Post-0203

騎士「さあここだ。失礼の無いようにな。黒騎士殿は心の広い方だが、許してくれるのと失礼をして良いというのは別だ……。もしもし?黒騎士殿、騎士です。よろしいでしょうか?」
黒騎士「やあようこそ。友が訪ねてくれるのはいつでも心が躍るな」
騎士「いえいえ。友とは気恥ずかしい。私はただの弟子です」
黒騎士「手を離れた相手は守るべき弟子ではない。一人の友だよ。歓迎するよ、入りたまえ。良ければそこの精悍な男と、可憐な女性2人をご紹介頂けるかな?」
騎士「失礼します。では、ご紹介します。いつもお話をしている戦士と、仲間の盗賊娘、蛮族娘です」
戦士「どうも、戦士です。噂はかねがね」
黒騎士「戦士くん、というのか。懐かしい名前だ。昔、守る事ができなかった人と同じ名前だ」
戦士「それはご愁傷……その、鎧の、不名誉印が、刻まれた、凧、の紋章は、若騎士の……」
黒騎士「若騎士……。何故、私のかつての名を知って……戦士、戦士くんか!?姉さんの弟の!おばさんの家の隣に住んでいた!」
戦士「若騎士……さん!?なぜ、俺ら、を、助けて……くれなかった……」
盗賊娘「戦士!?」
蛮族娘「駄目!」
戦士「若騎士さん、いや、黒騎士さん。俺はあんたを殴らなきゃいけない」
騎士「やめろ戦士!」
黒騎士「いや、戦士くんには私を殴る権利がある。殺す権利すら。私は愚かさが故に風鳴き村を守れず皆を失った。生き残った戦士くんには無能な私を処断する権利がある。甘んじて受け入れる。が。言わせてくれ。一人でも、生き残っていてくれたんだな……」
戦士「一人じゃない。おばさんも生きてる。でも、姉も、ガリも、粉挽きも噂好きもみんな死んだ」
黒騎士「そうか、2人も。ありがとう。おばさんにはあえなくても、君に会えただけで私はもう満足だ」
戦士「理由が、あったんだろ。聞かせてくれよ」
黒騎士「そうか。君には知る権利がある。話そう」
盗賊娘「戦士、聞いて後悔しない……?」
戦士「聞かない方が後悔する。続けてくれ」
黒騎士「その日、私の家には療養中の湖の貴婦人殿が滞在していた。そしてその日密偵から、湖の貴婦人に向けて刺客が放たれたとの連絡があった。愚かな私は湖の貴婦人を守るため、彼女を馬に乗せて街道を走った」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「しかし、刺客を放った貴族が、同時に山賊を村にけしかけた。私はそれに気づかなかった。本来、村を守って山賊と戦うべきだったのに。勝てなくても正面で戦い、村人を逃がして死ぬのが誉れであったのに」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「それを知ったのは、湖の貴婦人を送り届けて村に引き返した時だ。許せるわけがない。山賊どもには地獄で悔いて貰っている」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「そしてそれを命じた貴族を特定し、乗り込んで討った。地獄で悔いて貰っている」
戦士「何一つ悪くねえ。相手しか悪くねえよ」
黒騎士「つまり、私は愚かさが故に皆を失った。それは、私がしたと同じだ、という事だ」
戦士「ちげえ。それはちげえ。やったのは相手で悪いのも相手だ。死ぬべきなのも」
黒騎士「しかし、君には私を処断する権利がある」
戦士「そんな権利いらねえ。ただ、俺には、もう、復讐する相手はいないんだな」
黒騎士「すまない。弔いのつもりで全て片付けてしまった」
戦士「いや、なら、いい」
盗賊娘「戦士、信じられないほど複雑な顔してる……。大丈夫?泣いてもいいんだよ?」
戦士「ありがとな。泣けねえよ。あんなにぶん殴りたかった若騎士様がそんな思いしてたんだからよ」
黒騎士「すまない。君も、みんなも守ってやれなくて。そしれ今ですら」
戦士「手が離れたら守るべき相手じゃない、なんだろ。守って貰わなくていい」
黒騎士「すまない」
戦士「俺はもういいよ。今度、おばさんの店を紹介する。会いに行ってやってくれないか」
黒騎士「ありがとう」
戦士「すまないんだが、俺の代わりに人を守ってほしい。少し協力してくれないか」
黒騎士「私で出来る事なら」
戦士「じゃあ、騎士、任せたよ」

