突撃なんて馬鹿のする事だよ。<置換>」
戦士「それは根性と違うだろ……」
盗賊「敵の姿が消えた!?」
外の声「人が降ってきたぞー!むごい、ぐしゃぐしゃだ」
禁術娘「アハハ、空高くの空気と入れ替えてやった。奴が治るまでかなり時間がかかるねェ。奴が治る前にまほクンと僧侶さん、アタシから棘を消してくれる……?」
魔法使い「わかりました!でも、そういうやり方、やめて下さい。心が痛みます……」
禁術複製「でもまあ、こういう戦い方できると強いんだよねぃ。どんな奴でも痛みは避けようとする。そこで止まらない奴は一歩先を行けるんだよねぃ」
魔法使い「あなたは、黙っていて下さい。あなたまで嫌いになりそうだ」
禁術娘「まほクンに嫌われちゃったか、ねェ……」
魔法使い「そんな事ないです。僕が言ってるのはオリジナルに加えて禁術複製さんも、という意味です」

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Post-0185

ナンバー1「すまない、取り込み中のようだが失礼してもいいだろうか」
僧侶「ナ、ナンバー1さん……」
ナンバー1「久しいな。息災だったか?」
僧侶「は、はい。しかし、あなたは失意のシスターを再度戦場に送った……」
ナンバー1「人聞きの悪い。確かに頼んだのは私だが強制はしていないし、そもそも私は彼女に対する指揮権を持たない」
僧侶「そ、それはそうですが」
ナンバー1「最も合理的な手段で、最も失敗しない手段だった。実際、部隊にも彼女にも損害は発生していない」
僧侶「しかし……」
ナンバー1「これは私と彼女の問題だ。彼女が不平を漏らすなら対応する。が、君には直接の影響はなかったはずだ」
僧侶「……は、はい。あなたは常に正しい。が、常に最悪だ」
ナンバー1「どちらも褒められたものと受け止めよう。ところで、頼みがあるのだが」
僧侶「私に……ですか?」
ナンバー1「そうだ。聖堂騎士ではなく僧侶の君に頼みがある。私の左足を生やして欲しい」
僧侶「……すみません、<再生>は塞がった傷には効かないんです」
ナンバー1「使えるなら使う意思があるという事だな。なら、報酬はあのシスターの教会を神殿直轄にして公に資金を注入する。これは神殿の総意だ」
僧侶「すみません、今回はお役に立てないんです」
ナンバー1「立てる。見ていろ」
僧侶「!?」
ナンバー1「塞がった足を一寸ほど落とした。さあ<再生>を使ってくれ。さもなければ私は失血する」
僧侶「なんという無茶を……!<再生>!」
ナンバー1「なるほど、<再生>をされると傷口がむずがゆくなるのだな。これは知見だ。あっという間に足が生えるな」
禁術娘「うわー。アレはアタシ達の傷が治るのと一緒だねェ。でもあっちの方がはやいねェ」
禁術複製「俺っち達の治るのはある意味『怪我の拒絶』だからねぃ。治すんじゃなくて『ゆっくり元に戻る』感じだよねぃ」
僧侶「これで十分なはずです」
ナンバー1「ふむ。義足なしで地面を踏めるのは久々だ。これで、一カ所、増えたな」
僧侶「なにが、ですか?」
ナンバー1「まあ、今のところは手足が一カ所増えたと思っておいてくれ」
僧侶「……はい」
ナンバー1「そして僧侶、今面白い事に巻き込まれているね?」

