Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#破術争奪戦編

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Post-0200

聖騎士女「この件、私達も関わってしまった以上無視もできない。片付くまで付き合おう」
魔法使い「助かります」
騎士「しかし、襲ってくるのを返り討ちにする前提でいうのであれば、この宿屋を使うのも危険だな」
魔法使い「そうなんです。そこで、騎士さんと聖騎士女さんのお力をお借りしたいです」
聖騎士女「ふむ。騎士殿だけでなく私も必要という事は権力が必要なのだね?」
魔法使い「はい。まず不死の4人が安心して過ごせて、かつ周囲に大きな損害を与えない立地の場所に仮住居が必要です。それほど長い見込みではないですが、相手に持久戦をされると待ち受けている側の方が圧倒的に消耗します」
戦士「あ、それはわかる。攻撃する側より守る側の方が圧倒的に大変なんだよな」
騎士「なるほど、では立地については思い当たる場所がある。視界が広く高い場所が理想的だな?」
聖騎士女「つまり、湖の畔の風車塔だな。今管理する人もおらず、それほど古くもない。周囲は開けているし、塔をなぎ倒すような強烈な破術も残っていなさそうだ」
魔法使い「はい、助かります。ただ、あの風車塔は湖の貴婦人の持ち物なので、お借りするにしろ買うにしろコネクションが必要です」
騎士「運がいい。湖の貴婦人は黒騎士殿と懇意の方だ。昔黒騎士殿が貴婦人をお守りした事があったらしくてな。私も黒騎士殿と一緒に何度かお目通りを願った事がある。優しいお方だ、きっと力になって下さる」
魔法使い「本当に助かります。そして、基本的は反撃メインですが、こちらから追わない道理もありません。特に、破術を使う人は破術使いに襲われることは想定しているでしょうが、そうでない者に組織だって襲われる事を想定していないはずです」
禁術複製「そりゃそうだねぃ。情報を漏らさない前提だし、偶然雑魚に絡まれても一撃で終わりだねぃ」
禁術娘「そうだねェ。少なくとも、禁術使い以外に命の危険にあわされた事は無いねェ」
魔法使い「ある意味で当然ですよね。誰だって不死になりたい。術者以外にそれを漏らしたら最初に自分が狙われますから」
盗賊「つまり、俺の出番という事でいいか?」
魔法使い「でも、無理はしないで下さい。僕が<転移>の巻物を2つ作ります。魔法コストの問題でそれ以上作れないですけど、1個あれば盗賊さんなら十分逃げられますよね。<転移>先で待ち伏せの可能性があるので2個作りますが、先に転移先を2つ別々に選んでおいて下さい」
盗賊「そんなお宝があるなら普通の仕事より楽だな」
盗賊娘「じゃあ、私も……」
戦士「すまねえ、目のいい奴が一人必要だから、こっちのフォローしてくんねえか?塔に登っても目が節穴だと何も見つけられねえ」
聖騎士女「そうだな、盗賊娘は特に目が良いからな」
戦士「悪いけど頼まれてくれるか?」
盗賊娘「みんながそう言うなら……」
剣士「私達が下で即応できるよう準備するとして、やはり目のいい者は必要だからな」
術士「むしろ一番キツい仕事だから、頼まれてくれるか?」
盗賊娘「うん。喜んで」

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Post-0197

ナンバー1「面白いものを見つけて参りました」
???「ふむ、説明したまえ」
ナンバー1「特殊な呪いにより不死になった存在です」
???「それは、神の呪いかね?」
ナンバー1「解析してみないとなんとも言えません。が、おおよそ魔術によるものでしょう」
???「そうだな。神が与えるのは常に祝福、呪いであれば魔道のものだ」
ナンバー1「ご明察かと。しかし、調べてみないとなんとも言えません」
???「しかし不死は大きな問題だ。神殿の術士団にて調べを行う。異論はないな」
ナンバー1「無論です。不死は神に対する反逆に等しい。神は命を与え、命を受け取る。借りた物を返したくない、では通じません」
???「ふむ。では、迎えを送る。引き渡せ」
ナンバー1「魔法の能力を1週間ほど奪っています。完全に魔法に依存している者ですから、脱走の恐れはないでしょう」
???「奪った?そんな事が可能なのか?」
ナンバー1「ご安心を。魔術による呪いで封じているのではありません。全ては神の思し召しのままに」
???「まあ良い。君は常に正しい」
ナンバー1「ありがとうございます」
???「では励め」
ナンバー1「ありがたきお言葉」

