Post-0191

禁術娘「さて。この男、不死を奪ったとしても、破術自体は持っている、ねェ。詠唱破棄できるなら拘束もあまり意味がない、ねェ」
禁術複製「じゃあ、魔法使いの人が来る前に処しちゃうかねぃ?」
術士「駄目だな、俺たちがもういる」
剣士「つまり、詠唱破棄すらさせなければいいのだろう?私に任せてくれ。身体か魔力かが動いた瞬間に意識を刈り取る」
禁術娘「刈り取る……?何者……?」
術士「あー、俺が知る中で世界で一番技術の高い剣士だよ。総合力で並ぶ者はいるが技術で並ぶ者は見た事がないな」
盗賊娘「うん、剣士さんが任せろ、というなら、それはもう大丈夫だよ。私でも1秒で意識を落とさせる事ができるから、剣士さんなら本当に一瞬だよ」
剣士「あまり褒めてくれるな。慢心してしまう」
術士「そういう堅苦しい奴だから油断もしねえしな」
盗賊娘「……うふふ」
禁術娘「……なんか毒を抜かれちまった、ねェ。アンタらみんなこんな感じなのかい?」
術士「みんな気負う必要がないくらいには鍛錬してるしな。が、それはあんたらも一緒だ。死なないのに何をそんなにカリカリしてるんだ?」
禁術複製「本当に死なないならねぃ。殺す方法が確立してる不死なんて不死じゃないねぃ」
禁術娘「……そうなんだよね。アタシらは人と違って寿命で死なない。争奪戦に敗れ、拷問され、術式を吐かされて死ぬ、しか死に方が選べないんだよ、ねェ」
盗賊娘「……そうなんだ。きっと、戦士さんなら『望まない運命を押しつけてくる奴なんてぶん殴られて当然だ』って言うよ」
禁術娘「あの馬鹿っぽいのが?」
剣士「ははは!彼は真っ直ぐだが、だからこそ最短距離で答えにたどり着く。実際、君もその運命についてそう思っているのでは?」
禁術娘「……そうかも、ね」

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#ちょっとズレてるお人好しども
#破術争奪戦編

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Post-0190

破術使い「く、くそっ、破術使いが複数いるなんて聞いてない……!」
禁術娘「もともとアタシしかいなかったんだけど、ねェ」
禁術複製「複数いるとめちゃくちゃ強いんだよねぃ」
破術使い「こ、殺すのか……?」
禁術娘「そりゃあ、話すまでもなく破術は受け継がれたし、ねェ」
禁術複製「生かしておくと、俺っちを殺せばまた不死に戻れるって思うでしょ?残念。俺っちの<伸縮>の術式を妹ちゃんに<複製>」
禁術娘「!?……次に許可無しでやったら死んだ方がましだってくらい永遠に地面に叩きつけるよ」
禁術複製「それを複製して相打ちにしてもいいけどねぃ。許可を貰えば許してくれるならちゃんと許可を取るねぃ」
禁術娘「……少しは話がわかるんじゃないか……」
禁術複製「本人は効率的なら何してもいいと思ってたようだけど、俺っちはそれが嫌だったからねぃ」
禁術娘「……アタシも、嫌だったよ……」
禁術複製「じゃ、似たような事をしちゃってごめんねぃ。早く拡散しないと標的が俺っちに絞られちゃうから……って逃げるな。手足一本なら死なないねぃ」
破術使い「ぎゃっ!……手が、手が……!?」
禁術娘「手のひらをナイフで地面に縫い付けただけなんだからギャアギャアいうなよ、ねェ」
術士「お、やってるやってる。殺さない程度にな」
剣士「穏やかじゃないですね」
盗賊娘「相手の人、目が死んでない。ワンチャン狙ってるよ……」
禁術複製「うわ、この地域こういう人達ゴロゴロしてる感じ……?」
術士「いや、お前もコイツもみんなあたりが悪い。多分上澄みが集まってるぞ、このあたり」

