Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

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Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0188:

偽聖騎士「オレは外を見てくるよ。まあ見る必要もないとは思うが。ちょっとマントを持って行く」

偽聖騎士「これは、酷いな。ほぼ原型を留めていない。可哀想だが人を殺そうとするという事はそういう事だ。せめてマントで隠してやろう」
偽聖騎士「ん……?関節が動いて……?そうか、これでも死なないのか。そしてゆっくり治っていく……」
偽聖騎士「すまない、見世物にするのは心苦しい。運ばせて貰うぞ。よいしょっと」

偽聖騎士「彼を連れてきた。治るまでにはしばらくかかるだろう。話を聞くなら僧侶君に治して貰いたいのだが」
禁術娘「はぁ、はぁ。放っておいてもゆっくり治るよ。治してやる必要なんてない」
偽聖騎士「しかし感じないで良い苦痛があるなら助けてやるべきでは?」
禁術娘「今まさにアタシがこのクソ野郎に感じないで良い苦痛を貰ったよ、ねェ」
偽聖騎士「その報いは今受けている。殺すなら少ない苦痛で殺すべきだし、助けるなら早く助けるべきだ」
禁術娘「クソ熱い奴だねェ……。嫌いじゃないんだけど、近くにいて欲しくない、ねェ」
偽聖騎士「それは済まなかった」
禁術複製「で、この襲撃者の人はどうするんだねぃ?魔法使い先生」
魔法使い「先生じゃないですけどね……。呪術女さん、この人が魔法を使えないように歌って貰えますか?」
呪術女「無論。あーるるぅあぇー」
魔法使い「じゃあ、オリジナルの人からヒントを貰った、便利魔法の悪い使い方をしましょう。僧侶さん、治して貰って大丈夫です。戦士さんは暴れたら取り押さえてください」
戦士「おうよ」
僧侶「わかりました。<治癒>」
魔法使い「では、僕とあなただけに、<対話>。持っている破術の情報、思い出してくださいね!」
破術使い「四門四術の創造門<創造>」
魔法使い「四門四術の移送門<整地>」
破術使い「……!くそッ、思考を読まれた……!しかし俺の<創造>を奪われたが、お前の<整地>を貰った!」
魔法使い「そう、これで二人とも不死ではありませんね……」
破術使い「ま、待て。話をしよう」
魔術師「仲間を散々殺しておいて、自分だけ死にたくないだと!?ふざけるな、<接続>で体内を深海につなげてやる!」
盗賊「ちょっとごめんよ」
魔術師「うっ……(倒れる)」
盗賊「ヤバい術持ち多いんだよ……」

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Post-0184

術士「じゃあ剣士と盗賊娘を呼んでくるよ。あの二人は魔法の知識はないが頭が切れる。絶対に役に立つ」
聖騎士女「頼めるか。敵が外を見張っている可能性が高い、魔法のエキスパートが動いてくれるのは助かる」
偽聖騎士「なるほど、彼が君のパーティの一員か。頼れそうだ」
術士「聖騎士女やまほクンみたいに天才じゃねえけどな。じゃあ行ってくる」
術士「出た瞬間かよ……<魔力遮断>!棘がデカくなる前に魔力を防げばおもちゃができるだけだな」
盗賊「ヒュー、やるねぇ。目はアレだな。ほらよ」
術士「盗賊、投げナイフは聖騎士女と同じくらい上手いな」
盗賊「あの天才に並ばせて貰えるなんて光栄だね」
術士「はっは。じゃあ適当にあしらいながら行くが、まほクン、分かるな?」
魔法使い「まほクンはやめて下さい……。分かりますよ。次は酒場の中に巨大な棘を生成しますよね」
術士「多分、な。方法は見せたぞ」
魔法使い「わかりました。お気を付けて」
術士「はっは。まあこういう時は一人の方がやりやすいからな」
魔法使い「方向は分かっているので、先に打ちましょう。<魔力遮断>!」

