Post-0203

騎士「さあここだ。失礼の無いようにな。黒騎士殿は心の広い方だが、許してくれるのと失礼をして良いというのは別だ……。もしもし?黒騎士殿、騎士です。よろしいでしょうか?」
黒騎士「やあようこそ。友が訪ねてくれるのはいつでも心が躍るな」
騎士「いえいえ。友とは気恥ずかしい。私はただの弟子です」
黒騎士「手を離れた相手は守るべき弟子ではない。一人の友だよ。歓迎するよ、入りたまえ。良ければそこの精悍な男と、可憐な女性2人をご紹介頂けるかな?」
騎士「失礼します。では、ご紹介します。いつもお話をしている戦士と、仲間の盗賊娘、蛮族娘です」
戦士「どうも、戦士です。噂はかねがね」
黒騎士「戦士くん、というのか。懐かしい名前だ。昔、守る事ができなかった人と同じ名前だ」
戦士「それはご愁傷……その、鎧の、不名誉印が、刻まれた、凧、の紋章は、若騎士の……」
黒騎士「若騎士……。何故、私のかつての名を知って……戦士、戦士くんか!?姉さんの弟の!おばさんの家の隣に住んでいた!」
戦士「若騎士……さん!?なぜ、俺ら、を、助けて……くれなかった……」
盗賊娘「戦士!?」
蛮族娘「駄目!」
戦士「若騎士さん、いや、黒騎士さん。俺はあんたを殴らなきゃいけない」
騎士「やめろ戦士!」
黒騎士「いや、戦士くんには私を殴る権利がある。殺す権利すら。私は愚かさが故に風鳴き村を守れず皆を失った。生き残った戦士くんには無能な私を処断する権利がある。甘んじて受け入れる。が。言わせてくれ。一人でも、生き残っていてくれたんだな……」
戦士「一人じゃない。おばさんも生きてる。でも、姉も、ガリも、粉挽きも噂好きもみんな死んだ」
黒騎士「そうか、2人も。ありがとう。おばさんにはあえなくても、君に会えただけで私はもう満足だ」
戦士「理由が、あったんだろ。聞かせてくれよ」
黒騎士「そうか。君には知る権利がある。話そう」
盗賊娘「戦士、聞いて後悔しない……?」
戦士「聞かない方が後悔する。続けてくれ」
黒騎士「その日、私の家には療養中の湖の貴婦人殿が滞在していた。そしてその日密偵から、湖の貴婦人に向けて刺客が放たれたとの連絡があった。愚かな私は湖の貴婦人を守るため、彼女を馬に乗せて街道を走った」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「しかし、刺客を放った貴族が、同時に山賊を村にけしかけた。私はそれに気づかなかった。本来、村を守って山賊と戦うべきだったのに。勝てなくても正面で戦い、村人を逃がして死ぬのが誉れであったのに」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「それを知ったのは、湖の貴婦人を送り届けて村に引き返した時だ。許せるわけがない。山賊どもには地獄で悔いて貰っている」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「そしてそれを命じた貴族を特定し、乗り込んで討った。地獄で悔いて貰っている」
戦士「何一つ悪くねえ。相手しか悪くねえよ」
黒騎士「つまり、私は愚かさが故に皆を失った。それは、私がしたと同じだ、という事だ」
戦士「ちげえ。それはちげえ。やったのは相手で悪いのも相手だ。死ぬべきなのも」
黒騎士「しかし、君には私を処断する権利がある」
戦士「そんな権利いらねえ。ただ、俺には、もう、復讐する相手はいないんだな」
黒騎士「すまない。弔いのつもりで全て片付けてしまった」
戦士「いや、なら、いい」
盗賊娘「戦士、信じられないほど複雑な顔してる……。大丈夫?泣いてもいいんだよ?」
戦士「ありがとな。泣けねえよ。あんなにぶん殴りたかった若騎士様がそんな思いしてたんだからよ」
黒騎士「すまない。君も、みんなも守ってやれなくて。そしれ今ですら」
戦士「手が離れたら守るべき相手じゃない、なんだろ。守って貰わなくていい」
黒騎士「すまない」
戦士「俺はもういいよ。今度、おばさんの店を紹介する。会いに行ってやってくれないか」
黒騎士「ありがとう」
戦士「すまないんだが、俺の代わりに人を守ってほしい。少し協力してくれないか」
黒騎士「私で出来る事なら」
戦士「じゃあ、騎士、任せたよ」

