Post-0191

禁術娘「さて。この男、不死を奪ったとしても、破術自体は持っている、ねェ。詠唱破棄できるなら拘束もあまり意味がない、ねェ」
禁術複製「じゃあ、魔法使いの人が来る前に処しちゃうかねぃ?」
術士「駄目だな、俺たちがもういる」
剣士「つまり、詠唱破棄すらさせなければいいのだろう?私に任せてくれ。身体か魔力かが動いた瞬間に意識を刈り取る」
禁術娘「刈り取る……?何者……?」
術士「あー、俺が知る中で世界で一番技術の高い剣士だよ。総合力で並ぶ者はいるが技術で並ぶ者は見た事がないな」
盗賊娘「うん、剣士さんが任せろ、というなら、それはもう大丈夫だよ。私でも1秒で意識を落とさせる事ができるから、剣士さんなら本当に一瞬だよ」
剣士「あまり褒めてくれるな。慢心してしまう」
術士「そういう堅苦しい奴だから油断もしねえしな」
盗賊娘「……うふふ」
禁術娘「……なんか毒を抜かれちまった、ねェ。アンタらみんなこんな感じなのかい?」
術士「みんな気負う必要がないくらいには鍛錬してるしな。が、それはあんたらも一緒だ。死なないのに何をそんなにカリカリしてるんだ?」
禁術複製「本当に死なないならねぃ。殺す方法が確立してる不死なんて不死じゃないねぃ」
禁術娘「……そうなんだよね。アタシらは人と違って寿命で死なない。争奪戦に敗れ、拷問され、術式を吐かされて死ぬ、しか死に方が選べないんだよ、ねェ」
盗賊娘「……そうなんだ。きっと、戦士さんなら『望まない運命を押しつけてくる奴なんてぶん殴られて当然だ』って言うよ」
禁術娘「あの馬鹿っぽいのが?」
剣士「ははは!彼は真っ直ぐだが、だからこそ最短距離で答えにたどり着く。実際、君もその運命についてそう思っているのでは?」
禁術娘「……そうかも、ね」

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#破術争奪戦編

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Post-0190

破術使い「く、くそっ、破術使いが複数いるなんて聞いてない……!」
禁術娘「もともとアタシしかいなかったんだけど、ねェ」
禁術複製「複数いるとめちゃくちゃ強いんだよねぃ」
破術使い「こ、殺すのか……?」
禁術娘「そりゃあ、話すまでもなく破術は受け継がれたし、ねェ」
禁術複製「生かしておくと、俺っちを殺せばまた不死に戻れるって思うでしょ?残念。俺っちの<伸縮>の術式を妹ちゃんに<複製>」
禁術娘「!?……次に許可無しでやったら死んだ方がましだってくらい永遠に地面に叩きつけるよ」
禁術複製「それを複製して相打ちにしてもいいけどねぃ。許可を貰えば許してくれるならちゃんと許可を取るねぃ」
禁術娘「……少しは話がわかるんじゃないか……」
禁術複製「本人は効率的なら何してもいいと思ってたようだけど、俺っちはそれが嫌だったからねぃ」
禁術娘「……アタシも、嫌だったよ……」
禁術複製「じゃ、似たような事をしちゃってごめんねぃ。早く拡散しないと標的が俺っちに絞られちゃうから……って逃げるな。手足一本なら死なないねぃ」
破術使い「ぎゃっ!……手が、手が……!?」
禁術娘「手のひらをナイフで地面に縫い付けただけなんだからギャアギャアいうなよ、ねェ」
術士「お、やってるやってる。殺さない程度にな」
剣士「穏やかじゃないですね」
盗賊娘「相手の人、目が死んでない。ワンチャン狙ってるよ……」
禁術複製「うわ、この地域こういう人達ゴロゴロしてる感じ……?」
術士「いや、お前もコイツもみんなあたりが悪い。多分上澄みが集まってるぞ、このあたり」