ナンバー1「大山鳴動し……。まあ良い。私が仕えるは常に神」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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#破術争奪戦編

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Post-0192

すみません、1ヶ月がっつりお休みしました。再開します。
お忘れの方、振り返りたい方はまずこちら。

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禁術複製「じゃあ、細剣の人に対処を頼むねぃ。でも反応遅いようなら容赦なく処すねぃ」
剣士「はは、そうならないよう努力するよ」
禁術娘「アタシらが死なないからって、痛くないわけでもないからね。死ぬほど痛い目にあうくらいなら、先に殺すよ、ねェ」
破術使い「……くそっ」
禁術複製「馬鹿の人はもう脱落なんだから諦めるべきだねぃ。種は割れてるんだから次は逃がさないねぃ」
術士「<伸縮>ねぇ……。それ、縦だけじゃなく横にも伸びるんだろ」
禁術娘「だろうねェ」
術士「じゃあ、四肢の付け根だけを伸ばすと、面白い事になるな」
破術使い「……ちッ」
禁術複製「なんでこんな地方にまほクンなり術士の人みたいなのが集まってるんだろうねぃ?」
術士「はっは。うちのボスの聖騎士女は俺らの比じゃないぞ」
禁術複製「ぶるる。初手で敵対しないで正解だったねぃ」
禁術娘「誰相手だって初手で敵対するのは馬鹿のすることだよ、ねェ」
盗賊娘「駄目、そこからは逃げられないよ」
剣士「おっと、男の逃げ場を固定して視線を固定させていたのだが、気づいたかね」
盗賊娘「剣士さんが、相手に分かるように導線を残したから……。剣士さんがその気になったら私にも逃げ場なんて見つけられないです」
剣士「やはり君は目がいい。目がいい者は全ての上達が早い」
術士「パパするのは後にしないか」
剣士「はは。じゃあ酒場に戻ろうか。もう死なないわけではないのだろう。なら逃げるな。一瞬で全てを奪えるぞ」
禁術娘「なんていう奴らだい……」
盗賊娘「ふふ、みんな、信用できるんですよ」
禁術娘「アンタもだよ。どれだけ修羅場をくぐってきたんだい」
盗賊娘「……。それを見抜ける、あなたも、ね」

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Post-0191

禁術娘「さて。この男、不死を奪ったとしても、破術自体は持っている、ねェ。詠唱破棄できるなら拘束もあまり意味がない、ねェ」
禁術複製「じゃあ、魔法使いの人が来る前に処しちゃうかねぃ?」
術士「駄目だな、俺たちがもういる」
剣士「つまり、詠唱破棄すらさせなければいいのだろう?私に任せてくれ。身体か魔力かが動いた瞬間に意識を刈り取る」
禁術娘「刈り取る……?何者……?」
術士「あー、俺が知る中で世界で一番技術の高い剣士だよ。総合力で並ぶ者はいるが技術で並ぶ者は見た事がないな」
盗賊娘「うん、剣士さんが任せろ、というなら、それはもう大丈夫だよ。私でも1秒で意識を落とさせる事ができるから、剣士さんなら本当に一瞬だよ」
剣士「あまり褒めてくれるな。慢心してしまう」
術士「そういう堅苦しい奴だから油断もしねえしな」
盗賊娘「……うふふ」
禁術娘「……なんか毒を抜かれちまった、ねェ。アンタらみんなこんな感じなのかい?」
術士「みんな気負う必要がないくらいには鍛錬してるしな。が、それはあんたらも一緒だ。死なないのに何をそんなにカリカリしてるんだ?」
禁術複製「本当に死なないならねぃ。殺す方法が確立してる不死なんて不死じゃないねぃ」
禁術娘「……そうなんだよね。アタシらは人と違って寿命で死なない。争奪戦に敗れ、拷問され、術式を吐かされて死ぬ、しか死に方が選べないんだよ、ねェ」
盗賊娘「……そうなんだ。きっと、戦士さんなら『望まない運命を押しつけてくる奴なんてぶん殴られて当然だ』って言うよ」
禁術娘「あの馬鹿っぽいのが?」
剣士「ははは!彼は真っ直ぐだが、だからこそ最短距離で答えにたどり着く。実際、君もその運命についてそう思っているのでは?」
禁術娘「……そうかも、ね」