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Post-0184

術士「じゃあ剣士と盗賊娘を呼んでくるよ。あの二人は魔法の知識はないが頭が切れる。絶対に役に立つ」
聖騎士女「頼めるか。敵が外を見張っている可能性が高い、魔法のエキスパートが動いてくれるのは助かる」
偽聖騎士「なるほど、彼が君のパーティの一員か。頼れそうだ」
術士「聖騎士女やまほクンみたいに天才じゃねえけどな。じゃあ行ってくる」
術士「出た瞬間かよ……<魔力遮断>!棘がデカくなる前に魔力を防げばおもちゃができるだけだな」
盗賊「ヒュー、やるねぇ。目はアレだな。ほらよ」
術士「盗賊、投げナイフは聖騎士女と同じくらい上手いな」
盗賊「あの天才に並ばせて貰えるなんて光栄だね」
術士「はっは。じゃあ適当にあしらいながら行くが、まほクン、分かるな?」
魔法使い「まほクンはやめて下さい……。分かりますよ。次は酒場の中に巨大な棘を生成しますよね」
術士「多分、な。方法は見せたぞ」
魔法使い「わかりました。お気を付けて」
術士「はっは。まあこういう時は一人の方がやりやすいからな」
魔法使い「方向は分かっているので、先に打ちましょう。<魔力遮断>!」

禁術娘「手慣れてるねェ……」
禁術複製「俺っちと考え方が一緒だねぃ。これは正面からやると危ないねぃ。本人が油断してなくてもひっくり返るねぃ」
魔法使い「慣れてなんかいないですよ。こんなの慣れない方がいい」
禁術複製「そりゃそうだねぃ」
魔術師「あ、あなたたち何者なんですか……?」
盗賊「それをまとめて話すために人を呼んでるんだ。ちょっと待ってくれ」
聖騎士女「大丈夫、今ここは恐らくこの地方で最も安全な場所だ」

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Post-0183

男「助かりました。本当にありがとうございます」
偽聖騎士「良かった。しかし屋外は危ない。一旦酒場に入ろう。迷惑でないといいが」
聖騎士女「この酒場はおそらくこの街の中でも一、二を争うほどに安全だと、私は思う」
偽聖騎士「君がそう言うなら安心だ。お邪魔するよ。さあ君もこっちへ」
男「ありがとうございます」
禁術娘「見てたよ。お仲間、だねェ」
禁術複製「安全というかむしろ蛇の穴かもねぃ」
男「ひっ」
戦士「大丈夫だ、口だけだよ。今のところな」
盗賊「全然大丈夫じゃねえな」
騎士「互いに必殺の術を持つ者が先手を取らない時点で戦う気はないと判断できるな」
術士「大丈夫、魔法だって分かってるなら手の打ちようはいくらでもある。さ、入んな」

男「ありがとうございます。私は王都からこちらに派遣されてきた魔術師です」
聖騎士女「何があったのかを分かる範囲で教えて貰えるだろうか」
魔術師「はい。私や師を含む一門は秘伝の術を使って主に大がかりな治水を行っていました」
禁術娘「……秘伝の術、ねェ……」
魔術師「私達に伝わる術は一点と一点を結びつける術です。単純に言うと、水の湧かない場所と水源を結びつけて水を通す事ができるのです」
盗賊「すげえ術だな」
魔法使い「空間を結ぶには維持コストが必要ですよね。どうやって魔力を供給しているんですか?」
魔術師「私達の術には維持コストが不要なのです」
魔法使い「まさか、ちょっと考えづらいですよね……」
魔術師「私はその最中、この地方の上水と下水のためにこちらに出向してきたのですが、王都では私の一門が次々に殺害されたという知らせがあったのです」
禁術複製「まあ、そうだろうねぃ」
魔術師「そして先日、私以外全員死んだという話を聞いて危険を感じ、身を潜めていたのですが、突然襲われたのです」
禁術娘「良く一撃でやられなかったねェ」
魔術師「実際最初で死ななかったのは偶然です。私が落とし物を拾おうとしてかがんだ瞬間、私の上半身があったところに棘の塊ができました」
禁術娘「悪運があったねェ」
魔術師「そこで位置指定の術だとわかったので、フェイントをかけながら逃げました。しかしどこに逃げても術が追いかけてきて……」
聖騎士女「そこで我々が出会ったわけだな」
魔術師「そうです。あの術でなぜ死ななかったかは私にもわかりません……」
禁術娘「アハハ、ようこそ破術争奪戦へ。アンタの運命は奪って生き残るか、奪われて死ぬか、みんなで降りるかだよ、ねェ」
禁術複製「あれ?みんなって俺っちを入れてくれてる?」
禁術娘「いや、アンタは降りるなら勝手におりな」
魔術師「破術……?」
禁術複製「一門が持っていた術は四門四術の移送門<接続>。悪く使えば心臓を外につなげて血を出したり、体内に深海をつないで爆散できるねぃ」
魔術師「言ってる意味が……?」
禁術娘「お仲間だからね、聞かせてあげるよ。ついでに聞きたい人はいるかい?」
術士「すまん、聖騎士女が関わった以上、ウチから剣士と盗賊娘を呼んでくる。待っててくれるか?」

