Post-0198

禁術娘「じゃあ、まず破術を全部集める。として、どうやって集めるんだ、ねェ?」
禁術複製「まあ、なんとなく予想はつくねぃ」
魔法使い「そうですね。さっきの破術使いさんの行動を見ればだいたい分かりますよね」
戦士「???」
魔法使い「破術使いさんは<接続>を求めて王都の破術使いを放逐して、最終的に辺境寄りのこちらに来ました」
盗賊「追いかけて、ではないな。王都で全て片付けて最終的にこっちに来ている」
魔法使い「そうなんです。しかし、これは破術を集めるのには適した方法ではないんです」
僧侶「存在に気づく人数の問題ですか?」
魔法使い「そうです。破術使いが動いたという情報が入れば他の破術使いは身を隠しつつ情報元を仕留めに行くはず」
禁術娘「そうだねェ。情報を漏らす馬鹿は闇討ちするのが定番だよねェ」
禁術複製「だからこそ破術を見せる時は周囲を片付けるか、記憶を操作しないといけないんだよねぃ」
魔法使い「そうです。なのにあの破術使いさんはそんな事をせず悠々と追ってきた」
禁術娘「まあ舐めてるのんもあるんだろうけどね」
禁術複製「魔法使いの人を舐めたとしても、情報が漏れて困るのは自分だねぃ。つまり」
魔法使い「はい。こちらから王都方面にかけて、もう破術使いはいないはずです。そして、これはもう一つの情報と整合します」
禁術娘「整合?」
魔法使い「はい。<伝播>は使われたのを観測された事がない。つまり誰が持っているかわからない。それが眠るのはどう考えても古代魔法文明の遺跡です。しかし今までに見つかっていないものが簡単に見つかるかというと、それは難しい。ですが」
禁術複製「みんな知ってるねぃ。辺境に、今まで見つかった事の無い、大きな古代魔法文明の遺跡があったと」
禁術娘「そうだね、正直、まほクンを引っかけたのはそれが目的だったのさ。何か知ってるんじゃないかって」
魔法使い「あはは、でしょうね。そんな事でも無ければ僕が女の子から声をかけられるなんて一生ないでしょうから」
禁術娘「……。それは、違うよ……」
魔法使い「ありがとうございます。優しいんですね。大丈夫です、傷ついてませんから」
禁術娘「違うよ、優しいのは……」
禁術複製「魔法使いの人にお義兄さんって言われる流れかねぃ?」
禁術娘「ブチ殺すよクズ」
禁術複製「クズに戻されたねぃ」
魔法使い「なので、おそらくこの騒動で残った破術持ちが活発化します」
禁術複製「あの破術使いを白髪の人に渡したのは失敗だったかねぃ?不死じゃない以上簡単に吐くねぃ」
魔法使い「大丈夫です、あの破術使いさんもう1つ唯一の破術持ってるはずですから」
禁術娘「アハハ、本当に頭がいいね」
魔法使い「ですよね。不死である事でチャンスが1回生まれる以上、手詰まりになるまではラスト1個は使いませんよね」
禁術複製「みんなそうするよねぃ」
僧侶「ですがナンバー1は不死性が失われたと……」
魔法使い「ナンバー1さんがどうやって不死性を判断しているのかはわかりませんが、僕たちに対するブラフですよね」
騎士「おいおい」
魔法使い「いえ、ナンバー1さんが常に正しく常に最悪ならば、破術使いさんは引き渡して正解のはずです。なにか理由があって嘘をついてまで引き取ったんです。おそらく、用が終われば本人か、あるいは破術だけ帰ってくるはずです」
禁術娘「ま、まほクン?」
魔法使い「可哀想だとは思いますし、申し訳ないとも思います。でも、彼は裁かれなければならないし、不死を裁くのは神殿の仕事です」