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Post-0184

術士「じゃあ剣士と盗賊娘を呼んでくるよ。あの二人は魔法の知識はないが頭が切れる。絶対に役に立つ」
聖騎士女「頼めるか。敵が外を見張っている可能性が高い、魔法のエキスパートが動いてくれるのは助かる」
偽聖騎士「なるほど、彼が君のパーティの一員か。頼れそうだ」
術士「聖騎士女やまほクンみたいに天才じゃねえけどな。じゃあ行ってくる」
術士「出た瞬間かよ……<魔力遮断>!棘がデカくなる前に魔力を防げばおもちゃができるだけだな」
盗賊「ヒュー、やるねぇ。目はアレだな。ほらよ」
術士「盗賊、投げナイフは聖騎士女と同じくらい上手いな」
盗賊「あの天才に並ばせて貰えるなんて光栄だね」
術士「はっは。じゃあ適当にあしらいながら行くが、まほクン、分かるな?」
魔法使い「まほクンはやめて下さい……。分かりますよ。次は酒場の中に巨大な棘を生成しますよね」
術士「多分、な。方法は見せたぞ」
魔法使い「わかりました。お気を付けて」
術士「はっは。まあこういう時は一人の方がやりやすいからな」
魔法使い「方向は分かっているので、先に打ちましょう。<魔力遮断>!」

禁術娘「手慣れてるねェ……」
禁術複製「俺っちと考え方が一緒だねぃ。これは正面からやると危ないねぃ。本人が油断してなくてもひっくり返るねぃ」
魔法使い「慣れてなんかいないですよ。こんなの慣れない方がいい」
禁術複製「そりゃそうだねぃ」
魔術師「あ、あなたたち何者なんですか……?」
盗賊「それをまとめて話すために人を呼んでるんだ。ちょっと待ってくれ」
聖騎士女「大丈夫、今ここは恐らくこの地方で最も安全な場所だ」

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Post-0183

男「助かりました。本当にありがとうございます」
偽聖騎士「良かった。しかし屋外は危ない。一旦酒場に入ろう。迷惑でないといいが」
聖騎士女「この酒場はおそらくこの街の中でも一、二を争うほどに安全だと、私は思う」
偽聖騎士「君がそう言うなら安心だ。お邪魔するよ。さあ君もこっちへ」
男「ありがとうございます」
禁術娘「見てたよ。お仲間、だねェ」
禁術複製「安全というかむしろ蛇の穴かもねぃ」
男「ひっ」
戦士「大丈夫だ、口だけだよ。今のところな」
盗賊「全然大丈夫じゃねえな」
騎士「互いに必殺の術を持つ者が先手を取らない時点で戦う気はないと判断できるな」
術士「大丈夫、魔法だって分かってるなら手の打ちようはいくらでもある。さ、入んな」

男「ありがとうございます。私は王都からこちらに派遣されてきた魔術師です」
聖騎士女「何があったのかを分かる範囲で教えて貰えるだろうか」
魔術師「はい。私や師を含む一門は秘伝の術を使って主に大がかりな治水を行っていました」
禁術娘「……秘伝の術、ねェ……」
魔術師「私達に伝わる術は一点と一点を結びつける術です。単純に言うと、水の湧かない場所と水源を結びつけて水を通す事ができるのです」
盗賊「すげえ術だな」
魔法使い「空間を結ぶには維持コストが必要ですよね。どうやって魔力を供給しているんですか?」
魔術師「私達の術には維持コストが不要なのです」
魔法使い「まさか、ちょっと考えづらいですよね……」
魔術師「私はその最中、この地方の上水と下水のためにこちらに出向してきたのですが、王都では私の一門が次々に殺害されたという知らせがあったのです」
禁術複製「まあ、そうだろうねぃ」
魔術師「そして先日、私以外全員死んだという話を聞いて危険を感じ、身を潜めていたのですが、突然襲われたのです」
禁術娘「良く一撃でやられなかったねェ」
魔術師「実際最初で死ななかったのは偶然です。私が落とし物を拾おうとしてかがんだ瞬間、私の上半身があったところに棘の塊ができました」
禁術娘「悪運があったねェ」
魔術師「そこで位置指定の術だとわかったので、フェイントをかけながら逃げました。しかしどこに逃げても術が追いかけてきて……」
聖騎士女「そこで我々が出会ったわけだな」
魔術師「そうです。あの術でなぜ死ななかったかは私にもわかりません……」
禁術娘「アハハ、ようこそ破術争奪戦へ。アンタの運命は奪って生き残るか、奪われて死ぬか、みんなで降りるかだよ、ねェ」
禁術複製「あれ?みんなって俺っちを入れてくれてる?」
禁術娘「いや、アンタは降りるなら勝手におりな」
魔術師「破術……?」
禁術複製「一門が持っていた術は四門四術の移送門<接続>。悪く使えば心臓を外につなげて血を出したり、体内に深海をつないで爆散できるねぃ」
魔術師「言ってる意味が……?」
禁術娘「お仲間だからね、聞かせてあげるよ。ついでに聞きたい人はいるかい?」
術士「すまん、聖騎士女が関わった以上、ウチから剣士と盗賊娘を呼んでくる。待っててくれるか?」