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Post-0202

騎士「黒騎士殿は確か、西の繁華街の宿屋にお泊まりのはずだ」
戦士「黒騎士殿ねぇ……。黒騎士っていうのは、鎧が黒の騎士様って事でいいのか?」
盗賊娘「あはは、普通で言う黒騎士って、仕える主を持たない騎士様だよね」
騎士「ああ。そういう意味では私も黒騎士なのだが、まあこの国で黒騎士と言えば黒騎士殿を指すと言ってもいいな」
蛮族娘「黒騎士、有名、何故?」
騎士「黒騎士殿は、湖の貴婦人殿に対して卑劣な謀略を行った高位貴族に抗議し、単身乗り込んで賊として討たれた。誰も逆らえない高位貴族をだ。当初高位貴族を撃つ行為は不忠として騎士号を剥奪されたが、その後各地を転々として人を救い、最終的にその功を持って再度騎士号を与えられた」
戦士「つまり、殴っちゃいけないような上司を殴って立場を投げ捨てて、それでも行動を変えずに再度認められたのか。すげえな」
盗賊娘「戦士だって手を出すときに殴っていい、悪いなんて考えないよね」
戦士「それはよ、俺には立場なんてねえから。でも立場投げ捨ててそれをできるのは偉いよな」
騎士「私もそう思う。だからこそ、私は黒騎士殿に師匠になって貰った。黒騎士殿は剣術だけでなく生き方が素晴らしいと思う」
戦士「そういう師匠を持ってるから、騎士もそういう感じなんだな」
騎士「はは。それでも一度第三王子に仕え、そして見捨てる事になったのだがな」
戦士「見捨てられるのが偉いよ」
騎士「やはりお前とは話しがあうな。きっと黒騎士殿とも話が合う」
戦士「そうだといいけどな」
盗賊娘「素敵な人だといいね」
蛮族娘「強い?オレ、手合わせ、したい」
騎士「はは。私より強いぞ。しかし蛮族娘なら良い勝負になるかもしれない」
蛮族娘「……!楽しみ!」
騎士「さあ、この辺だな。庶民の止まるような宿屋に泊まっているあたりが本当に黒騎士殿らしい」

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Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

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Post-0200

聖騎士女「この件、私達も関わってしまった以上無視もできない。片付くまで付き合おう」
魔法使い「助かります」
騎士「しかし、襲ってくるのを返り討ちにする前提でいうのであれば、この宿屋を使うのも危険だな」
魔法使い「そうなんです。そこで、騎士さんと聖騎士女さんのお力をお借りしたいです」
聖騎士女「ふむ。騎士殿だけでなく私も必要という事は権力が必要なのだね?」
魔法使い「はい。まず不死の4人が安心して過ごせて、かつ周囲に大きな損害を与えない立地の場所に仮住居が必要です。それほど長い見込みではないですが、相手に持久戦をされると待ち受けている側の方が圧倒的に消耗します」
戦士「あ、それはわかる。攻撃する側より守る側の方が圧倒的に大変なんだよな」
騎士「なるほど、では立地については思い当たる場所がある。視界が広く高い場所が理想的だな?」
聖騎士女「つまり、湖の畔の風車塔だな。今管理する人もおらず、それほど古くもない。周囲は開けているし、塔をなぎ倒すような強烈な破術も残っていなさそうだ」
魔法使い「はい、助かります。ただ、あの風車塔は湖の貴婦人の持ち物なので、お借りするにしろ買うにしろコネクションが必要です」
騎士「運がいい。湖の貴婦人は黒騎士殿と懇意の方だ。昔黒騎士殿が貴婦人をお守りした事があったらしくてな。私も黒騎士殿と一緒に何度かお目通りを願った事がある。優しいお方だ、きっと力になって下さる」
魔法使い「本当に助かります。そして、基本的は反撃メインですが、こちらから追わない道理もありません。特に、破術を使う人は破術使いに襲われることは想定しているでしょうが、そうでない者に組織だって襲われる事を想定していないはずです」
禁術複製「そりゃそうだねぃ。情報を漏らさない前提だし、偶然雑魚に絡まれても一撃で終わりだねぃ」
禁術娘「そうだねェ。少なくとも、禁術使い以外に命の危険にあわされた事は無いねェ」
魔法使い「ある意味で当然ですよね。誰だって不死になりたい。術者以外にそれを漏らしたら最初に自分が狙われますから」
盗賊「つまり、俺の出番という事でいいか?」
魔法使い「でも、無理はしないで下さい。僕が<転移>の巻物を2つ作ります。魔法コストの問題でそれ以上作れないですけど、1個あれば盗賊さんなら十分逃げられますよね。<転移>先で待ち伏せの可能性があるので2個作りますが、先に転移先を2つ別々に選んでおいて下さい」
盗賊「そんなお宝があるなら普通の仕事より楽だな」
盗賊娘「じゃあ、私も……」
戦士「すまねえ、目のいい奴が一人必要だから、こっちのフォローしてくんねえか?塔に登っても目が節穴だと何も見つけられねえ」
聖騎士女「そうだな、盗賊娘は特に目が良いからな」
戦士「悪いけど頼まれてくれるか?」
盗賊娘「みんながそう言うなら……」
剣士「私達が下で即応できるよう準備するとして、やはり目のいい者は必要だからな」
術士「むしろ一番キツい仕事だから、頼まれてくれるか?」
盗賊娘「うん。喜んで」