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#破術争奪戦編

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Post-0197

ナンバー1「面白いものを見つけて参りました」
???「ふむ、説明したまえ」
ナンバー1「特殊な呪いにより不死になった存在です」
???「それは、神の呪いかね?」
ナンバー1「解析してみないとなんとも言えません。が、おおよそ魔術によるものでしょう」
???「そうだな。神が与えるのは常に祝福、呪いであれば魔道のものだ」
ナンバー1「ご明察かと。しかし、調べてみないとなんとも言えません」
???「しかし不死は大きな問題だ。神殿の術士団にて調べを行う。異論はないな」
ナンバー1「無論です。不死は神に対する反逆に等しい。神は命を与え、命を受け取る。借りた物を返したくない、では通じません」
???「ふむ。では、迎えを送る。引き渡せ」
ナンバー1「魔法の能力を1週間ほど奪っています。完全に魔法に依存している者ですから、脱走の恐れはないでしょう」
???「奪った?そんな事が可能なのか?」
ナンバー1「ご安心を。魔術による呪いで封じているのではありません。全ては神の思し召しのままに」
???「まあ良い。君は常に正しい」
ナンバー1「ありがとうございます」
???「では励め」
ナンバー1「ありがたきお言葉」

ナンバー1「大山鳴動し……。まあ良い。私が仕えるは常に神」

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Post-0195

破術使い「くそッ、こんな化け物が揃っているとは聞いていない……!」
ナンバー1「ふむ。諦めたまえ。運がなかった」
破術使い「くそッ」
ナンバー1「無駄だ。君はまだ不死なのを隠している事を、私は知っている」
破術使い「……!?」
ナンバー1「図星だろう。私には、わかる。神の恩寵から零れた者が」
破術使い「てめえ……」
ナンバー1「無駄だ。神に逆らう者は皆魔術を好む。常にそれと対する我々は、魔術師以上に魔術を理解している」
破術使い「なら、逆も然りだろうが……」
ナンバー1「口だけでも勝ちたいのか?お前らには知識と技を体系的に継承する術がない。魔術師が学院を作ったのも最近の話だ」
破術使い「……ぎゃッ!」
ナンバー1「自分を巻き込んで魔法を使うつもりだったのだろう?無駄だ。行動は読めている」
破術使い「くそ、最悪だ」
ナンバー1「だが、誇れ。君は世界と、そして神に貢献することができる。誰にでもできる事ではない」
破術使い「笑ってやがるのか……。その歪んだ顔……。狂ってやがる」
ナンバー1「狂っている?神は理不尽を賜る。ならば、理を求める人間の方が狂っているのではないか?」
破術使い「お、おい、やめろ。その目で俺を見るな」
ナンバー1「……。見られたくないなら、そうしてやろう。神がそうあるように、私も慈悲深くしよう」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0189

魔法使い「では、不死ではなくなったところで建設的な話し合いをしませんか」
破術使い「そ、その前に他の奴らをどかしてくれ。この男もこの女も破術使いなんだろ」
魔法使い「ええ、ちょっと下がって頂けますか、禁術娘さん、禁術複製さん?」
禁術娘「いいけど、ねェ」
禁術複製「まあ、口車に乗らないようにねぃ」
魔法使い「これでいいですか?」
破術使い「もちろん。いいに、決まってる!<伸縮>!」
盗賊「おお、手を伸ばして酒場の外の物を掴んで、手を縮ませるのか。一瞬で移動できるな」
禁術娘「やっぱり、ねェ」
禁術複製「そうなるよ、ねぃ」

破術使い「やったぞ!って、何故女と男がここにいるんだ!?」
禁術娘「移動先の空気とアタシを入れ替えたんだよ、ねェ」
禁術複製「はは、術を複製させて貰ったねぃ。もう馬鹿の人しか<伸縮>が使えないわけじゃない。今度こそ本当に不死じゃないねぃ」
破術使い「くそ、くそッ!」
禁術娘「この段階まで生きてる奴が破術を一つしか持っていないわけがない、ねェ」
禁術複製「この段階まで生きてる奴が破術を一つしか持っていないわけがないねぃ」
禁術娘・禁術複製「……」