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Post-0181

禁術複製「ありがたいねぃ。俺っちは破術の争奪戦には興味ないんだよねぃ。でも放置すると襲われる」
禁術娘「当たり前だよ、ねェ。誰も知らない破術持ってるんだろ。じゃあ取られる」
禁術複製「そうなんだよねぃ。しかし死なない事には争奪戦から離脱できないし、死んだらおしまいなんだよねぃ」
魔法使い「禁術複製さんが<複写>を知っているなら、自分をコピーして増やせば戦力になるのでは?」
禁術複製「誰だってそう思うよねぃ。<複写>はさ、何でも複写できるけど、人間を複写した時は別途<支配>しないと言う事聞かないよねぃ」
魔法使い「ああ、なるほど」
禁術複製「誰だって思うよねぃ。目の前に本人がいるなら入れ替わっちゃえばいいんだって。だから人間をコピーしたら最初にするのは<支配>だよねぃ」
魔法使い「つまり、増やした分だけ<支配>を維持しないといけない。そうすると増やせば増やすほど維持コストがかかる」
禁術娘「そう、結局増やすところで1人や2人。でも、コピーが<複写>を使えば、そのコストはコピー持ちだよ、ねェ」
禁術複製「残念ながらコピーの魔法コストは本人の空きコスト依存なんだよねぃ。だからオリジナルが消えるまでは俺っちもコストが少なかった」
禁術娘「……今は、コストが開いてて魔法が使える、って言うんだ、ねェ」
禁術複製「身構えないでいいねぃ。どうせどっちも不死、やり合ってる間に横やりが入るのが一番マズいねぃ。やるなら酒場に入る前に酒場ごと消してるねぃ」
禁術娘「で、アタシとまほクン達、どっちに用事なんだい?」
禁術複製「話が戻って助かるねぃ。実際どっちも用があるから一緒にいてくれて助かるねぃ」
騎士「我々にも用がある……だと?」
禁術複製「もちろん。本人から解放してくれたお礼と、あと、お願いがあってねぃ」
騎士「僧侶が言うとおり、話だけは聞こう」
禁術複製「まず妹ちゃんにお話するねぃ。二人で組んで、破術争奪戦から降りよう」
禁術娘「はぁ……?今降りるって言った?」
禁術複製「言ったねぃ。本人は破術を集めていたけど、俺っちはどうでもいいんだねぃ。俺っちレベルの術士が簡単に死ぬなら破術なんて集めてる場合じゃないねぃ。俺っちはまだ死にたくないねぃ。なら、俺っちしか知らない破術を持ったまま争奪戦から離脱したいねぃ」
禁術娘「都合の良い事を……!」
禁術複製「わがままだって言うなら不死は手放してもいいねぃ。いつ襲われて拷問されて奪われて殺されるかがわからない、っていうのは、実際『死なない』とはほど遠いねぃ」
禁術娘「クズだって、あれから何人も奪って殺してきたんだろう……!?」
禁術複製「本人が消えるまではねぃ。でもそれは俺っちが殺そうとしての事じゃない。支配されてやった事だねぃ。それに参加している奴はみんなそれを承知だねぃ」
禁術娘「クズと話す事はないねェ。どこかで野垂れ死にな」
禁術複製「クズって言われると傷つくねぃ。僧侶の人、ちょっと助け船出してくれないかねぃ?」
僧侶「支配が呪いによるものなら、その命令に逆らうのは至難の業ですね。おそらく解除しようとしない事も含めて命令されているでしょうから、打つ手はほぼなかったんじゃないかとは思います」
禁術複製「本当に助かるねぃ。そして本人が<支配>を使える以上、俺っちも<支配>が使えるねぃ。個別で遭遇して初手で<支配>使えば妹ちゃんは言うこと聞くしかなかった。それをしなかった事を評価して欲しいねぃ」
禁術娘「考え方はクズそのものなんだねェ」
禁術複製「まあそのクズの複写だからねぃ。でも俺っちは本人と分かれて別の道を歩いているねぃ」
禁術娘「悪人が更生したっていう自己申告を信じる馬鹿がいるとでも思ってるのかねェ……?」
禁術複製「目覚めた瞬間に『お前は偽物だ』『偽物だと分かるように喋れ』『命令に従って破術を奪って人を殺してこい』って言われて、疑問に思わない人間っているのかねぃ?複写された瞬間は本人と同じかもしれないけど、初手でもう本人とは違う運命なんだよねぃ」
禁術娘「……やっぱり、信じられない。アンタは無表情でアタシを『いじった』クズ本人にしか見えない」
禁術複製「まあ、しょうがないねぃ。ただ、一緒に降りたくなったら言って欲しいねぃ。妹ちゃんは争奪戦嫌いでしょ?」
禁術娘「クズも嫌いだよ」