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Post-0182

聖騎士女「すまない、失礼する。僧侶と魔法使いはいるだろうか。訳を聞かずまず助けて欲しい」
禁術娘「……?」
聖騎士女「……!?禁術使い……!動くな!動けば斬る!」
禁術複製「両手をあげるから勘弁して欲しいねぃ。まあ詠唱破棄できるから手を上げてても魔法は使えるんだけどねぃ」
聖騎士女「それを言って斬られる可能性もあるのにそれを言う判断ができるなら迂闊な事はしないな。しばらく手をあげていてくれ」
禁術複製「ありがたいねぃ。知らない美人さんだけど身のこなしが洒落にならないから事を構えたくないねぃ」
聖騎士女「すまない、僧侶と魔法使い、助けて欲しい相手は酒場に入って来られないので表に出て貰えるだろうか?」
僧侶「あ、はい。もちろん」
魔法使い「すみません、禁術娘さん、ちょっと出ますね」
戦士「禁術複製は見張っておくな。ただ死なねーなら、何やっても逃げられるかもな」
魔法使い「あはは、そもそも熟練の魔法使いなら詠唱破棄で<転送>使って逃げるので何しても無駄ですね」
盗賊「そんな事ができるのか……」
魔法使い「盗賊さんが詠唱破棄で<転送>使えるようになったら誰より先に探知して逃げられるので洒落にならないですね」
盗賊「はは、これから魔法を覚えてそこまで磨く前に寿命が来るな」
魔法使い「あはは、じゃあちょっと行ってきます」

偽聖騎士「すまない、この人を助けてくれる僧侶君と魔法使い君か。恩に着る」
男「あああああ!あああああ!棘を、消して、くれ!」
僧侶「酷い……。致命傷です。助からない……」
魔法使い「こんな、ひどい。これは、魔法ですか……?」
聖騎士女「明らかに致命傷だが、彼はずっと死なないで今に至る。棘を<消滅>させつつ<治癒>をかけて貰えないだろうか?」
僧侶「なるほど、それなら。助かる可能性があるなら何でもします」
魔法使い「つまり、内側から<消滅>させながら<治癒>するという事ですね。先に外を消すと失血で死にます……」
偽聖騎士「そうするのか。頼む」
魔法使い「ですが、中が見えない以上<消滅>で内臓が削れます。<治癒>が間に合っても相当痛いですよ」
聖騎士女「見ての通り彼は既に地獄の悶絶の中だ。多少痛みを増しても最終的に消える方が良いはずだ」
偽聖騎士「彼は錯乱していて判断ができない。が、叫んでいるように棘を消して欲しいと望んでいる。俺からも頼む」
魔法使い「わかりました。じゃあ、僧侶さん、息を合わせましょう。凱旋の歌のリズムで1、2、3、<消滅>!」
僧侶「<治癒>!」
偽聖騎士「凄い連携だ……」
聖騎士女「王国広しと言えど、この連携ができる高位の術者は両手の指で数えられるだろうな」
偽聖騎士「君がこの酒場を選んだ理由がわかるよ」
僧侶「さぁ、傷は癒えました。もう痛みはないですか……?」
男「た、助かった……。ありがとう。本当にありがとう」