禁術娘「手慣れてるねェ……」
禁術複製「俺っちと考え方が一緒だねぃ。これは正面からやると危ないねぃ。本人が油断してなくてもひっくり返るねぃ」
魔法使い「慣れてなんかいないですよ。こんなの慣れない方がいい」
禁術複製「そりゃそうだねぃ」
魔術師「あ、あなたたち何者なんですか……?」
盗賊「それをまとめて話すために人を呼んでるんだ。ちょっと待ってくれ」
聖騎士女「大丈夫、今ここは恐らくこの地方で最も安全な場所だ」

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Post-0183

男「助かりました。本当にありがとうございます」
偽聖騎士「良かった。しかし屋外は危ない。一旦酒場に入ろう。迷惑でないといいが」
聖騎士女「この酒場はおそらくこの街の中でも一、二を争うほどに安全だと、私は思う」
偽聖騎士「君がそう言うなら安心だ。お邪魔するよ。さあ君もこっちへ」
男「ありがとうございます」
禁術娘「見てたよ。お仲間、だねェ」
禁術複製「安全というかむしろ蛇の穴かもねぃ」
男「ひっ」
戦士「大丈夫だ、口だけだよ。今のところな」
盗賊「全然大丈夫じゃねえな」
騎士「互いに必殺の術を持つ者が先手を取らない時点で戦う気はないと判断できるな」
術士「大丈夫、魔法だって分かってるなら手の打ちようはいくらでもある。さ、入んな」

男「ありがとうございます。私は王都からこちらに派遣されてきた魔術師です」
聖騎士女「何があったのかを分かる範囲で教えて貰えるだろうか」
魔術師「はい。私や師を含む一門は秘伝の術を使って主に大がかりな治水を行っていました」
禁術娘「……秘伝の術、ねェ……」
魔術師「私達に伝わる術は一点と一点を結びつける術です。単純に言うと、水の湧かない場所と水源を結びつけて水を通す事ができるのです」
盗賊「すげえ術だな」
魔法使い「空間を結ぶには維持コストが必要ですよね。どうやって魔力を供給しているんですか?」
魔術師「私達の術には維持コストが不要なのです」
魔法使い「まさか、ちょっと考えづらいですよね……」
魔術師「私はその最中、この地方の上水と下水のためにこちらに出向してきたのですが、王都では私の一門が次々に殺害されたという知らせがあったのです」
禁術複製「まあ、そうだろうねぃ」
魔術師「そして先日、私以外全員死んだという話を聞いて危険を感じ、身を潜めていたのですが、突然襲われたのです」
禁術娘「良く一撃でやられなかったねェ」
魔術師「実際最初で死ななかったのは偶然です。私が落とし物を拾おうとしてかがんだ瞬間、私の上半身があったところに棘の塊ができました」
禁術娘「悪運があったねェ」
魔術師「そこで位置指定の術だとわかったので、フェイントをかけながら逃げました。しかしどこに逃げても術が追いかけてきて……」
聖騎士女「そこで我々が出会ったわけだな」
魔術師「そうです。あの術でなぜ死ななかったかは私にもわかりません……」
禁術娘「アハハ、ようこそ破術争奪戦へ。アンタの運命は奪って生き残るか、奪われて死ぬか、みんなで降りるかだよ、ねェ」
禁術複製「あれ?みんなって俺っちを入れてくれてる?」
禁術娘「いや、アンタは降りるなら勝手におりな」
魔術師「破術……?」
禁術複製「一門が持っていた術は四門四術の移送門<接続>。悪く使えば心臓を外につなげて血を出したり、体内に深海をつないで爆散できるねぃ」
魔術師「言ってる意味が……?」
禁術娘「お仲間だからね、聞かせてあげるよ。ついでに聞きたい人はいるかい?」
術士「すまん、聖騎士女が関わった以上、ウチから剣士と盗賊娘を呼んでくる。待っててくれるか?」

