Post-0121

盗賊娘「像を取ります。みなさん、準備はいいですか……?」
剣士「なあ聖騎士女、この黄金の像、1つでも持って行けば相当な収入にならないか?」
術士「今回手に入った財宝だけで十分だと思うが……」
聖騎士女「はは、生き物が金になった、その金を持って帰りたいか?」
剣士「……!?」
術士「言うんだ……」
聖騎士女「像を取れば程なく遺跡が崩れる。墓にふさわしい穴ができる」
剣士「……」
聖騎士女「土に返してやれないのは申し訳ない。が、神ならぬ我らではできない事がある」
剣士「……わかりました」
聖騎士女「しかし、できなかった事をそのままにするつもりもない。次に向けて何か考える。そのためには今逃げろ」
剣士「わかりました。おい、盗賊娘君、像以外は何もいらないから転ばない程度に全力で走るんだ!」
術士「剣士に言われる前に<加速>も使うよ」
剣士「よろしい」

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Post-0120

聖騎士女「盗賊娘が来てから我がパーティは失敗なしだな」
剣士「今回も盗賊娘君がほとんどの罠を外してくれた」
術士「宝箱に至っては全部成功だからな。並大抵の技術じゃない」
盗賊娘「宝箱も結局は鍵ですから……。役に立てて嬉しいです」
剣士「こんな秘境に大量の黄金が。どこで掘った物だろう……?」
術士「それとも、ここに運ぶ意味があったのだろうか……?全て財貨でなく生き物の実物大の像である事に……。ああ、なるほど。ハメたな聖騎士女」
聖騎士女「はは、ハメてなどいない。大量の財宝と、そしてこの『銀月を掲げる女の像』。これだけが実物大ではない。わかるか?」
剣士「……?正直、わかるのは試練絡みだという事だけです」
盗賊娘「どういう事ですか……?」
聖騎士女「これは宝ではなく、『鍵』であり『封印』だ。つまり、これを台から外した後、死ぬ気で走って逃げる必要があるという事だ」
剣士「……?」
聖騎士女「そして、これを持ち逃げした後、もっと大きな遺跡に挑まなければならない」
術士「勘弁してくれよ……」
盗賊娘「必要なこと、なんですね?」
聖騎士女「そうだ」
盗賊娘「なら、みんな先に逃げてください。私が一番早い。みんなが逃げてからこの像を台座から外します」
剣士「盗賊娘君……!それは駄目だ」
盗賊娘「大丈夫です。この像が必要なんですよね?なら『絶対』持って逃げて追いつきます」
剣士「『絶対』か……」
聖騎士女「はは、ついに巣立たれたな、剣士」
術士「そうだなパパ」
剣士「よしたまえ」
盗賊娘「さあみんな、先に行って……!」

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Post-0113

聖騎士女「さすがに虫が多いな。虫はちょっと苦手だ」
術士「へぇ、聖騎士様にも苦手なものがあるんだな」
剣士「人間だ、当然苦手なものもある」
盗賊娘「あのね、聖騎士女さん。この辺の虫って、高い音を嫌うんです。ご存じです?」
聖騎士女「ふむ……。高い音を放てば寄りつかないのか」
盗賊娘「<衝撃>って威力低いと高い音が出ますよね」
聖騎士女「はは!<衝撃>を虫除けに!これは役得だな」
術士「聖騎士女だけじゃなく、俺らを囲うように音を出して貰えると助かる」
剣士「そうだな、茶化していたが術士も虫が苦手だものな」
盗賊娘「ふふ、みなさんも人間らしいところあるんですね」
聖騎士女「当然だ。聖職者である前に一人の人間だぞ我々は」

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Post-0103

聖騎士女「やはり、天啓を果たした聖騎士は漏れなく命か<加護>を失っている。文献で例外が見つけられない」
聖騎士女「とすると、この<衝撃>、別に求められる何かがあるのだろうか……?」
(図書館の棚から一冊の本が落ちてくる)
聖騎士女「おっと、本が傷む(キャッチする)。ふむ、『還らずの都市』。何かの伝承か」
聖騎士女「古代魔法王国時代の伝承か。これも何かの導きかも知れないな」