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Post-0181

禁術複製「ありがたいねぃ。俺っちは破術の争奪戦には興味ないんだよねぃ。でも放置すると襲われる」
禁術娘「当たり前だよ、ねェ。誰も知らない破術持ってるんだろ。じゃあ取られる」
禁術複製「そうなんだよねぃ。しかし死なない事には争奪戦から離脱できないし、死んだらおしまいなんだよねぃ」
魔法使い「禁術複製さんが<複写>を知っているなら、自分をコピーして増やせば戦力になるのでは?」
禁術複製「誰だってそう思うよねぃ。<複写>はさ、何でも複写できるけど、人間を複写した時は別途<支配>しないと言う事聞かないよねぃ」
魔法使い「ああ、なるほど」
禁術複製「誰だって思うよねぃ。目の前に本人がいるなら入れ替わっちゃえばいいんだって。だから人間をコピーしたら最初にするのは<支配>だよねぃ」
魔法使い「つまり、増やした分だけ<支配>を維持しないといけない。そうすると増やせば増やすほど維持コストがかかる」
禁術娘「そう、結局増やすところで1人や2人。でも、コピーが<複写>を使えば、そのコストはコピー持ちだよ、ねェ」
禁術複製「残念ながらコピーの魔法コストは本人の空きコスト依存なんだよねぃ。だからオリジナルが消えるまでは俺っちもコストが少なかった」
禁術娘「……今は、コストが開いてて魔法が使える、って言うんだ、ねェ」
禁術複製「身構えないでいいねぃ。どうせどっちも不死、やり合ってる間に横やりが入るのが一番マズいねぃ。やるなら酒場に入る前に酒場ごと消してるねぃ」
禁術娘「で、アタシとまほクン達、どっちに用事なんだい?」
禁術複製「話が戻って助かるねぃ。実際どっちも用があるから一緒にいてくれて助かるねぃ」
騎士「我々にも用がある……だと?」
禁術複製「もちろん。本人から解放してくれたお礼と、あと、お願いがあってねぃ」
騎士「僧侶が言うとおり、話だけは聞こう」
禁術複製「まず妹ちゃんにお話するねぃ。二人で組んで、破術争奪戦から降りよう」
禁術娘「はぁ……?今降りるって言った?」
禁術複製「言ったねぃ。本人は破術を集めていたけど、俺っちはどうでもいいんだねぃ。俺っちレベルの術士が簡単に死ぬなら破術なんて集めてる場合じゃないねぃ。俺っちはまだ死にたくないねぃ。なら、俺っちしか知らない破術を持ったまま争奪戦から離脱したいねぃ」
禁術娘「都合の良い事を……!」
禁術複製「わがままだって言うなら不死は手放してもいいねぃ。いつ襲われて拷問されて奪われて殺されるかがわからない、っていうのは、実際『死なない』とはほど遠いねぃ」
禁術娘「クズだって、あれから何人も奪って殺してきたんだろう……!?」
禁術複製「本人が消えるまではねぃ。でもそれは俺っちが殺そうとしての事じゃない。支配されてやった事だねぃ。それに参加している奴はみんなそれを承知だねぃ」
禁術娘「クズと話す事はないねェ。どこかで野垂れ死にな」
禁術複製「クズって言われると傷つくねぃ。僧侶の人、ちょっと助け船出してくれないかねぃ?」
僧侶「支配が呪いによるものなら、その命令に逆らうのは至難の業ですね。おそらく解除しようとしない事も含めて命令されているでしょうから、打つ手はほぼなかったんじゃないかとは思います」
禁術複製「本当に助かるねぃ。そして本人が<支配>を使える以上、俺っちも<支配>が使えるねぃ。個別で遭遇して初手で<支配>使えば妹ちゃんは言うこと聞くしかなかった。それをしなかった事を評価して欲しいねぃ」
禁術娘「考え方はクズそのものなんだねェ」
禁術複製「まあそのクズの複写だからねぃ。でも俺っちは本人と分かれて別の道を歩いているねぃ」
禁術娘「悪人が更生したっていう自己申告を信じる馬鹿がいるとでも思ってるのかねェ……?」
禁術複製「目覚めた瞬間に『お前は偽物だ』『偽物だと分かるように喋れ』『命令に従って破術を奪って人を殺してこい』って言われて、疑問に思わない人間っているのかねぃ?複写された瞬間は本人と同じかもしれないけど、初手でもう本人とは違う運命なんだよねぃ」
禁術娘「……やっぱり、信じられない。アンタは無表情でアタシを『いじった』クズ本人にしか見えない」
禁術複製「まあ、しょうがないねぃ。ただ、一緒に降りたくなったら言って欲しいねぃ。妹ちゃんは争奪戦嫌いでしょ?」
禁術娘「クズも嫌いだよ」