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Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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Post-0193

魔法使い「お帰りなさい。追いつけないと思ったので追わずにすみません」
術士「はは、信じてくれたんだろ。光栄な事だ」
盗賊娘「お邪魔しまーす」
蛮族娘「……!盗賊娘!パイ、食べる!」
盗賊娘「あはは、お願いしちゃおうかな。看板娘さん、わたしと、蛮族娘と、あと呪術女さんの分お願いできます?」
看板娘「もちろん、任せておいて!」
禁術複製「看板娘の人も肝座ってるねぃ」
看板娘「あはは、冒険者の酒場でトラブルの起こらない日なんて無いからね!官憲が踏み込んでこない程度でお願いね!じゃないと叩き出すよ」
禁術娘「気が強い、ねェ」
盗賊「いや、事実叩き出すぞ、看板娘は」
禁術娘「……。強いんだ」
戦士「素手だと俺とどっこいだな」
騎士「ここで仕事をしていれば勝手に腕があがるからな」
禁術複製「はぇー。今後冒険者の店には近づかないでおこうねぃ」

偽聖騎士「では、話を聞かせて貰おうか。町中で破壊魔法が放たれた理由を。致命傷でも死なない理由を」
聖騎士女「場合によっては神殿も巻き込んでの問題になる」
ナンバー1「ふむ。面白い話が聞けそうだ。ここにいて構わないか?僧侶」
僧侶「後で探られるくらいなら直接聞いて頂いた方が良いと思います」
戦士「あんまり難しいと寝るかもしんねー」
騎士「恐らくそう難しい話しではないな」
盗賊「いや、難しくはないが、お前には違う意味で理解できないかもしれない」
魔術師「詳しく、教えてください。なぜ私の師と仲間が死ななければならなかったのかを」
魔法使い「では、お話しします」

魔術師「つまり、私の師と仲間は、破術を奪い合うのに巻き込まれて死んだ。と?」
魔法使い「単純にまとめると、そうなります」
魔術師「みんな、人の役に立つために魔法を覚えた。人を助けたくて術を使った。それを、自分が不死になりたい、術を独占したいから、まず奪う前段階として、殺した?」
魔法使い「……そういう、ことに、なります」
盗賊娘「駄目。相手を殺したらあなたも同じになる」
盗賊「お見事。詠唱破棄しないのなら口に指を突っ込めば魔法は使えない。ナイフじゃなくて指なのは慈悲と思えよ、魔術師さん」
魔術師「……。わかりました。落ち着きます」
偽聖騎士「術の奪い合いは、お互いそう考えているなら実質決闘だろう。しかし、その意思のない者を巻き込むなら許されない」
禁術娘「……!?」
偽聖騎士「だから、禁術娘君は悪くない。禁術複製君も、少なくとも支配から逃れた後は責任がないだろう。が、禁術複製君はまだ『諦めて』いないね?」
禁術娘「……」
禁術複製「何の話かねぃ?」
偽聖騎士「別に構わない。行動に移らなければ、何を考えても問題ない」
聖騎士女「それはちょっと聞き逃せないな。本性が邪悪なら罰されるべきでは?」
偽聖騎士「本性が邪悪かは行動で見るべきだろう。少なくとも本人の考えを俺達が知る方法はない。相手の考えを決めつけて処罰するというのも、少なくとも必ず正しい行動だとは言えない」
聖騎士女「ふむ。行動に基づく考えが邪悪か、ではなく行動が邪悪かで判断すべきだというのだな」
偽聖騎士「そうだ。その点において、この男は許されない。不死を求めたからではなく、一方的に殺したからだ」
聖騎士女「その点は同意しよう」
偽聖騎士「では、彼は処断されるべき。俺が討っても?」
魔法使い「待ってください。魔法対肉弾戦は黙って見逃せません。彼は神殿で処理されるべきです」
ナンバー1「つまり、私が連れて行っていいのだね?」
魔法使い「お願いできますか」
ナンバー1「素晴らしいお土産だ。感謝する。君達の行動は、一つ世界を良くする」
僧侶「……」
盗賊「僧侶?」
僧侶「彼女は常に正しく、そして常に最悪だ……」
ナンバー1「それ以上を私が聞くと、君達の行動に問題が出るだろう。男を連れて行って良いか?」
魔法使い「ご配慮痛み入ります」
ナンバー1「では失礼する」