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Post-0190

破術使い「く、くそっ、破術使いが複数いるなんて聞いてない……!」
禁術娘「もともとアタシしかいなかったんだけど、ねェ」
禁術複製「複数いるとめちゃくちゃ強いんだよねぃ」
破術使い「こ、殺すのか……?」
禁術娘「そりゃあ、話すまでもなく破術は受け継がれたし、ねェ」
禁術複製「生かしておくと、俺っちを殺せばまた不死に戻れるって思うでしょ?残念。俺っちの<伸縮>の術式を妹ちゃんに<複製>」
禁術娘「!?……次に許可無しでやったら死んだ方がましだってくらい永遠に地面に叩きつけるよ」
禁術複製「それを複製して相打ちにしてもいいけどねぃ。許可を貰えば許してくれるならちゃんと許可を取るねぃ」
禁術娘「……少しは話がわかるんじゃないか……」
禁術複製「本人は効率的なら何してもいいと思ってたようだけど、俺っちはそれが嫌だったからねぃ」
禁術娘「……アタシも、嫌だったよ……」
禁術複製「じゃ、似たような事をしちゃってごめんねぃ。早く拡散しないと標的が俺っちに絞られちゃうから……って逃げるな。手足一本なら死なないねぃ」
破術使い「ぎゃっ!……手が、手が……!?」
禁術娘「手のひらをナイフで地面に縫い付けただけなんだからギャアギャアいうなよ、ねェ」
術士「お、やってるやってる。殺さない程度にな」
剣士「穏やかじゃないですね」
盗賊娘「相手の人、目が死んでない。ワンチャン狙ってるよ……」
禁術複製「うわ、この地域こういう人達ゴロゴロしてる感じ……?」
術士「いや、お前もコイツもみんなあたりが悪い。多分上澄みが集まってるぞ、このあたり」

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Post-0184

術士「じゃあ剣士と盗賊娘を呼んでくるよ。あの二人は魔法の知識はないが頭が切れる。絶対に役に立つ」
聖騎士女「頼めるか。敵が外を見張っている可能性が高い、魔法のエキスパートが動いてくれるのは助かる」
偽聖騎士「なるほど、彼が君のパーティの一員か。頼れそうだ」
術士「聖騎士女やまほクンみたいに天才じゃねえけどな。じゃあ行ってくる」
術士「出た瞬間かよ……<魔力遮断>!棘がデカくなる前に魔力を防げばおもちゃができるだけだな」
盗賊「ヒュー、やるねぇ。目はアレだな。ほらよ」
術士「盗賊、投げナイフは聖騎士女と同じくらい上手いな」
盗賊「あの天才に並ばせて貰えるなんて光栄だね」
術士「はっは。じゃあ適当にあしらいながら行くが、まほクン、分かるな?」
魔法使い「まほクンはやめて下さい……。分かりますよ。次は酒場の中に巨大な棘を生成しますよね」
術士「多分、な。方法は見せたぞ」
魔法使い「わかりました。お気を付けて」
術士「はっは。まあこういう時は一人の方がやりやすいからな」
魔法使い「方向は分かっているので、先に打ちましょう。<魔力遮断>!」

禁術娘「手慣れてるねェ……」
禁術複製「俺っちと考え方が一緒だねぃ。これは正面からやると危ないねぃ。本人が油断してなくてもひっくり返るねぃ」
魔法使い「慣れてなんかいないですよ。こんなの慣れない方がいい」
禁術複製「そりゃそうだねぃ」
魔術師「あ、あなたたち何者なんですか……?」
盗賊「それをまとめて話すために人を呼んでるんだ。ちょっと待ってくれ」
聖騎士女「大丈夫、今ここは恐らくこの地方で最も安全な場所だ」