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Post-0202

騎士「黒騎士殿は確か、西の繁華街の宿屋にお泊まりのはずだ」
戦士「黒騎士殿ねぇ……。黒騎士っていうのは、鎧が黒の騎士様って事でいいのか?」
盗賊娘「あはは、普通で言う黒騎士って、仕える主を持たない騎士様だよね」
騎士「ああ。そういう意味では私も黒騎士なのだが、まあこの国で黒騎士と言えば黒騎士殿を指すと言ってもいいな」
蛮族娘「黒騎士、有名、何故?」
騎士「黒騎士殿は、湖の貴婦人殿に対して卑劣な謀略を行った高位貴族に抗議し、単身乗り込んで賊として討たれた。誰も逆らえない高位貴族をだ。当初高位貴族を撃つ行為は不忠として騎士号を剥奪されたが、その後各地を転々として人を救い、最終的にその功を持って再度騎士号を与えられた」
戦士「つまり、殴っちゃいけないような上司を殴って立場を投げ捨てて、それでも行動を変えずに再度認められたのか。すげえな」
盗賊娘「戦士だって手を出すときに殴っていい、悪いなんて考えないよね」
戦士「それはよ、俺には立場なんてねえから。でも立場投げ捨ててそれをできるのは偉いよな」
騎士「私もそう思う。だからこそ、私は黒騎士殿に師匠になって貰った。黒騎士殿は剣術だけでなく生き方が素晴らしいと思う」
戦士「そういう師匠を持ってるから、騎士もそういう感じなんだな」
騎士「はは。それでも一度第三王子に仕え、そして見捨てる事になったのだがな」
戦士「見捨てられるのが偉いよ」
騎士「やはりお前とは話しがあうな。きっと黒騎士殿とも話が合う」
戦士「そうだといいけどな」
盗賊娘「素敵な人だといいね」
蛮族娘「強い?オレ、手合わせ、したい」
騎士「はは。私より強いぞ。しかし蛮族娘なら良い勝負になるかもしれない」
蛮族娘「……!楽しみ!」
騎士「さあ、この辺だな。庶民の止まるような宿屋に泊まっているあたりが本当に黒騎士殿らしい」

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Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

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Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0188:

偽聖騎士「オレは外を見てくるよ。まあ見る必要もないとは思うが。ちょっとマントを持って行く」

偽聖騎士「これは、酷いな。ほぼ原型を留めていない。可哀想だが人を殺そうとするという事はそういう事だ。せめてマントで隠してやろう」
偽聖騎士「ん……?関節が動いて……?そうか、これでも死なないのか。そしてゆっくり治っていく……」
偽聖騎士「すまない、見世物にするのは心苦しい。運ばせて貰うぞ。よいしょっと」

偽聖騎士「彼を連れてきた。治るまでにはしばらくかかるだろう。話を聞くなら僧侶君に治して貰いたいのだが」
禁術娘「はぁ、はぁ。放っておいてもゆっくり治るよ。治してやる必要なんてない」
偽聖騎士「しかし感じないで良い苦痛があるなら助けてやるべきでは?」
禁術娘「今まさにアタシがこのクソ野郎に感じないで良い苦痛を貰ったよ、ねェ」
偽聖騎士「その報いは今受けている。殺すなら少ない苦痛で殺すべきだし、助けるなら早く助けるべきだ」
禁術娘「クソ熱い奴だねェ……。嫌いじゃないんだけど、近くにいて欲しくない、ねェ」
偽聖騎士「それは済まなかった」
禁術複製「で、この襲撃者の人はどうするんだねぃ?魔法使い先生」
魔法使い「先生じゃないですけどね……。呪術女さん、この人が魔法を使えないように歌って貰えますか?」
呪術女「無論。あーるるぅあぇー」
魔法使い「じゃあ、オリジナルの人からヒントを貰った、便利魔法の悪い使い方をしましょう。僧侶さん、治して貰って大丈夫です。戦士さんは暴れたら取り押さえてください」
戦士「おうよ」
僧侶「わかりました。<治癒>」
魔法使い「では、僕とあなただけに、<対話>。持っている破術の情報、思い出してくださいね!」
破術使い「四門四術の創造門<創造>」
魔法使い「四門四術の移送門<整地>」
破術使い「……!くそッ、思考を読まれた……!しかし俺の<創造>を奪われたが、お前の<整地>を貰った!」
魔法使い「そう、これで二人とも不死ではありませんね……」
破術使い「ま、待て。話をしよう」
魔術師「仲間を散々殺しておいて、自分だけ死にたくないだと!?ふざけるな、<接続>で体内を深海につなげてやる!」
盗賊「ちょっとごめんよ」
魔術師「うっ……(倒れる)」
盗賊「ヤバい術持ち多いんだよ……」