盗賊娘「戦士達、辺境で巡回の仕事をうけて行ってしまったんです」
聖騎士女「あのあたりは紳士協定で危険は少ない、安心しろ。まああやつらに危険を運べる者もそうそういないと思うが」
剣士「我々も何か仕事を探しましょうか。蓄えは十分ありますが減らさないに越した事はない」
術士「いや、なにかあるんだよな、聖騎士女」
聖騎士女「はは、鋭いな術士。たまには冒険者らしく荒野の冒険もでも行かないか?まあ荒野ではなく密林だが」
盗賊娘「密林、ですか……?」
聖騎士女「もしかしたら戦士達にも会えるかも知れないな」
剣士「密林、ですね。虫除けにタバコを用意しましょう。タバコを水に浸すと虫除けになる」
術士「突然前向き……、いや、なんでもない。すぐ準備しよう」
聖騎士女(あの笑顔を見てはな……)
剣士(ウィンク)
術士(ため息)

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Post-0097

術士「盗賊娘、ちょっといいか」
盗賊娘「はい、もちろん」
術士「聖騎士女が眩しいのは分かる。俺もそう思う。ただ、あまり真似しようとするな」
盗賊娘「はい……?」
術士「聖騎士女は天才だ。なんでもできる。のが、神の酷いところだよ」
盗賊娘「天才なのに、ですか?」
術士「聖騎士女は努力すればなんでもできる。そして、何でもできるから何にでも努力する。常に次々に手を出す。休む暇がない。お前も完璧でない事が多すぎて努力をしすぎる。少し休め」
盗賊娘「私も、早く、みんなの役に立ちたくて……」
術士「もう役に立っている。聖騎士女はできるから立ち止まらない。お前は足りないから立ち止まらない。でも、それは危うい。もっとゆっくり歩け。おぼつかない者が速く歩くと転ぶ」
盗賊娘「はい、ありがとうございます」
術士「本当は聖騎士女にも言いたいんだが、あいつは聞かないからな……」
盗賊娘「はい……」
剣士「おい、術士、盗賊娘を泣かせているのか……?さすがにお前相手でも許せんな」
術士「おい勘弁してくれよ。俺は抜く剣がない」
盗賊娘「違うんです、嬉しくて……」
剣士「そうか、なら良い……」
盗賊娘「そう言ってくれるのも嬉しいんです……」


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Post-0093

魔法使い「ちょっと面白い事を発見したんです」
僧侶「面白い事、ですか?」
魔法使い「ええ。便利魔法の<振動>なんですけど、これを長く使うと振動しているものが熱くなるんです」
僧侶「面白いですね」
魔法使い「調べてみて、多分なんですけど、『熱い』っていうのって、多分『揺れ』と関係あるんですよね。これなにか新しい魔法にできないかな……?」

魔法使い「という事で新しい魔法ができました。<加熱>です。やっぱり振動させると熱くなるんです」
僧侶「これ、食べ物を温めるのにいいですね」
盗賊「人間につかったらグロい事になるからやめておけよ」

盗賊娘「っていう事があったんです」
聖騎士女「ふむ……。振動。衝撃。これは……」

聖騎士女「やはりな。弱い<衝撃>を長く照射すれば加熱できる」
術士「天才なのもほどほどにしとけよ」


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Post-0091

剣士「聖騎士女さん、<衝撃>の練習を?」
聖騎士女「ああ、天啓を果たした後も<衝撃>は残る。これをどう使うかを考えねば」
術士「あいかわらず真面目だな。例えば狭く弱く使って対人に使えないか?」
聖騎士女「なるほど、今まで強く広く使ってきたが、冒険者ならそちらの方が良さそうだ」
盗賊娘「ごはんですよー」

聖騎士女「盗賊娘は料理が上手いな」
剣士「安い肉なのに驚くほど柔らかい。余分な脂がなくむしろ好みだ」
術士「安い肉を丹念に叩いて筋切りしたんだな」
聖騎士女「ふむ、筋切り……」