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0183

男「助かりました。本当にありがとうございます」
偽聖騎士「良かった。しかし屋外は危ない。一旦酒場に入ろう。迷惑でないといいが」
聖騎士女「この酒場はおそらくこの街の中でも一、二を争うほどに安全だと、私は思う」
偽聖騎士「君がそう言うなら安心だ。お邪魔するよ。さあ君もこっちへ」
男「ありがとうございます」
禁術娘「見てたよ。お仲間、だねェ」
禁術複製「安全というかむしろ蛇の穴かもねぃ」
男「ひっ」
戦士「大丈夫だ、口だけだよ。今のところな」
盗賊「全然大丈夫じゃねえな」
騎士「互いに必殺の術を持つ者が先手を取らない時点で戦う気はないと判断できるな」
術士「大丈夫、魔法だって分かってるなら手の打ちようはいくらでもある。さ、入んな」

男「ありがとうございます。私は王都からこちらに派遣されてきた魔術師です」
聖騎士女「何があったのかを分かる範囲で教えて貰えるだろうか」
魔術師「はい。私や師を含む一門は秘伝の術を使って主に大がかりな治水を行っていました」
禁術娘「……秘伝の術、ねェ……」
魔術師「私達に伝わる術は一点と一点を結びつける術です。単純に言うと、水の湧かない場所と水源を結びつけて水を通す事ができるのです」
盗賊「すげえ術だな」
魔法使い「空間を結ぶには維持コストが必要ですよね。どうやって魔力を供給しているんですか?」
魔術師「私達の術には維持コストが不要なのです」
魔法使い「まさか、ちょっと考えづらいですよね……」
魔術師「私はその最中、この地方の上水と下水のためにこちらに出向してきたのですが、王都では私の一門が次々に殺害されたという知らせがあったのです」
禁術複製「まあ、そうだろうねぃ」
魔術師「そして先日、私以外全員死んだという話を聞いて危険を感じ、身を潜めていたのですが、突然襲われたのです」
禁術娘「良く一撃でやられなかったねェ」
魔術師「実際最初で死ななかったのは偶然です。私が落とし物を拾おうとしてかがんだ瞬間、私の上半身があったところに棘の塊ができました」
禁術娘「悪運があったねェ」
魔術師「そこで位置指定の術だとわかったので、フェイントをかけながら逃げました。しかしどこに逃げても術が追いかけてきて……」
聖騎士女「そこで我々が出会ったわけだな」
魔術師「そうです。あの術でなぜ死ななかったかは私にもわかりません……」
禁術娘「アハハ、ようこそ破術争奪戦へ。アンタの運命は奪って生き残るか、奪われて死ぬか、みんなで降りるかだよ、ねェ」
禁術複製「あれ?みんなって俺っちを入れてくれてる?」
禁術娘「いや、アンタは降りるなら勝手におりな」
魔術師「破術……?」
禁術複製「一門が持っていた術は四門四術の移送門<接続>。悪く使えば心臓を外につなげて血を出したり、体内に深海をつないで爆散できるねぃ」
魔術師「言ってる意味が……?」
禁術娘「お仲間だからね、聞かせてあげるよ。ついでに聞きたい人はいるかい?」
術士「すまん、聖騎士女が関わった以上、ウチから剣士と盗賊娘を呼んでくる。待っててくれるか?」