戦士「で、結局、偉くなりたいから人を殺す、自分が不死になりたいから人を殺す、って話しなのか」
魔法使い「そうです」
戦士「まあ、やってる事が戦闘と一緒だな。魔法使う奴は頭がいいからそういうの関係ないかと思ってたよ」
魔法使い「あはは、結局みんな人間ですから。死にたくないし偉くなりたいですよね」
戦士「でもお前はそれをしないんだろ。結局人間性の問題だろ」
僧侶「そうですね」
戦士「わかった。禁術娘も禁術複製も、俺ができる範囲で守るよ。足りない部分もみんなでフォローする。で、いいか?騎士様」
騎士「もちろんだ」
盗賊「で、まずは人を殺さずに破術を集めればいいんだな?」
魔法使い「そうなります。が、恐らくそんなに時間はかからないんじゃないかと」

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Post-0192

すみません、1ヶ月がっつりお休みしました。再開します。
お忘れの方、振り返りたい方はまずこちら。

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禁術複製「じゃあ、細剣の人に対処を頼むねぃ。でも反応遅いようなら容赦なく処すねぃ」
剣士「はは、そうならないよう努力するよ」
禁術娘「アタシらが死なないからって、痛くないわけでもないからね。死ぬほど痛い目にあうくらいなら、先に殺すよ、ねェ」
破術使い「……くそっ」
禁術複製「馬鹿の人はもう脱落なんだから諦めるべきだねぃ。種は割れてるんだから次は逃がさないねぃ」
術士「<伸縮>ねぇ……。それ、縦だけじゃなく横にも伸びるんだろ」
禁術娘「だろうねェ」
術士「じゃあ、四肢の付け根だけを伸ばすと、面白い事になるな」
破術使い「……ちッ」
禁術複製「なんでこんな地方にまほクンなり術士の人みたいなのが集まってるんだろうねぃ?」
術士「はっは。うちのボスの聖騎士女は俺らの比じゃないぞ」
禁術複製「ぶるる。初手で敵対しないで正解だったねぃ」
禁術娘「誰相手だって初手で敵対するのは馬鹿のすることだよ、ねェ」
盗賊娘「駄目、そこからは逃げられないよ」
剣士「おっと、男の逃げ場を固定して視線を固定させていたのだが、気づいたかね」
盗賊娘「剣士さんが、相手に分かるように導線を残したから……。剣士さんがその気になったら私にも逃げ場なんて見つけられないです」
剣士「やはり君は目がいい。目がいい者は全ての上達が早い」
術士「パパするのは後にしないか」
剣士「はは。じゃあ酒場に戻ろうか。もう死なないわけではないのだろう。なら逃げるな。一瞬で全てを奪えるぞ」
禁術娘「なんていう奴らだい……」
盗賊娘「ふふ、みんな、信用できるんですよ」
禁術娘「アンタもだよ。どれだけ修羅場をくぐってきたんだい」
盗賊娘「……。それを見抜ける、あなたも、ね」

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Post-0191

禁術娘「さて。この男、不死を奪ったとしても、破術自体は持っている、ねェ。詠唱破棄できるなら拘束もあまり意味がない、ねェ」
禁術複製「じゃあ、魔法使いの人が来る前に処しちゃうかねぃ?」
術士「駄目だな、俺たちがもういる」
剣士「つまり、詠唱破棄すらさせなければいいのだろう?私に任せてくれ。身体か魔力かが動いた瞬間に意識を刈り取る」
禁術娘「刈り取る……?何者……?」
術士「あー、俺が知る中で世界で一番技術の高い剣士だよ。総合力で並ぶ者はいるが技術で並ぶ者は見た事がないな」
盗賊娘「うん、剣士さんが任せろ、というなら、それはもう大丈夫だよ。私でも1秒で意識を落とさせる事ができるから、剣士さんなら本当に一瞬だよ」
剣士「あまり褒めてくれるな。慢心してしまう」
術士「そういう堅苦しい奴だから油断もしねえしな」
盗賊娘「……うふふ」
禁術娘「……なんか毒を抜かれちまった、ねェ。アンタらみんなこんな感じなのかい?」
術士「みんな気負う必要がないくらいには鍛錬してるしな。が、それはあんたらも一緒だ。死なないのに何をそんなにカリカリしてるんだ?」
禁術複製「本当に死なないならねぃ。殺す方法が確立してる不死なんて不死じゃないねぃ」
禁術娘「……そうなんだよね。アタシらは人と違って寿命で死なない。争奪戦に敗れ、拷問され、術式を吐かされて死ぬ、しか死に方が選べないんだよ、ねェ」
盗賊娘「……そうなんだ。きっと、戦士さんなら『望まない運命を押しつけてくる奴なんてぶん殴られて当然だ』って言うよ」
禁術娘「あの馬鹿っぽいのが?」
剣士「ははは!彼は真っ直ぐだが、だからこそ最短距離で答えにたどり着く。実際、君もその運命についてそう思っているのでは?」
禁術娘「……そうかも、ね」