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Post-0180

戦士「で、結局よくわからねえんだけど、何をどうすればいいんだ?」
禁術娘「アハハ、正直どうすればいいかわかんない、ねェ。実際争奪戦から降りられるなら降りたいんだけど、降りるって事は死ぬって事だ、ねェ」
魔法使い「そうなんですよね。結構条件が複雑なんです」
盗賊「複雑、か」
禁術娘「その術を知る唯一の者は死なない」
魔法使い「あ、禁術娘さん、痛いのに見せなくていいです。みなさん、彼女本当に死にません」
騎士「魔法使いがそういうならそうだな。死なないのだろう」
禁術娘「信じるのかい」
騎士「本当に魔法使いが騙されるのであれば我々が疑っても騙される。死なないというのが真実である方がよほど説得力がある」
禁術娘「術を奪えば知っている者が1人ではなくなり、殺せるようになる、ねェ」
盗賊「奪い合いに参加している以上、殺せるなら殺すな。そうすれば自分が死なないようになる」
魔法使い「そうです。見逃したとしてまた襲いかかってくる恐れがありますから」
僧侶「そうなると、例えば魔法などでその術自体を忘れるというのはどうでしょうか……?」
禁術娘「もちろん試したよ。そういう呪文は効かないんだ。多分唯一知る者がその術を忘れる事で術自体が失われる事を防いでる、ねェ」
僧侶「そうなると、術を知ってしまった時点で脱落ができない……」
魔法使い「そうなんです。だからすべきなのは『誰も殺さずに争奪戦に勝つ』と同時に『争奪戦の結果得られたものを公開する』です」
戦士「……?意味が今ひとつわかんねえ」
術士「つまり、破術争奪戦の主眼は破術の希少性。それを集めて奥義に至り、不死とその奥義で支配者になりたいって事だろ。なら、少なくとも破術と奥義が広まれば希少性がなくなる。そして破術を知る者が増えれば増えるほど不死になる事が難しくなる」
魔法使い「まあ、ただ広めるだけだと無差別攻撃魔法が広がってしまうので、そのあたりを上手くアレンジしたものが広まるのが理想的ですよね」
禁術娘「ま、そういう事、だねェ。ただ、不死に術を吐かせるにはちょっと手荒な事をする必要があるよ、ねェ」
魔法使い「いえ、それについてはあなたのおにいさんが便利魔法の凄い応用を教えてくれたので大丈夫です」
禁術娘「あの、クズが……?」