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Post-0180

戦士「で、結局よくわからねえんだけど、何をどうすればいいんだ?」
禁術娘「アハハ、正直どうすればいいかわかんない、ねェ。実際争奪戦から降りられるなら降りたいんだけど、降りるって事は死ぬって事だ、ねェ」
魔法使い「そうなんですよね。結構条件が複雑なんです」
盗賊「複雑、か」
禁術娘「その術を知る唯一の者は死なない」
魔法使い「あ、禁術娘さん、痛いのに見せなくていいです。みなさん、彼女本当に死にません」
騎士「魔法使いがそういうならそうだな。死なないのだろう」
禁術娘「信じるのかい」
騎士「本当に魔法使いが騙されるのであれば我々が疑っても騙される。死なないというのが真実である方がよほど説得力がある」
禁術娘「術を奪えば知っている者が1人ではなくなり、殺せるようになる、ねェ」
盗賊「奪い合いに参加している以上、殺せるなら殺すな。そうすれば自分が死なないようになる」
魔法使い「そうです。見逃したとしてまた襲いかかってくる恐れがありますから」
僧侶「そうなると、例えば魔法などでその術自体を忘れるというのはどうでしょうか……?」
禁術娘「もちろん試したよ。そういう呪文は効かないんだ。多分唯一知る者がその術を忘れる事で術自体が失われる事を防いでる、ねェ」
僧侶「そうなると、術を知ってしまった時点で脱落ができない……」
魔法使い「そうなんです。だからすべきなのは『誰も殺さずに争奪戦に勝つ』と同時に『争奪戦の結果得られたものを公開する』です」
戦士「……?意味が今ひとつわかんねえ」
術士「つまり、破術争奪戦の主眼は破術の希少性。それを集めて奥義に至り、不死とその奥義で支配者になりたいって事だろ。なら、少なくとも破術と奥義が広まれば希少性がなくなる。そして破術を知る者が増えれば増えるほど不死になる事が難しくなる」
魔法使い「まあ、ただ広めるだけだと無差別攻撃魔法が広がってしまうので、そのあたりを上手くアレンジしたものが広まるのが理想的ですよね」
禁術娘「ま、そういう事、だねェ。ただ、不死に術を吐かせるにはちょっと手荒な事をする必要があるよ、ねェ」
魔法使い「いえ、それについてはあなたのおにいさんが便利魔法の凄い応用を教えてくれたので大丈夫です」
禁術娘「あの、クズが……?」

???「おーう妹ちゃん、お兄様をクズ呼ばわりとは俺っち、ちょっと悲しいねぃ」
全員「!?」
呪術女「あーるるるるるぅあぇー」
戦士「ちょっと痛えぞ」
騎士「前線は前に、他は横に散ってくれ!」
術士「詠唱破棄!<魔力消失>待機!」
魔法使い「禁術娘さん、横に!」
禁術娘「クズが死んだって嘘じゃないか……!」
???「避ける必要ないねぃ」
禁術娘「ナイフを避けない……?って、違うね、アンタ誰だい?」
???「心臓にナイフ刺しながら言う台詞じゃないねぃ。普通死ぬねぃ」
禁術娘「クズは自分の事俺っちなんて言わないんだよ」
???「そりゃそうだ。複写は分かるように名乗れって言われたからねぃ。そろそろナイフ抜いてくれないかねぃ?」
魔法使い「死なないって事は唯一の破術持ちですね」
???「そうだねぃ。特別に教えてあげるよ。<複写>だねぃ。まあオリジナルが消えたから俺っちが不死になったんだけど」
禁術娘「で、何しに来たんだ、クズの模写」
禁術複製「可愛い妹にそう言われると心が痛むねぃ」
禁術娘「散々人で実験しておいてよく言うよ」
禁術複製「やったのはオリジナルで俺っちは別人。偶然同じ記憶を持ってるだけの双子だねぃ」
戦士「いちいち腹立つな」
禁術複製「いやいや、俺っちなにも悪さしてないねぃ。初対面という事で穏便にはいけない感じ?」
僧侶「あまりにも難しい判断ですが、まずお話を伺いましょう」