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Post-0190

破術使い「く、くそっ、破術使いが複数いるなんて聞いてない……!」
禁術娘「もともとアタシしかいなかったんだけど、ねェ」
禁術複製「複数いるとめちゃくちゃ強いんだよねぃ」
破術使い「こ、殺すのか……?」
禁術娘「そりゃあ、話すまでもなく破術は受け継がれたし、ねェ」
禁術複製「生かしておくと、俺っちを殺せばまた不死に戻れるって思うでしょ?残念。俺っちの<伸縮>の術式を妹ちゃんに<複製>」
禁術娘「!?……次に許可無しでやったら死んだ方がましだってくらい永遠に地面に叩きつけるよ」
禁術複製「それを複製して相打ちにしてもいいけどねぃ。許可を貰えば許してくれるならちゃんと許可を取るねぃ」
禁術娘「……少しは話がわかるんじゃないか……」
禁術複製「本人は効率的なら何してもいいと思ってたようだけど、俺っちはそれが嫌だったからねぃ」
禁術娘「……アタシも、嫌だったよ……」
禁術複製「じゃ、似たような事をしちゃってごめんねぃ。早く拡散しないと標的が俺っちに絞られちゃうから……って逃げるな。手足一本なら死なないねぃ」
破術使い「ぎゃっ!……手が、手が……!?」
禁術娘「手のひらをナイフで地面に縫い付けただけなんだからギャアギャアいうなよ、ねェ」
術士「お、やってるやってる。殺さない程度にな」
剣士「穏やかじゃないですね」
盗賊娘「相手の人、目が死んでない。ワンチャン狙ってるよ……」
禁術複製「うわ、この地域こういう人達ゴロゴロしてる感じ……?」
術士「いや、お前もコイツもみんなあたりが悪い。多分上澄みが集まってるぞ、このあたり」

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Post-0184

術士「じゃあ剣士と盗賊娘を呼んでくるよ。あの二人は魔法の知識はないが頭が切れる。絶対に役に立つ」
聖騎士女「頼めるか。敵が外を見張っている可能性が高い、魔法のエキスパートが動いてくれるのは助かる」
偽聖騎士「なるほど、彼が君のパーティの一員か。頼れそうだ」
術士「聖騎士女やまほクンみたいに天才じゃねえけどな。じゃあ行ってくる」
術士「出た瞬間かよ……<魔力遮断>!棘がデカくなる前に魔力を防げばおもちゃができるだけだな」
盗賊「ヒュー、やるねぇ。目はアレだな。ほらよ」
術士「盗賊、投げナイフは聖騎士女と同じくらい上手いな」
盗賊「あの天才に並ばせて貰えるなんて光栄だね」
術士「はっは。じゃあ適当にあしらいながら行くが、まほクン、分かるな?」
魔法使い「まほクンはやめて下さい……。分かりますよ。次は酒場の中に巨大な棘を生成しますよね」
術士「多分、な。方法は見せたぞ」
魔法使い「わかりました。お気を付けて」
術士「はっは。まあこういう時は一人の方がやりやすいからな」
魔法使い「方向は分かっているので、先に打ちましょう。<魔力遮断>!」

禁術娘「手慣れてるねェ……」
禁術複製「俺っちと考え方が一緒だねぃ。これは正面からやると危ないねぃ。本人が油断してなくてもひっくり返るねぃ」
魔法使い「慣れてなんかいないですよ。こんなの慣れない方がいい」
禁術複製「そりゃそうだねぃ」
魔術師「あ、あなたたち何者なんですか……?」
盗賊「それをまとめて話すために人を呼んでるんだ。ちょっと待ってくれ」
聖騎士女「大丈夫、今ここは恐らくこの地方で最も安全な場所だ」

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。