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Post-0182

聖騎士女「すまない、失礼する。僧侶と魔法使いはいるだろうか。訳を聞かずまず助けて欲しい」
禁術娘「……?」
聖騎士女「……!?禁術使い……!動くな!動けば斬る!」
禁術複製「両手をあげるから勘弁して欲しいねぃ。まあ詠唱破棄できるから手を上げてても魔法は使えるんだけどねぃ」
聖騎士女「それを言って斬られる可能性もあるのにそれを言う判断ができるなら迂闊な事はしないな。しばらく手をあげていてくれ」
禁術複製「ありがたいねぃ。知らない美人さんだけど身のこなしが洒落にならないから事を構えたくないねぃ」
聖騎士女「すまない、僧侶と魔法使い、助けて欲しい相手は酒場に入って来られないので表に出て貰えるだろうか?」
僧侶「あ、はい。もちろん」
魔法使い「すみません、禁術娘さん、ちょっと出ますね」
戦士「禁術複製は見張っておくな。ただ死なねーなら、何やっても逃げられるかもな」
魔法使い「あはは、そもそも熟練の魔法使いなら詠唱破棄で<転送>使って逃げるので何しても無駄ですね」
盗賊「そんな事ができるのか……」
魔法使い「盗賊さんが詠唱破棄で<転送>使えるようになったら誰より先に探知して逃げられるので洒落にならないですね」
盗賊「はは、これから魔法を覚えてそこまで磨く前に寿命が来るな」
魔法使い「あはは、じゃあちょっと行ってきます」

偽聖騎士「すまない、この人を助けてくれる僧侶君と魔法使い君か。恩に着る」
男「あああああ!あああああ!棘を、消して、くれ!」
僧侶「酷い……。致命傷です。助からない……」
魔法使い「こんな、ひどい。これは、魔法ですか……?」
聖騎士女「明らかに致命傷だが、彼はずっと死なないで今に至る。棘を<消滅>させつつ<治癒>をかけて貰えないだろうか?」
僧侶「なるほど、それなら。助かる可能性があるなら何でもします」
魔法使い「つまり、内側から<消滅>させながら<治癒>するという事ですね。先に外を消すと失血で死にます……」
偽聖騎士「そうするのか。頼む」
魔法使い「ですが、中が見えない以上<消滅>で内臓が削れます。<治癒>が間に合っても相当痛いですよ」
聖騎士女「見ての通り彼は既に地獄の悶絶の中だ。多少痛みを増しても最終的に消える方が良いはずだ」
偽聖騎士「彼は錯乱していて判断ができない。が、叫んでいるように棘を消して欲しいと望んでいる。俺からも頼む」
魔法使い「わかりました。じゃあ、僧侶さん、息を合わせましょう。凱旋の歌のリズムで1、2、3、<消滅>!」
僧侶「<治癒>!」
偽聖騎士「凄い連携だ……」
聖騎士女「王国広しと言えど、この連携ができる高位の術者は両手の指で数えられるだろうな」
偽聖騎士「君がこの酒場を選んだ理由がわかるよ」
僧侶「さぁ、傷は癒えました。もう痛みはないですか……?」
男「た、助かった……。ありがとう。本当にありがとう」

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Post-0179

聖騎士女「む……?男性が泣きわめきながら走っている。助けねば。おーい男性!」
偽聖騎士「まかせろ!男性、何から逃げているんだ!?オレが引き受ける!」
男性「た、助けて……!アイツが、アイツが追ってくる……!」
偽聖騎士「アイツ?誰だ!?」
男性「だ、駄目だ。みんなやられた。見えない所から襲われる……!」
聖騎士女「遠隔呪文だ!この時間に蝙蝠など飛んでいるはずもない!目を潰す!」
偽聖騎士「投げナイフ!お見事!」
男性「うわぁぁぁぁぁ!」
聖騎士女「間に合わなかった……身体の内側から無数の棘が……!むごい……」
偽聖騎士「すまない、助けられなかった……」
男性「ああああああ!ああああああ!ああああああ!」
偽聖騎士「動ける、のか……?信じられん」
男性「ま……魔術師に……<消滅>を……」
聖騎士女「わかった。即死でないなら僧侶に治して貰いながら魔法使いに棘を消滅させて貰えるはずだ」
偽聖騎士「死なない傷ではない。後で話を聞かせて貰うよ」