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0181

禁術複製「ありがたいねぃ。俺っちは破術の争奪戦には興味ないんだよねぃ。でも放置すると襲われる」
禁術娘「当たり前だよ、ねェ。誰も知らない破術持ってるんだろ。じゃあ取られる」
禁術複製「そうなんだよねぃ。しかし死なない事には争奪戦から離脱できないし、死んだらおしまいなんだよねぃ」
魔法使い「禁術複製さんが<複写>を知っているなら、自分をコピーして増やせば戦力になるのでは?」
禁術複製「誰だってそう思うよねぃ。<複写>はさ、何でも複写できるけど、人間を複写した時は別途<支配>しないと言う事聞かないよねぃ」
魔法使い「ああ、なるほど」
禁術複製「誰だって思うよねぃ。目の前に本人がいるなら入れ替わっちゃえばいいんだって。だから人間をコピーしたら最初にするのは<支配>だよねぃ」
魔法使い「つまり、増やした分だけ<支配>を維持しないといけない。そうすると増やせば増やすほど維持コストがかかる」
禁術娘「そう、結局増やすところで1人や2人。でも、コピーが<複写>を使えば、そのコストはコピー持ちだよ、ねェ」
禁術複製「残念ながらコピーの魔法コストは本人の空きコスト依存なんだよねぃ。だからオリジナルが消えるまでは俺っちもコストが少なかった」
禁術娘「……今は、コストが開いてて魔法が使える、って言うんだ、ねェ」
禁術複製「身構えないでいいねぃ。どうせどっちも不死、やり合ってる間に横やりが入るのが一番マズいねぃ。やるなら酒場に入る前に酒場ごと消してるねぃ」
禁術娘「で、アタシとまほクン達、どっちに用事なんだい?」
禁術複製「話が戻って助かるねぃ。実際どっちも用があるから一緒にいてくれて助かるねぃ」
騎士「我々にも用がある……だと?」
禁術複製「もちろん。本人から解放してくれたお礼と、あと、お願いがあってねぃ」
騎士「僧侶が言うとおり、話だけは聞こう」
禁術複製「まず妹ちゃんにお話するねぃ。二人で組んで、破術争奪戦から降りよう」
禁術娘「はぁ……?今降りるって言った?」
禁術複製「言ったねぃ。本人は破術を集めていたけど、俺っちはどうでもいいんだねぃ。俺っちレベルの術士が簡単に死ぬなら破術なんて集めてる場合じゃないねぃ。俺っちはまだ死にたくないねぃ。なら、俺っちしか知らない破術を持ったまま争奪戦から離脱したいねぃ」
禁術娘「都合の良い事を……!」
禁術複製「わがままだって言うなら不死は手放してもいいねぃ。いつ襲われて拷問されて奪われて殺されるかがわからない、っていうのは、実際『死なない』とはほど遠いねぃ」
禁術娘「クズだって、あれから何人も奪って殺してきたんだろう……!?」
禁術複製「本人が消えるまではねぃ。でもそれは俺っちが殺そうとしての事じゃない。支配されてやった事だねぃ。それに参加している奴はみんなそれを承知だねぃ」
禁術娘「クズと話す事はないねェ。どこかで野垂れ死にな」
禁術複製「クズって言われると傷つくねぃ。僧侶の人、ちょっと助け船出してくれないかねぃ?」
僧侶「支配が呪いによるものなら、その命令に逆らうのは至難の業ですね。おそらく解除しようとしない事も含めて命令されているでしょうから、打つ手はほぼなかったんじゃないかとは思います」
禁術複製「本当に助かるねぃ。そして本人が<支配>を使える以上、俺っちも<支配>が使えるねぃ。個別で遭遇して初手で<支配>使えば妹ちゃんは言うこと聞くしかなかった。それをしなかった事を評価して欲しいねぃ」
禁術娘「考え方はクズそのものなんだねェ」
禁術複製「まあそのクズの複写だからねぃ。でも俺っちは本人と分かれて別の道を歩いているねぃ」
禁術娘「悪人が更生したっていう自己申告を信じる馬鹿がいるとでも思ってるのかねェ……?」
禁術複製「目覚めた瞬間に『お前は偽物だ』『偽物だと分かるように喋れ』『命令に従って破術を奪って人を殺してこい』って言われて、疑問に思わない人間っているのかねぃ?複写された瞬間は本人と同じかもしれないけど、初手でもう本人とは違う運命なんだよねぃ」
禁術娘「……やっぱり、信じられない。アンタは無表情でアタシを『いじった』クズ本人にしか見えない」
禁術複製「まあ、しょうがないねぃ。ただ、一緒に降りたくなったら言って欲しいねぃ。妹ちゃんは争奪戦嫌いでしょ?」
禁術娘「クズも嫌いだよ」

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