ナンバー1「不死の気配が1人分減った。あまりその術を広めて欲しくないのだが……」

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Post-0186

ナンバー1「そして僧侶、今面白い事に巻き込まれているね?」
僧侶「まあ、確かにそうです」
ナンバー1「匂いで分かる。定命の定めに逆らっている者がこの場に3人、そして近くに1人いる」
禁術娘「……!」
禁術複製「妹ちゃん、駄目だ。この女に手を出したら、終わるねぃ。見なよ、上半身を揺らしてる。片目だから距離感ないのを、頭の位置を変えて見てるねぃ」
ナンバー1「ほう。わかるか」
禁術複製「三角測量だねぃ。実践でやってる奴は初めて見たねぃ」
ナンバー1「まあ種が割れて困るような手品でもない。君と君が不死だね?」
禁術娘「……!なんで、わかるん、だい?」
ナンバー1「人は無意識に心臓を守ろうとする。が、君らにはその動作がない。つまり、心臓がどうでもいいくらいに死なない事に慣れている。もう一人は心臓を守っているな。まだ不死になって短いか」
禁術娘「……くそっ」
ナンバー1「まあそれはどうでもいい。懺悔して、神に死を賜るか?私にはできるが」
禁術複製「冗談じゃないねぃ。生まれたばっかり、自由になったばっかりで死なんか賜ってられないねぃ。それに神の術でも死ねるとは思わないねぃ」
ナンバー1「そうか、なら構わないが」(一息に踏み込み、抜いた剣で二人の心臓を串刺しにする)
禁術複製「ぐっ!」
禁術娘「ぎゃっ!」
ナンバー1「この足なら踏み込みも十分だ。そして、本当に2人とも心臓を貫いても死なない。不死か……」
僧侶「何という事を……!」
ナンバー1「死なないのだから構うまい。神の摂理には反するが、実際に存在し、そして負の生命でない以上特段対処の必要もないな」
戦士「一応そいつら、俺らのお客さんだからよ、これ以上暴れるのはやめて貰えるか?」
ナンバー1「失礼した。では、後ろの一人には手を出さないでおこう。対処は任せた。私は自分の身を守れるからご自由に」
破術使い「破ァ!<魔力遮断>があるなら越えてから使えばいいんだよ!<呪禁の棘>!」
禁術娘「まほクン、遮断するな!オイタはいけない、ねェ。」
魔法使い「禁術娘さん……!」
禁術娘「アハハ、アタシは不死なんで、ねェ。痛くても根性があれば術は使える。破術持ち複数相手に突撃なんて馬鹿のする事だよ。<置換>」
戦士「それは根性と違うだろ……」
盗賊「敵の姿が消えた!?」
外の声「人が降ってきたぞー!むごい、ぐしゃぐしゃだ」
禁術娘「アハハ、空高くの空気と入れ替えてやった。奴が治るまでかなり時間がかかるねェ。奴が治る前にまほクンと僧侶さん、アタシから棘を消してくれる……?」
魔法使い「わかりました!でも、そういうやり方、やめて下さい。心が痛みます……」
禁術複製「でもまあ、こういう戦い方できると強いんだよねぃ。どんな奴でも痛みは避けようとする。そこで止まらない奴は一歩先を行けるんだよねぃ」
魔法使い「あなたは、黙っていて下さい。あなたまで嫌いになりそうだ」
禁術娘「まほクンに嫌われちゃったか、ねェ……」
魔法使い「そんな事ないです。僕が言ってるのはオリジナルに加えて禁術複製さんも、という意味です」