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Post-0172

戦士「今日は強い酒でも飲むか。二度蒸留した竜殺し、入荷してるって看板娘が言ってたぜ」
僧侶「私はあまり酔いすぎると危険ですから……」
騎士「酒程度で取り乱す僧侶でもあるまい。が、無理には勧めない」
僧侶「ありがとうございます。じゃあ今日はちょっとだけ飲ませて下さい」
戦士「たまにゃあ酒で心を洗うのもいいよな」

幼子「か、返して!それはお父さんの治療費なの……!」

戦士「盗んじゃ駄目なものってあるだろ」
偽聖騎士「人誅!」
泥棒「うがッ!」
戦士「すまんまさか2人同時に足を払うとは思わなかった。折れてねえか?」
偽聖騎士「これは返して貰うよ。そこの幼子、これでいいか?」
幼子「あ、ありがとう」
僧侶「お父さんは、お怪我ですか?ご病気ですか?」
幼子「あ、あの。ずっと咳が止まらなくて、起き上がれないの」
僧侶「良ければ、お父さんに会わせてくれるかな?もしかしたらおじさんが助けになれるかもしれない」
幼子「いいの?」
僧侶「すみません、後で合流しますね」

偽聖騎士「先ほどの人は聖職者かな?神の導きがあったようだ」
戦士「ああ、うちの僧侶だよ。いい足払いだったな」
偽聖騎士「君には及ばない。相当な手練れだと見たが?」
戦士「お、手合わせかい?」
偽聖騎士「いや、やめておく。勝てないとは言わないが、決着がつくまでに相当疲れるだろう。余裕のない時に助けを求められるのは避けたい」
戦士「あー、そういうタイプか。似てる感じで凄えいい女を知ってるよ」
偽聖騎士「それはとても興味があるな。オレは偽聖騎士、キミの名前を教えてくれるか?」
戦士「戦士って呼んでくれ。よくある名前だから、風泣き村の戦士、でもいいよ」
偽聖騎士「戦士君か。覚えておくよ。では!」

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Post-0168

聖騎士女「そろそろ盗賊娘が帰ってくるだろう。身につけている飾りもそろそろ交換時期だ、これを喜んでくれると嬉しいのだが……」

偽聖騎士「違う!違うぞ見習い君!」
聖騎士女「突き抜けるような快活な声だな……」
見習い「いえ、今回も僕は剣術の試験で合格できませんでした。早く帰って一人で素振りしなければ……」
聖騎士女「彼は眩しすぎる、逆効果でなければ良いが……」
偽聖騎士「それは立派だ!しかし!違う!まず悔しい思いに向き合い、存分に悔しがれ!その気持ちを受け止められない人間が強くなっても意味がない!」
見習い「それは貴方が強いから……」
偽聖騎士「強くないし、オレは毎回失敗している!しかし、前を向く前に泣いてわめいて、気持ちを片付けるべきだ!強くても正しくても人の心を踏みにじっては意味がない!」
見習い「あ、あの、手を握らないで……。って、いうか、うぅっ……僕だって、僕だって1年必死で剣を振ってきた……」
偽聖騎士「そうだ!悔しいよな!君も精一杯頑張った!報われなくてもそれは尊い!そして、その積み上げに更に積んで次に続けるんだ!」
見習い「は、はい……。次こそ、次こそ、やってみせます……」
偽聖騎士「オレでよければいつだって練習相手になる!」

聖騎士女「彼はどういう人物なのだ……?」

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