聖騎士女「今日は私が料理をしよう」
剣士「いいですよ、私がします」
術士「そうだな」
聖騎士女「いいから。安い肉を買ってきた」
(目をつぶって手をかざす)
聖騎士女「優しく、小さく。<衝撃>」
(ヴゥン)

剣士「見事に飛び散りましたね」
術士「やりたい事だけは理解できた」
聖騎士女「面目ない」
盗賊娘「聖騎士女さんも失敗するんですね」
聖騎士女「むしろ誰よりも失敗する。そうしないと身につかないからな」


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Post-0090

聖騎士女「しかし、お前らがそんな思いで着いてきてくれていたとは。私が盲目だった。本当にありがとう」
剣士「いえ、私が好きでした事ですから。貴方のように気高い人が神殿の兵器として使われるのは忍びなかった」
術士「俺は、聖騎士女が、眩しかったから着いてきた。神殿術士とはいえ魔術を使う身、他の者からは唾棄される。だが、聖騎士女だけは、俺のことを名前で呼んだ」
聖騎士女「それだけで……?」
術士「それが、どれだけ眩しかった事か」
聖騎士女「すまない、私はそんな事すら知らなかったのだな」
術士「光が影を生むのは当然、それは光の責任ではない。でも、聖騎士女は俺を照らしてくれた」
聖騎士女「そして盗賊娘。お前がわがままを言わなければ我々は帰ってきていないだろう。ありがとう」
盗賊娘「いえ、そんな。でも、みんな帰って来れて嬉しいです」
聖騎士女「これで戦士に恨まれずに済む」
盗賊娘(赤くなってうつむく)


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Post-0085

剣士「遺跡の闘技場。なるほど、なぜこの広さが必要だったか、何と戦っていたかが明らかになったな」
術士「つまり、怪物をつないで餌を食わせる檻。あまりにも大きい」
聖騎士女「ついに天啓の時が来たわけだ。私が<衝撃>を授かった理由が……」
盗賊娘「山のような大きさの腐敗したドラゴン……。こんな化け物が……」
術士「おっとブレスだな。<透明防壁>。威力はともかく、この大きさはな」
聖騎士女「だからこその私だろう。皆下がっててくれ。撃つ」
剣士「いえ、下がりません」
術士「そうだね、下がらない。盗賊娘はちょっと下がっててくれ」
聖騎士女「下がりなさい。巻き込んでしまう」
剣士「リーダー、いえ、貴方は我々が引いたら確実を期すために自分を巻き込む威力で<衝撃>を使う。それをさせないためにずっと着いてきたんですよ」
術士「俺は聖騎士女がいい女だから着いてきたよ。だがちょっと俺の手には余るな。ただいい女が世の中から減るのには同意できない」
盗賊娘「みんな……」
剣士「すまないな。だが君も仲間はずれではない。君は我々のマスターピースだ」
術士「聖騎士女が<衝撃>を撃ったらドラゴンの目が落ちる。それを剣士と共に取りに行って破壊してくれ。それができないと奴は復活する。じり貧だ」
盗賊娘「お前は帰れ、って言わないんですか……?」
聖騎士女「悪いが付き合ってくれ。だが、君には生きて達成したい目的があるのだろう?絶対に生き残れ」
盗賊娘「嫌です」
剣士「嫌……?」
盗賊娘「みんなで生き残らないと嫌です」
聖騎士女「はは!欲張りだな!だがそれが冒険者の本質だ。行くぞ!」


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Post-0082

盗賊「なあ聖騎士女、地下にも<衝撃>を撃てば楽できるんじゃないか?」
剣士「やめろ。我がリーダーに<加護>を使わせようとするな。<加護>は彼女の判断で使うものだ」
聖騎士女「ありがとう剣士。すまない、盗賊。<衝撃>は減衰する。地中に向けるのは威力調整が難しいのだ」
盗賊「なるほど。威力が下がるのではなく、不要に殺すから使いたくないんだな」
剣士「黙れ。<加護>を探るな」
術士「落ち着け剣士。探っていない。奴はお前と同じ事を考えている」
剣士「あ……すまない。無礼を働いた」
盗賊「いいパーティだな」


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