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0185

ナンバー1「すまない、取り込み中のようだが失礼してもいいだろうか」
僧侶「ナ、ナンバー1さん……」
ナンバー1「久しいな。息災だったか?」
僧侶「は、はい。しかし、あなたは失意のシスターを再度戦場に送った……」
ナンバー1「人聞きの悪い。確かに頼んだのは私だが強制はしていないし、そもそも私は彼女に対する指揮権を持たない」
僧侶「そ、それはそうですが」
ナンバー1「最も合理的な手段で、最も失敗しない手段だった。実際、部隊にも彼女にも損害は発生していない」
僧侶「しかし……」
ナンバー1「これは私と彼女の問題だ。彼女が不平を漏らすなら対応する。が、君には直接の影響はなかったはずだ」
僧侶「……は、はい。あなたは常に正しい。が、常に最悪だ」
ナンバー1「どちらも褒められたものと受け止めよう。ところで、頼みがあるのだが」
僧侶「私に……ですか?」
ナンバー1「そうだ。聖堂騎士ではなく僧侶の君に頼みがある。私の左足を生やして欲しい」
僧侶「……すみません、<再生>は塞がった傷には効かないんです」
ナンバー1「使えるなら使う意思があるという事だな。なら、報酬はあのシスターの教会を神殿直轄にして公に資金を注入する。これは神殿の総意だ」
僧侶「すみません、今回はお役に立てないんです」
ナンバー1「立てる。見ていろ」
僧侶「!?」
ナンバー1「塞がった足を一寸ほど落とした。さあ<再生>を使ってくれ。さもなければ私は失血する」
僧侶「なんという無茶を……!<再生>!」
ナンバー1「なるほど、<再生>をされると傷口がむずがゆくなるのだな。これは知見だ。あっという間に足が生えるな」
禁術娘「うわー。アレはアタシ達の傷が治るのと一緒だねェ。でもあっちの方がはやいねェ」
禁術複製「俺っち達の治るのはある意味『怪我の拒絶』だからねぃ。治すんじゃなくて『ゆっくり元に戻る』感じだよねぃ」
僧侶「これで十分なはずです」
ナンバー1「ふむ。義足なしで地面を踏めるのは久々だ。これで、一カ所、増えたな」
僧侶「なにが、ですか?」
ナンバー1「まあ、今のところは手足が一カ所増えたと思っておいてくれ」
僧侶「……はい」
ナンバー1「そして僧侶、今面白い事に巻き込まれているね?」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#破術争奪戦編

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0178

ナンバー1「聖剣部隊員、どうした。顔色が優れないぞ」
聖剣部隊員「すみません、処理中に呪いを受けまして」
ナンバー1「呪いを撒けるのは魔術師だけだが、呪いを解けるのは神の信徒だけだな」
聖剣部隊員「はい。重大な呪いでもないのですが……。味がしないのです。エールを飲んでも鳥のマスタード焼きを食べても」
ナンバー1「匂いは感じるのか?なら、職務に支障は来さない……が」
聖剣部隊員「そもそも毒味をする事もないですしね」
ナンバー1「味がしなければ食の楽しみもない。我々は破戒も厭わない程に神に尽くすが、故に奇跡にも預かれない」
聖剣部隊員「はい。どこかで解呪のシンボルを手に入れようと思います」
ナンバー1「それでも良いが、まあ強い呪いでもあるまい。背筋を伸ばしてそこに立て」
聖剣部隊員「はい……。賭け事に使うカード?を?額にあてるのですか?」
ナンバー1「少し衝撃が走るぞ。たじろぐな」
聖剣部隊員「あ、ピリっと……ナ、ナンバー1の白髪が虹色に……」
ナンバー1「私が気のせいだと言えば、それが君にとっての事実だ。これで味がするはずだ。呪いを『移した』カードは処分しておく」
聖剣部隊員「は、はい。なぜ、カードなんですか?」
ナンバー1「ギャンブルが好きでね。我々の仕事に『賭け』はない。常に成功する作戦を用意し、『どこで成功するか』を確認するだけだ」
聖剣部隊員「はい。ナンバー1の指揮のおかげです」
ナンバー1「しかし、そういう事に没頭していると、人は全てを自分でコントロールできると慢心する。理不尽など起きないと高をくくる」
聖剣部隊員「……」
ナンバー1「だから、時々理不尽に直面しなければならない。ギャンブルはトータルはコントロールできるが個々の盤面は理不尽で終わる。良い教材だ」
聖剣部隊員「は、はい。ありがとうございました」
ナンバー1「金貨を持って行け。最初に味わうのは好物が良いだろう」
聖剣部隊員「痛み入ります。では、失礼します」

ナンバー1「処刑人は人でなければならない。機械や獣に処されるのは罰ではなく事故だから、な」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0177