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Post-0180

戦士「で、結局よくわからねえんだけど、何をどうすればいいんだ?」
禁術娘「アハハ、正直どうすればいいかわかんない、ねェ。実際争奪戦から降りられるなら降りたいんだけど、降りるって事は死ぬって事だ、ねェ」
魔法使い「そうなんですよね。結構条件が複雑なんです」
盗賊「複雑、か」
禁術娘「その術を知る唯一の者は死なない」
魔法使い「あ、禁術娘さん、痛いのに見せなくていいです。みなさん、彼女本当に死にません」
騎士「魔法使いがそういうならそうだな。死なないのだろう」
禁術娘「信じるのかい」
騎士「本当に魔法使いが騙されるのであれば我々が疑っても騙される。死なないというのが真実である方がよほど説得力がある」
禁術娘「術を奪えば知っている者が1人ではなくなり、殺せるようになる、ねェ」
盗賊「奪い合いに参加している以上、殺せるなら殺すな。そうすれば自分が死なないようになる」
魔法使い「そうです。見逃したとしてまた襲いかかってくる恐れがありますから」
僧侶「そうなると、例えば魔法などでその術自体を忘れるというのはどうでしょうか……?」
禁術娘「もちろん試したよ。そういう呪文は効かないんだ。多分唯一知る者がその術を忘れる事で術自体が失われる事を防いでる、ねェ」
僧侶「そうなると、術を知ってしまった時点で脱落ができない……」
魔法使い「そうなんです。だからすべきなのは『誰も殺さずに争奪戦に勝つ』と同時に『争奪戦の結果得られたものを公開する』です」
戦士「……?意味が今ひとつわかんねえ」
術士「つまり、破術争奪戦の主眼は破術の希少性。それを集めて奥義に至り、不死とその奥義で支配者になりたいって事だろ。なら、少なくとも破術と奥義が広まれば希少性がなくなる。そして破術を知る者が増えれば増えるほど不死になる事が難しくなる」
魔法使い「まあ、ただ広めるだけだと無差別攻撃魔法が広がってしまうので、そのあたりを上手くアレンジしたものが広まるのが理想的ですよね」
禁術娘「ま、そういう事、だねェ。ただ、不死に術を吐かせるにはちょっと手荒な事をする必要があるよ、ねェ」
魔法使い「いえ、それについてはあなたのおにいさんが便利魔法の凄い応用を教えてくれたので大丈夫です」
禁術娘「あの、クズが……?」

???「おーう妹ちゃん、お兄様をクズ呼ばわりとは俺っち、ちょっと悲しいねぃ」
全員「!?」
呪術女「あーるるるるるぅあぇー」
戦士「ちょっと痛えぞ」
騎士「前線は前に、他は横に散ってくれ!」
術士「詠唱破棄!<魔力消失>待機!」
魔法使い「禁術娘さん、横に!」
禁術娘「クズが死んだって嘘じゃないか……!」
???「避ける必要ないねぃ」
禁術娘「ナイフを避けない……?って、違うね、アンタ誰だい?」
???「心臓にナイフ刺しながら言う台詞じゃないねぃ。普通死ぬねぃ」
禁術娘「クズは自分の事俺っちなんて言わないんだよ」
???「そりゃそうだ。複写は分かるように名乗れって言われたからねぃ。そろそろナイフ抜いてくれないかねぃ?」
魔法使い「死なないって事は唯一の破術持ちですね」
???「そうだねぃ。特別に教えてあげるよ。<複写>だねぃ。まあオリジナルが消えたから俺っちが不死になったんだけど」
禁術娘「で、何しに来たんだ、クズの模写」
禁術複製「可愛い妹にそう言われると心が痛むねぃ」
禁術娘「散々人で実験しておいてよく言うよ」
禁術複製「やったのはオリジナルで俺っちは別人。偶然同じ記憶を持ってるだけの双子だねぃ」
戦士「いちいち腹立つな」
禁術複製「いやいや、俺っちなにも悪さしてないねぃ。初対面という事で穏便にはいけない感じ?」
僧侶「あまりにも難しい判断ですが、まずお話を伺いましょう」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

追って加筆修正し、以下まとめサイトに掲載します!
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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。