???「おーう妹ちゃん、お兄様をクズ呼ばわりとは俺っち、ちょっと悲しいねぃ」
全員「!?」
呪術女「あーるるるるるぅあぇー」
戦士「ちょっと痛えぞ」
騎士「前線は前に、他は横に散ってくれ!」
術士「詠唱破棄!<魔力消失>待機!」
魔法使い「禁術娘さん、横に!」
禁術娘「クズが死んだって嘘じゃないか……!」
???「避ける必要ないねぃ」
禁術娘「ナイフを避けない……?って、違うね、アンタ誰だい?」
???「心臓にナイフ刺しながら言う台詞じゃないねぃ。普通死ぬねぃ」
禁術娘「クズは自分の事俺っちなんて言わないんだよ」
???「そりゃそうだ。複写は分かるように名乗れって言われたからねぃ。そろそろナイフ抜いてくれないかねぃ?」
魔法使い「死なないって事は唯一の破術持ちですね」
???「そうだねぃ。特別に教えてあげるよ。<複写>だねぃ。まあオリジナルが消えたから俺っちが不死になったんだけど」
禁術娘「で、何しに来たんだ、クズの模写」
禁術複製「可愛い妹にそう言われると心が痛むねぃ」
禁術娘「散々人で実験しておいてよく言うよ」
禁術複製「やったのはオリジナルで俺っちは別人。偶然同じ記憶を持ってるだけの双子だねぃ」
戦士「いちいち腹立つな」
禁術複製「いやいや、俺っちなにも悪さしてないねぃ。初対面という事で穏便にはいけない感じ?」
僧侶「あまりにも難しい判断ですが、まずお話を伺いましょう」

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Post-0177

ナンバー1「なるほど、第三王子の件を処理した褒美として、私の右目か左腕か左足を癒やして頂けると。幸いです。では、戦闘能力のために左足を生やして頂けますか?」
??「無論だ。本来高位の術だが君になら惜しくない」
ナンバー1「本来陰の存在である私に高位術士が接触するのは好ましくありませんが、何か特別な計らいを?」
??「冒険者でも高位の術士は存在する。騎士パーティの僧侶に頼めば造作もない」
ナンバー1「僧侶、ですか。まあ彼が断らなければ」
??「まあ確実に果たせるよう手配しよう。彼に直接腕や目も交渉するといい」
ナンバー1「ありがたきご配慮。女を捨てて目も手も足も捨てましたが、よもや取り返せる機会が頂けようとは」
??「良きに計らい給え。ところで、君は不死についてどう思う?」
ナンバー1「不死は負の生命力。神の裏に当たるこの世にあるべきではない存在です。何を信じていようとも、全ての神の信徒は不死を嫌い、不死を滅ぼそうとする。故に教団としては存在を認めない、に尽きると理解しております」
??「では、負の生命力ではない不死がいるとしたら?」
ナンバー1「醜悪な存在ですね。負の生命力は加齢すればするほど力が増す。しかし正の生命力に基づけば加齢すれば加齢するほど能力が落ちる。その前提で不死なのであれば生きれば生きるほど弱まっていく。それは加護ではなく呪いですね」
??「では、加齢を止められれば?」
ナンバー1「加齢を止められるのであれば実質不老。事故や殺害でない限り死なないのですから不死を求める必要はありません」
??「つまり、それさえ避けたい場合は?」
ナンバー1「呪いも加齢停止も魔術によるもの。神殿が関与するものではありませんが、魔術によって加齢なき不死を達成するものが現れたら、それは神に対する冒涜です。滅するべきかと」
??「そうか。だが、それは君のスタンスであって神殿の意向ではないね?」
ナンバー1「無論です。神と神殿が決めた事が最優先です」
??「追って何かを命令する。足を癒やして待機したまえ」
ナンバー1「かしこまりました」