ナンバー1「なるほど、第三王子の件を処理した褒美として、私の右目か左腕か左足を癒やして頂けると。幸いです。では、戦闘能力のために左足を生やして頂けますか?」
??「無論だ。本来高位の術だが君になら惜しくない」
ナンバー1「本来陰の存在である私に高位術士が接触するのは好ましくありませんが、何か特別な計らいを?」
??「冒険者でも高位の術士は存在する。騎士パーティの僧侶に頼めば造作もない」
ナンバー1「僧侶、ですか。まあ彼が断らなければ」
??「まあ確実に果たせるよう手配しよう。彼に直接腕や目も交渉するといい」
ナンバー1「ありがたきご配慮。女を捨てて目も手も足も捨てましたが、よもや取り返せる機会が頂けようとは」
??「良きに計らい給え。ところで、君は不死についてどう思う?」
ナンバー1「不死は負の生命力。神の裏に当たるこの世にあるべきではない存在です。何を信じていようとも、全ての神の信徒は不死を嫌い、不死を滅ぼそうとする。故に教団としては存在を認めない、に尽きると理解しております」
??「では、負の生命力ではない不死がいるとしたら?」
ナンバー1「醜悪な存在ですね。負の生命力は加齢すればするほど力が増す。しかし正の生命力に基づけば加齢すれば加齢するほど能力が落ちる。その前提で不死なのであれば生きれば生きるほど弱まっていく。それは加護ではなく呪いですね」
??「では、加齢を止められれば?」
ナンバー1「加齢を止められるのであれば実質不老。事故や殺害でない限り死なないのですから不死を求める必要はありません」
??「つまり、それさえ避けたい場合は?」
ナンバー1「呪いも加齢停止も魔術によるもの。神殿が関与するものではありませんが、魔術によって加齢なき不死を達成するものが現れたら、それは神に対する冒涜です。滅するべきかと」
??「そうか。だが、それは君のスタンスであって神殿の意向ではないね?」
ナンバー1「無論です。神と神殿が決めた事が最優先です」
??「追って何かを命令する。足を癒やして待機したまえ」
ナンバー1「かしこまりました」

ナンバー1「神殿にクズが発生した時、自浄できなければ未来はない……」

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Post-0147

少女「すみませーん」
盗賊「ん?依頼に来てる感じでもないな?何の用だお嬢ちゃん、ここは俺みたいな危ない奴もいるぞ」
少女「……?危ないの?」
盗賊「危ないぞ」
少女「うん。僧侶さんいますか?」
戦士「あっはっは、全然怖がられてねえ」
盗賊「お前の顔見ても泣かないな」
少女「僧侶さん、いますか?」
戦士「ごめんごめん。上で休んでるから呼んでくるよ」

聖堂騎士「わ、私は何を守るために……」
(重い物が落ちる音)
ナンバー2「せめて恐怖から解放してやれ」
ナンバー1「邪神が降臨すれば世界が滅ぶ。余すことなく全員だ」
町民「聖堂騎士様、ご加護を」
町娘「ウチによって一杯飲んで来なよ。もちろん奢るよ!」
少年「俺も将来聖堂騎士に!」
少女「あのね、お花摘んだの。聖堂騎士様に、あげる」

僧侶「……はっ!ゆ、夢……」
戦士「おう邪魔するぞ。かわいこちゃんが呼んでるぜ。あと、顔洗ってから降りろ」
僧侶「す、すみません」

戦士「ほら、おじさんが降りてきた」
僧侶「どうもこんにちは、って、あのときの子ですね」
少女「僧侶さん、お母さんを治してくれてありがとう。お礼を持ってきたの」
僧侶「これは可憐なお花ですね。とっても嬉しいです」
少女「どうもありがとう」
僧侶「神はどんなときでも皆さんを見守ってくれていますよ。いつでも神を頼って下さいね」
少女「ありがとう。じゃあねー」
僧侶「では、さようなら」
戦士「……また泣いてるのか」
僧侶「私は、こういう、世界を、続けたいんです。ずっと」
戦士「そうなるように、お互い頑張ろうな」

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