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Post-0175

魔法使い「では、詳しいお話を……。っていうか皆さんお酒持ってますね」
僧侶「ただいま戻りました。今日は一つ笑顔を守れたいい日になりました」
戦士「お、お帰り。せっかくだから飲んじまうか。そっちの子はイケる口?」
禁術娘「めちゃくちゃ緊張感ないねェ」
騎士「常に張り詰めているといつか切れるからな。張り詰めずに網を張っておくのが冒険者だ」
禁術娘「アハハ、お見事。せっかくだから、貰おうか、ねェ。禁術娘って呼んでいいよ」
戦士「よろしくな、禁術娘。じゃ、カンパーイ!」
魔法使い「あれ?ああ、あの時ぶりです、呪術女さん」
呪術女「……!?し、失礼、つい、夢中に」
蛮族娘「呪術女、甘い物、大好き。夢中に、なる」
盗賊娘「おいしかったもんね、あのパイ。もう一個食べたかったなぁ……」
看板娘「はいよ!ちょっとお高いよ!なにせ時価だからね!」
術士「あるだけ持ってきてくれ。蛮族娘も呪術女もおかわりいるだろ?そっちの子は?」
看板娘「まいどー!」
禁術娘「……」
盗賊「だから、全員、油断はしてねえって。左手にあるその粉、ろくな効果じゃないんだろ?」
騎士「そこまで我々を試して、何がしたいのだ?もちろん魔法使いが連れてきた客人、可能な限り助力はするが、あまり試されても気分が良いものではない」
禁術娘「わかった。アンタらのその感度なら確かにアタシの兄、禁術使いを倒せる。破術争奪戦でも上位の男をだ」
戦士「禁術使い……?聞いた事ねえ名前だな」
騎士「いや、銀騎士殿が取り調べで答えていた。辺境にいたあの魔術師だな。であれば、我々は倒してない」
禁術娘「……は!?」
盗賊「あの魔術師を倒したのは、お前の横にいるまほクンと、そっちでパイ食ってる呪術女の2人だよ」
禁術娘「二人で……?」
魔法使い「厳密にいうと僕も主戦力じゃないです。主にあっちの呪術女さんのお手柄です」
禁術娘「あそこでパイ食ってる……?隙だらけじゃないか……」
戦士「酒場で飛び道具を投げるのはナシだ」
魔法使い「呪術女さんは歌のプロフェッショナルです。肉弾戦では計れないですよ」
禁術娘「ちょっと、待ってよ、ねェ。クソ下らない破術争奪戦を終わらせる手伝いを頼みたいんだ。誰に頼めばいいんだい……?」
魔法使い「大丈夫です。みんな、協力してくれます」
禁術娘「油断すると破術をぶち込まれるとんでもない依頼なんだよ……?」
魔法使い「頼まれなくても、禁術娘さんのそばにいるならぶち込まれる可能性があるんでしょう?なら、終わらせましょう?」
盗賊娘「ごめんね、詳しく聞かないとなんとも言えないけど、あなたのそばにいる事で誰かが怪我したり死んだりするなら……」
戦士「悪いのはお前じゃなくて、ちょっかいかけてくる奴だよな」
盗賊娘「だから、こう言うよ。『そんな奴はぶっ飛ばせばいい』って」
禁術娘「参った。修羅場くぐってるのはアタシだけじゃないんだ、ねェ。とりあえず、そのパイ貰おうか」
蛮族娘「パイ、美味しい!」
禁術娘「アハハ、落ち着いて甘い物なんて食うの、もういつぶりか覚えていないよ、ねェ……」