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#破術争奪戦編

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Post-0175

魔法使い「では、詳しいお話を……。っていうか皆さんお酒持ってますね」
僧侶「ただいま戻りました。今日は一つ笑顔を守れたいい日になりました」
戦士「お、お帰り。せっかくだから飲んじまうか。そっちの子はイケる口?」
禁術娘「めちゃくちゃ緊張感ないねェ」
騎士「常に張り詰めているといつか切れるからな。張り詰めずに網を張っておくのが冒険者だ」
禁術娘「アハハ、お見事。せっかくだから、貰おうか、ねェ。禁術娘って呼んでいいよ」
戦士「よろしくな、禁術娘。じゃ、カンパーイ!」
魔法使い「あれ?ああ、あの時ぶりです、呪術女さん」
呪術女「……!?し、失礼、つい、夢中に」
蛮族娘「呪術女、甘い物、大好き。夢中に、なる」
盗賊娘「おいしかったもんね、あのパイ。もう一個食べたかったなぁ……」
看板娘「はいよ!ちょっとお高いよ!なにせ時価だからね!」
術士「あるだけ持ってきてくれ。蛮族娘も呪術女もおかわりいるだろ?そっちの子は?」
看板娘「まいどー!」
禁術娘「……」
盗賊「だから、全員、油断はしてねえって。左手にあるその粉、ろくな効果じゃないんだろ?」
騎士「そこまで我々を試して、何がしたいのだ?もちろん魔法使いが連れてきた客人、可能な限り助力はするが、あまり試されても気分が良いものではない」
禁術娘「わかった。アンタらのその感度なら確かにアタシの兄、禁術使いを倒せる。破術争奪戦でも上位の男をだ」
戦士「禁術使い……?聞いた事ねえ名前だな」
騎士「いや、銀騎士殿が取り調べで答えていた。辺境にいたあの魔術師だな。であれば、我々は倒してない」
禁術娘「……は!?」
盗賊「あの魔術師を倒したのは、お前の横にいるまほクンと、そっちでパイ食ってる呪術女の2人だよ」
禁術娘「二人で……?」
魔法使い「厳密にいうと僕も主戦力じゃないです。主にあっちの呪術女さんのお手柄です」
禁術娘「あそこでパイ食ってる……?隙だらけじゃないか……」
戦士「酒場で飛び道具を投げるのはナシだ」
魔法使い「呪術女さんは歌のプロフェッショナルです。肉弾戦では計れないですよ」
禁術娘「ちょっと、待ってよ、ねェ。クソ下らない破術争奪戦を終わらせる手伝いを頼みたいんだ。誰に頼めばいいんだい……?」
魔法使い「大丈夫です。みんな、協力してくれます」
禁術娘「油断すると破術をぶち込まれるとんでもない依頼なんだよ……?」
魔法使い「頼まれなくても、禁術娘さんのそばにいるならぶち込まれる可能性があるんでしょう?なら、終わらせましょう?」
盗賊娘「ごめんね、詳しく聞かないとなんとも言えないけど、あなたのそばにいる事で誰かが怪我したり死んだりするなら……」
戦士「悪いのはお前じゃなくて、ちょっかいかけてくる奴だよな」
盗賊娘「だから、こう言うよ。『そんな奴はぶっ飛ばせばいい』って」
禁術娘「参った。修羅場くぐってるのはアタシだけじゃないんだ、ねェ。とりあえず、そのパイ貰おうか」
蛮族娘「パイ、美味しい!」
禁術娘「アハハ、落ち着いて甘い物なんて食うの、もういつぶりか覚えていないよ、ねェ……」

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#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