ナンバー1「神殿にクズが発生した時、自浄できなければ未来はない……」

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Post-0175

魔法使い「では、詳しいお話を……。っていうか皆さんお酒持ってますね」
僧侶「ただいま戻りました。今日は一つ笑顔を守れたいい日になりました」
戦士「お、お帰り。せっかくだから飲んじまうか。そっちの子はイケる口?」
禁術娘「めちゃくちゃ緊張感ないねェ」
騎士「常に張り詰めているといつか切れるからな。張り詰めずに網を張っておくのが冒険者だ」
禁術娘「アハハ、お見事。せっかくだから、貰おうか、ねェ。禁術娘って呼んでいいよ」
戦士「よろしくな、禁術娘。じゃ、カンパーイ!」
魔法使い「あれ?ああ、あの時ぶりです、呪術女さん」
呪術女「……!?し、失礼、つい、夢中に」
蛮族娘「呪術女、甘い物、大好き。夢中に、なる」
盗賊娘「おいしかったもんね、あのパイ。もう一個食べたかったなぁ……」
看板娘「はいよ!ちょっとお高いよ!なにせ時価だからね!」
術士「あるだけ持ってきてくれ。蛮族娘も呪術女もおかわりいるだろ?そっちの子は?」
看板娘「まいどー!」
禁術娘「……」
盗賊「だから、全員、油断はしてねえって。左手にあるその粉、ろくな効果じゃないんだろ?」
騎士「そこまで我々を試して、何がしたいのだ?もちろん魔法使いが連れてきた客人、可能な限り助力はするが、あまり試されても気分が良いものではない」
禁術娘「わかった。アンタらのその感度なら確かにアタシの兄、禁術使いを倒せる。破術争奪戦でも上位の男をだ」
戦士「禁術使い……?聞いた事ねえ名前だな」
騎士「いや、銀騎士殿が取り調べで答えていた。辺境にいたあの魔術師だな。であれば、我々は倒してない」
禁術娘「……は!?」
盗賊「あの魔術師を倒したのは、お前の横にいるまほクンと、そっちでパイ食ってる呪術女の2人だよ」
禁術娘「二人で……?」
魔法使い「厳密にいうと僕も主戦力じゃないです。主にあっちの呪術女さんのお手柄です」
禁術娘「あそこでパイ食ってる……?隙だらけじゃないか……」
戦士「酒場で飛び道具を投げるのはナシだ」
魔法使い「呪術女さんは歌のプロフェッショナルです。肉弾戦では計れないですよ」
禁術娘「ちょっと、待ってよ、ねェ。クソ下らない破術争奪戦を終わらせる手伝いを頼みたいんだ。誰に頼めばいいんだい……?」
魔法使い「大丈夫です。みんな、協力してくれます」
禁術娘「油断すると破術をぶち込まれるとんでもない依頼なんだよ……?」
魔法使い「頼まれなくても、禁術娘さんのそばにいるならぶち込まれる可能性があるんでしょう?なら、終わらせましょう?」
盗賊娘「ごめんね、詳しく聞かないとなんとも言えないけど、あなたのそばにいる事で誰かが怪我したり死んだりするなら……」
戦士「悪いのはお前じゃなくて、ちょっかいかけてくる奴だよな」
盗賊娘「だから、こう言うよ。『そんな奴はぶっ飛ばせばいい』って」
禁術娘「参った。修羅場くぐってるのはアタシだけじゃないんだ、ねェ。とりあえず、そのパイ貰おうか」
蛮族娘「パイ、美味しい!」
禁術娘「アハハ、落ち着いて甘い物なんて食うの、もういつぶりか覚えていないよ、ねェ……」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