#ズレよし
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Post-0171

呪術女『久しぶりだな蛮族娘。我も王国に招かれた。邪魔でなければここに滞在したい』
蛮族娘『久しぶり、呪術女。オレは熊の皮を得て熊の勇者になった』
呪術女『それは喜ばしい。母熊の如く、弱き者を守れるようになったのだな』
蛮族娘『いや、雄叫びと共に意識を失う』
呪術女『なら、それはまだ仮初めの力。個で守り、群れで攻めるが勇者。お前はまだ守れていない』
蛮族娘『なら、もっと修行するよ』
呪術女『我は勇者ではない。故に教えられない。励め』
蛮族娘『もちろん!』

盗賊娘「蛮族娘、嬉しそう」
盗賊「まあ、普段魔法使い以外に言葉通じないしな」
盗賊娘「私ももうちょっと頑張って言葉覚えよう……」
術士「凄く良い事だな。聖騎士女も辺境の言葉上手いから習うといい」
盗賊「ところで呪術女、王国領に何か用事があったのか?よしみだ、何でも手伝うぞ」
呪術女「我、魔法学院、呼ばれた。我らの、呪術、は、魔法、と、違う、が、研究したい、と」
盗賊「なるほど、魔法使いのやってたアレだな」
呪術女「かわりに、我、魔法、学ぶ。魔法使い、我に、呪術、と、魔術、組み合わせる、見せて、くれた」
術士「はははは!なるほどな、魔法学院がやりたい事を呪術女もしたい。完全に対等だ」
呪術女「我ら、辺境開いた、役割、終えた。でも、我ら、生きる。生きる、には、目的、が、必要」
盗賊娘「そうだね……。生きるために生きるだけじゃなく、何か『したい』があるといいよね」
蛮族娘「オレ、強い、勇者、なる、目的!でも、盗賊娘、仲良い、も、目的!」
盗賊娘「ありがとう、凄く嬉しい。わたしも蛮族娘と一緒にいたいよ」

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Post-0169

盗賊娘「熊の力は、危ないよ……?」
蛮族娘「熊の力、練習、必要。力、熊の皮、外す、なくなる。盗賊娘、熊の皮、取れる」
盗賊娘「うん、絶対じゃないけど、多分、できるよ」
蛮族娘「盗賊娘、も、勇者。オレ、安心。その前に」
盗賊娘「あれ、これ熊のなめし皮?」
蛮族娘「熊の頭、被る。盗賊娘、お揃い、喜ぶ」
盗賊娘「そうだね、お揃いだね。似合うかな……?」
蛮族娘「完全な、勇者。見とれる」
盗賊娘「えへへ」
蛮族娘「勇者、勇者、止められる。オレ、悪さ、我慢、する。もし、オレ、止める、任せた」
盗賊娘「うん、わかった」

盗賊「ただいま。猫のおもりで木に登る羽目になった」
術士「どうも。そろそろ盗賊娘が帰って……きてるな。お帰り。楽しかったか?」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊「おい、蛮族娘薄く光ってるぞ!?」
盗賊娘「あ、あれ……?」
術士「おい、盗賊娘も光って……こっちに向かってくる!?」

盗賊「おっと、術士は肉弾戦無理なんだ。こっちに来てくれ」
術士「焦点合ってないし目が血走ってるぞ!とりあえず寝かせる!<眠り>!……って寝ないだと!?」
盗賊「おいおい神殿術士レベルの魔法で寝ないのかよ……、って蛮族娘はまだしも盗賊娘が早くて力が強い……!これは厄介だ!」

呪術女「熊の皮、外せ」

盗賊「助かる!」
術士「すれ違いざまに熊の皮を『盗む』。さすが盗賊」

蛮族娘「……。悪さ、我慢する、できなかった」
盗賊娘「……。一瞬目の前が真っ白になって……。わたし、何を……」

呪術女「勇者、の、熊の叫び、は、他、に、伝わる」
盗賊「なるほど、同じ格好してる奴に伝わるんだな……。魔法使いが喜びそうだぜ」
術士「ところで、何故、呪術女が王国領に……?」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

追って加筆修正し、以下まとめサイトに掲載します!
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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。