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Post-0171

呪術女『久しぶりだな蛮族娘。我も王国に招かれた。邪魔でなければここに滞在したい』
蛮族娘『久しぶり、呪術女。オレは熊の皮を得て熊の勇者になった』
呪術女『それは喜ばしい。母熊の如く、弱き者を守れるようになったのだな』
蛮族娘『いや、雄叫びと共に意識を失う』
呪術女『なら、それはまだ仮初めの力。個で守り、群れで攻めるが勇者。お前はまだ守れていない』
蛮族娘『なら、もっと修行するよ』
呪術女『我は勇者ではない。故に教えられない。励め』
蛮族娘『もちろん!』

盗賊娘「蛮族娘、嬉しそう」
盗賊「まあ、普段魔法使い以外に言葉通じないしな」
盗賊娘「私ももうちょっと頑張って言葉覚えよう……」
術士「凄く良い事だな。聖騎士女も辺境の言葉上手いから習うといい」
盗賊「ところで呪術女、王国領に何か用事があったのか?よしみだ、何でも手伝うぞ」
呪術女「我、魔法学院、呼ばれた。我らの、呪術、は、魔法、と、違う、が、研究したい、と」
盗賊「なるほど、魔法使いのやってたアレだな」
呪術女「かわりに、我、魔法、学ぶ。魔法使い、我に、呪術、と、魔術、組み合わせる、見せて、くれた」
術士「はははは!なるほどな、魔法学院がやりたい事を呪術女もしたい。完全に対等だ」
呪術女「我ら、辺境開いた、役割、終えた。でも、我ら、生きる。生きる、には、目的、が、必要」
盗賊娘「そうだね……。生きるために生きるだけじゃなく、何か『したい』があるといいよね」
蛮族娘「オレ、強い、勇者、なる、目的!でも、盗賊娘、仲良い、も、目的!」
盗賊娘「ありがとう、凄く嬉しい。わたしも蛮族娘と一緒にいたいよ」

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Post-0169

盗賊娘「熊の力は、危ないよ……?」
蛮族娘「熊の力、練習、必要。力、熊の皮、外す、なくなる。盗賊娘、熊の皮、取れる」
盗賊娘「うん、絶対じゃないけど、多分、できるよ」
蛮族娘「盗賊娘、も、勇者。オレ、安心。その前に」
盗賊娘「あれ、これ熊のなめし皮?」
蛮族娘「熊の頭、被る。盗賊娘、お揃い、喜ぶ」
盗賊娘「そうだね、お揃いだね。似合うかな……?」
蛮族娘「完全な、勇者。見とれる」
盗賊娘「えへへ」
蛮族娘「勇者、勇者、止められる。オレ、悪さ、我慢、する。もし、オレ、止める、任せた」
盗賊娘「うん、わかった」

盗賊「ただいま。猫のおもりで木に登る羽目になった」
術士「どうも。そろそろ盗賊娘が帰って……きてるな。お帰り。楽しかったか?」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊「おい、蛮族娘薄く光ってるぞ!?」
盗賊娘「あ、あれ……?」
術士「おい、盗賊娘も光って……こっちに向かってくる!?」

盗賊「おっと、術士は肉弾戦無理なんだ。こっちに来てくれ」
術士「焦点合ってないし目が血走ってるぞ!とりあえず寝かせる!<眠り>!……って寝ないだと!?」
盗賊「おいおい神殿術士レベルの魔法で寝ないのかよ……、って蛮族娘はまだしも盗賊娘が早くて力が強い……!これは厄介だ!」

呪術女「熊の皮、外せ」

盗賊「助かる!」
術士「すれ違いざまに熊の皮を『盗む』。さすが盗賊」

蛮族娘「……。悪さ、我慢する、できなかった」
盗賊娘「……。一瞬目の前が真っ白になって……。わたし、何を……」

呪術女「勇者、の、熊の叫び、は、他、に、伝わる」
盗賊「なるほど、同じ格好してる奴に伝わるんだな……。魔法使いが喜びそうだぜ」
術士「ところで、何故、呪術女が王国領に……?」