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Post-0171

呪術女『久しぶりだな蛮族娘。我も王国に招かれた。邪魔でなければここに滞在したい』
蛮族娘『久しぶり、呪術女。オレは熊の皮を得て熊の勇者になった』
呪術女『それは喜ばしい。母熊の如く、弱き者を守れるようになったのだな』
蛮族娘『いや、雄叫びと共に意識を失う』
呪術女『なら、それはまだ仮初めの力。個で守り、群れで攻めるが勇者。お前はまだ守れていない』
蛮族娘『なら、もっと修行するよ』
呪術女『我は勇者ではない。故に教えられない。励め』
蛮族娘『もちろん!』

盗賊娘「蛮族娘、嬉しそう」
盗賊「まあ、普段魔法使い以外に言葉通じないしな」
盗賊娘「私ももうちょっと頑張って言葉覚えよう……」
術士「凄く良い事だな。聖騎士女も辺境の言葉上手いから習うといい」
盗賊「ところで呪術女、王国領に何か用事があったのか?よしみだ、何でも手伝うぞ」
呪術女「我、魔法学院、呼ばれた。我らの、呪術、は、魔法、と、違う、が、研究したい、と」
盗賊「なるほど、魔法使いのやってたアレだな」
呪術女「かわりに、我、魔法、学ぶ。魔法使い、我に、呪術、と、魔術、組み合わせる、見せて、くれた」
術士「はははは!なるほどな、魔法学院がやりたい事を呪術女もしたい。完全に対等だ」
呪術女「我ら、辺境開いた、役割、終えた。でも、我ら、生きる。生きる、には、目的、が、必要」
盗賊娘「そうだね……。生きるために生きるだけじゃなく、何か『したい』があるといいよね」
蛮族娘「オレ、強い、勇者、なる、目的!でも、盗賊娘、仲良い、も、目的!」
盗賊娘「ありがとう、凄く嬉しい。わたしも蛮族娘と一緒にいたいよ」

#ズレよし
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#日常編

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Post-0169

盗賊娘「熊の力は、危ないよ……?」
蛮族娘「熊の力、練習、必要。力、熊の皮、外す、なくなる。盗賊娘、熊の皮、取れる」
盗賊娘「うん、絶対じゃないけど、多分、できるよ」
蛮族娘「盗賊娘、も、勇者。オレ、安心。その前に」
盗賊娘「あれ、これ熊のなめし皮?」
蛮族娘「熊の頭、被る。盗賊娘、お揃い、喜ぶ」
盗賊娘「そうだね、お揃いだね。似合うかな……?」
蛮族娘「完全な、勇者。見とれる」
盗賊娘「えへへ」
蛮族娘「勇者、勇者、止められる。オレ、悪さ、我慢、する。もし、オレ、止める、任せた」
盗賊娘「うん、わかった」

盗賊「ただいま。猫のおもりで木に登る羽目になった」
術士「どうも。そろそろ盗賊娘が帰って……きてるな。お帰り。楽しかったか?」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊「おい、蛮族娘薄く光ってるぞ!?」
盗賊娘「あ、あれ……?」
術士「おい、盗賊娘も光って……こっちに向かってくる!?」

盗賊「おっと、術士は肉弾戦無理なんだ。こっちに来てくれ」
術士「焦点合ってないし目が血走ってるぞ!とりあえず寝かせる!<眠り>!……って寝ないだと!?」
盗賊「おいおい神殿術士レベルの魔法で寝ないのかよ……、って蛮族娘はまだしも盗賊娘が早くて力が強い……!これは厄介だ!」

呪術女「熊の皮、外せ」

盗賊「助かる!」
術士「すれ違いざまに熊の皮を『盗む』。さすが盗賊」

蛮族娘「……。悪さ、我慢する、できなかった」
盗賊娘「……。一瞬目の前が真っ白になって……。わたし、何を……」

呪術女「勇者、の、熊の叫び、は、他、に、伝わる」
盗賊「なるほど、同じ格好してる奴に伝わるんだな……。魔法使いが喜びそうだぜ」
術士「ところで、何故、呪術女が王国領に……?」

#ズレよし
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#日常編

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