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Post-0168

聖騎士女「そろそろ盗賊娘が帰ってくるだろう。身につけている飾りもそろそろ交換時期だ、これを喜んでくれると嬉しいのだが……」

偽聖騎士「違う!違うぞ見習い君!」
聖騎士女「突き抜けるような快活な声だな……」
見習い「いえ、今回も僕は剣術の試験で合格できませんでした。早く帰って一人で素振りしなければ……」
聖騎士女「彼は眩しすぎる、逆効果でなければ良いが……」
偽聖騎士「それは立派だ!しかし!違う!まず悔しい思いに向き合い、存分に悔しがれ!その気持ちを受け止められない人間が強くなっても意味がない!」
見習い「それは貴方が強いから……」
偽聖騎士「強くないし、オレは毎回失敗している!しかし、前を向く前に泣いてわめいて、気持ちを片付けるべきだ!強くても正しくても人の心を踏みにじっては意味がない!」
見習い「あ、あの、手を握らないで……。って、いうか、うぅっ……僕だって、僕だって1年必死で剣を振ってきた……」
偽聖騎士「そうだ!悔しいよな!君も精一杯頑張った!報われなくてもそれは尊い!そして、その積み上げに更に積んで次に続けるんだ!」
見習い「は、はい……。次こそ、次こそ、やってみせます……」
偽聖騎士「オレでよければいつだって練習相手になる!」

聖騎士女「彼はどういう人物なのだ……?」

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Post-0163

戦士「さ、花も手向けたしそろそろ帰るか。柄にもない事をしたせいか、ちょっと疲れたぜ」
盗賊娘「うん、帰ろう。帰ったら酒場でエールを飲んで、たまにサウナにも行くといいよ」
戦士「サウナか、いいな。散々我慢した後に引っかけるエールが最高だよな」
蛮族娘「サウナ?何?」
戦士「あー、なんて言うんだ、あれ。自分を蒸すんだよ」
蛮族娘「蒸す?自分、食べる?愚か?」
戦士「やってる事は我慢大会だから賢くはねえな。が、まあ一回行って見ろよ」
盗賊娘「帰ったら、一緒に行く?」
蛮族娘「試す、良い事。試さず、断る、勇気ない」
盗賊娘「きっと気に入るよ」
戦士「また森で狼呼ぶのか?」
蛮族娘「ううん。もう、狼、仲間。必要ない、呼ぶ、しない」
盗賊娘「そうだね。友達でも用のないときに一杯呼ぶと迷惑だもんね」
戦士「寂しい時に呼ぶのは用があるって言うけどな」

蛮族娘「……?」
盗賊娘「……狼でも、熊でもない気配!」
戦士「お、蛮族娘、熊の皮被るのか?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「目の錯覚?蛮族娘が薄く光ってる!?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「斧振り回しながら突っ込んでった……。あれは手負いの猪!でかい!避けろ蛮族娘!」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「あの巨体の突進を前から受け止められるの……嘘……」
戦士「そのまま投げ飛ばして斧で止め。やってる事が熊だぞ」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「こっちむいて突っ込んでくるな……」
盗賊娘「ちょ、ちょっとやめて、蛮族娘!?」
戦士「じゃあちょっと失礼して……おら!」
盗賊娘「受け止めて持ち上げるの……?」
戦士「相撲じゃまだ負けないからな。落ち着け……ないんだな。ちょっと締めるぞ。毛皮が邪魔だ」
蛮族娘「……?苦しい、戦士、やめる、して」
盗賊娘「正気に戻った……」
戦士「あー、毛皮が原因か」
蛮族娘「勇者、熊、力、借りる。熊の勇者、全て、勝つ」
戦士「強いのはめちゃくちゃわかったから、ちょっと使い方考えようぜ」

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Post-0158

戦士「ほら、見えてきた。俺の故郷だ。もう何もねえけど、村の真ん中の神像を飾ってた台座だけ残ってる」
盗賊娘「風の、気持ちいい村、だね……」
戦士「もう村じゃねえけどな」
蛮族娘「この、花?何?」
戦士「ああ、矢車花だな。風の通るところに生えるんだ」

少年「あ、矢車花だ。ねーちゃんに持って行こ!木の実も十分集まった!」
おばさん「あれ、少年。もう木の実集まったのかい?じゃあ焼き菓子焼いてあげようか?」
少年「ありがと!でも今日はねーちゃんに焼いて貰う!」
おばさん「そうかい。転ばないようにね」
少年「うん!あ、ガリ!こっちくんなよ!」
ガリ「はは、ごめんね、邪魔だったかな」
少年「邪魔だよ!俺より重い物を持てるようになってからねーちゃんの所に来いよ!」
ガリ「そうだね、頑張るけど、きっとそうなるからそれまでは見逃してくれないかい?」
少年「だーめ!ガリの作った神像は凄いけど、農民は身体が第一!」
ガリ「ははは、じゃあ今日から頑張るよ。またあとでね」
少年「もう来んな!」
姉「あれ、少年。ガリさんは?」
少年「見なかったよ。はい。木の実」
姉「ふふ。じゃあ、焼き菓子を焼きましょうか」
少年「さんせーい!」

若騎士「なんと、お嬢様を狙って刺客が……」
密偵「はい。縁談を断られた貴族様が、お嬢様がこの村に気分転換にお泊まりになる事を知って刺客を放たれたと」
若騎士「やむを得ない。私だって多少は腕に覚えがある。私がお嬢様を馬の後ろに乗せて急ぎお送りしよう」
密偵「お供します」

おばさん「あ、あれは山賊!なんでこんな貧しい村に……!」
農夫「い、いかん、皆逃げろ……!」

山賊「チンケな村だが女がいようが逃げようが皆殺しにすれば後金が貰える。前金だけで十分だが後金は3倍だ」
山賊「遊んでないで奪うだけ奪って皆殺しにしろ」
山賊「はは、貴族様の依頼はうま味があるな!」
山賊「まず逃げる奴から殺せ」

ガリ「姉!少年!隠れろ!山賊が来てる!逃げられない!」
姉「ガリさん!山賊が……!」
少年「隠れてて助かるわけないだろ!逃げるしか」
ガリ「今だけでいい、いう事を聞け!」
少年「ガリが……俺を、殴った!?」
ガリ「ねえさんと一緒に隠れていろ!僕は、山賊を向こうに誘導する!」
少年「そんな事したらガリは……」
ガリ「君と姉さんは生き延びろ!」
姉「ガリさん……。うん……ありがとう……」
少年「ねーちゃん?」
姉「少年、何があっても声を出さないで。このクローゼットは大人は入れない。だから、見つからない」
少年「ねーちゃん?嫌だよ、やめて、なんでそんなに力が強いの……?」
姉「いいから。お願い。絶対に声を出さないで」
(クローゼットの閉まる音)

姉「ガリさん……。あの声は……。ああ、ガリさん」
少年「ねーちゃん!?泣いてるのか!?」
姉「喋らないで!これから一言も!」

山賊「女か。時間がないから命だけ貰うぜ」
姉「こ、これが全財産です。差し出せるものはこれしかありません。ど、どうか助けて」
山賊「駄目だ」
山賊「家捜しするか?」
山賊「死んだ女が命乞いに全額出したろ。探すだけ無駄だ」
山賊「そうか。まあ火を放つしな」

おばさん「姉!少年!いるなら出てきて!火が回ってる!」
おばさん「ああ、姉ちゃん。なんて可哀想に」
おばさん「そこにいるんだね少年!開けるよ。目を閉じて!」
少年「……」
おばさん「見ないで。山賊が村に火を放ったの。誰もいない方向に逃げるわよ」
少年「おばさんだって血まみれだよ……大けがをしてる」
おばさん「いいの。あなたを助けるまで死なないから。さあ一緒においで」
少年「なんで、騎士様は助けてくれなかったの……?」
おばさん「わからない。考えるのは生き延びてからにしましょう……」

戦士(持ってきた酒を台座にかける)
戦士「ガリとねーちゃんのおかげで今日も生きてるよ……」
蛮族娘(黙って矢車花を台に供える)
盗賊娘「ねえ戦士……?」
戦士「ああごめんな。何か気になるものがあったか?」
盗賊娘「ううん……あんたが気になる」
戦士「ああ、ちょっと感傷に浸ってただけだよ。柄にもないな」
盗賊娘「ううん。誰にだって過去と傷はあるから、おかしくない……」
戦士「そうか」
盗賊娘「でも、戦士が人に寄り添ってくれるように、戦士に寄り添いたい人だって一杯いるよ……?」
戦士「そうか……」
盗賊娘「うん。今言って、っていうんじゃなくて、言いたくなったら言って」
戦士「今の俺と、盗賊娘と蛮族娘がいたら、今もここに村があったんだろうな……。今度、堀のパン屋で甘い物でも食いながら話をしようか。この話にはあの婆さんが必要だ」
盗賊娘「うん……」
蛮族娘「話、聞く。そのあと、焼き菓子、食べる!」
戦士「ああ、そうだな。約束だ」

#ズレよし
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