Post-0160

聖騎士女「ん……?あそこにいるのは偽聖騎士か……?」

偽聖騎士「待て!少年は確かにパンを盗んだかもしれない!しかし理由を聞かずに殴るのが正しいとオレは思わない!」
少年「ご、ごめんよ。親がいなくなっちゃって、妹が腹を空かせてるんだ……」
パン屋「なら最初から言えよ」
偽聖騎士「金はオレが払おう。少年、行く当てはないのか?」
聖騎士女「失礼する。幸い、教会で孤児を世話しているシスターを知っている。少年が望むなら紹介できるが」
偽聖騎士「おや聖騎士女。キミの紹介なら安心だ」

聖騎士女「あそこにいるのは偽聖騎士……?」

偽聖騎士「貴族とは言え平民を斬るには正当な理由が必要だ!理由なく斬るならオレが代理で相手しよう!」
貴族「聖騎士とは言え逆らうならば容赦せぬぞ!」
偽聖騎士「オレは聖騎士ではない!しかしお相手する!」
聖騎士女「失礼する。私は正式な聖騎士だ。理由なく平民を斬るなら、貴族の論理ではなく神の論理で裁かねばならないが」
貴族「くっ、名に聞く聖騎士女か。命拾いしたな若造」
偽聖騎士「引くなら追わん」
聖騎士女「あなたの戦いを奪ってしまったな」
偽聖騎士「正しい結果が出るなら手段は問わない。キミが加勢してくれて助かった」

聖騎士女「行く先々に偽聖騎士がいるな……。何の巡り合わせだ……?」

偽聖騎士「見つけた!少年の両親を殺したのはお前らだな!これは天誅ではない、人誅だ!抜け!」
聖騎士女「判断が早すぎる。まるで戦士のようだ。この早さで行動されるとフォローが間に合わない……」
偽聖騎士「一閃!命は取らない。懺悔しろ」
聖騎士女「失礼する。官憲に突き出す前に話を聞かせて貰おう」
偽聖騎士「やあ聖騎士女。証人がいてくれると助かる」

聖騎士女「あなたはあまりにも判断が速い。しかし間違っているようにも見えない」
偽聖騎士「それは持っている力の違いだろう。オレは今腕力以外の力を持たない。だから大きな被害も出ない」
聖騎士女「それは、確かにそうかも知れない。私は加護があるが故に、まず被害範囲を考えてしまう」
偽聖騎士「それは責任のある考え方だし、全く悪くない。が、オレはその場で動けるフットワークがある」
聖騎士女「確かに。なるほど、あなたはやはり面白い」
偽聖騎士「ははは、引き続きがんばるよ。では!」

聖騎士女「神は彼にあえて加護を与えないのでは……?」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0154

聖騎士女「盗賊娘がいないと、なんというか、風穴が開いたような気持ちになるな」
剣士「そうですね。ただ、まあ、蛮族娘さんと一緒にいるときは本当に子供のように笑う。だから、いいのではないですか?」
術士「お前神殿に仕えてなかったらいいパパになったろうにな」
剣士「はは、あんなに素直な子がいてくれるなら、きっと世の中の親というのは幸せなのだろうな」
術士「そうかね。幸せに生きて神にたどり着く奴もいるし、地獄の中で神にすがるものもいる。思い込みが一番危ないんじゃねえかな」
剣士「す、すまん。あまりにも雑な物言いだった」
術士「いいよ。少なくとも俺は今毎日が楽しい」
聖騎士女「ん……?向こうで騒ぎが起きてる。急ごう」

偽聖騎士「借金のカタに子供を連れて行くなんて、人が許しても神が許さん!抜け!」
悪徳商人「聖騎士の鎧……。しかし加護を撃つ前に畳みかければ!行け手下ども」
手下「うぉー!」
偽聖騎士「オレには加護はない!天誅ではなく人誅だ!」
剣士「凄い技術だ。私とも戦士君とも騎士殿とも違う。膂力を完全に流れで活かしている」
術士「が多勢に無勢だな。偽物みたいだが助けるか?」
聖騎士女「格好ではなく行いで判断すべきだ。が、私一人で十分だ。そこの人、合わせる」
偽聖騎士「ありがたい!オレは左から右へ、キミは逆を頼む。キミは女性だが守る方が失礼だ」
聖騎士女「そのように言ってくれるのは嬉しいな。10手詰みだ。まず1手」
偽聖騎士「お上手。では2手3手」
悪徳商人「聖騎士が2人……。あまりにも強い。お前らはそこで時間を稼げ!」
剣士「ようこそこちらへ。怪我をしない程度に、お相手しましょうか」
術士「こいつはちょっとスネてるんでな。運がなかったな」

偽聖騎士「ふぅ、誰も怪我せず鎮圧できた。協力してくれてありがとう」
聖騎士女「礼には及ばない。失礼だが、その鎧は聖騎士にのみ与えられるもの。あなたも同じく聖騎士という認識で良いか?」
偽聖騎士「いや、オレは加護を与えられていない。だから聖騎士ではない。が、この鎧は死んだ聖騎士から譲られたもの、正式にオレのものだ」
聖騎士女「そうか、失礼した」
偽聖騎士「……怒らないのか?神に認められて初めて身につけられる鎧を、聖騎士でないオレが身につけていて。キミも血のにじむ努力の上で聖騎士になったのだろう?」
聖騎士女「努力したのは私が望んでの事だ。それで誰かを責める権利がある訳でもない。鎧が奪ったものではなく譲られたものであれば責める道理がない」
偽聖騎士「ありがとう。キミのような聖騎士を見たのは初めてだ」
聖騎士女「まあ私も変わり者だからな。それよりも今の詳しい話を聞かせて貰えるだろうか」

偽聖騎士「と言う訳で、あの悪徳商人が無理矢理金を貸しては剥がして子供を連れ去っていた。それを誰もとがめる事ができなかった」
聖騎士女「責めるな。強くない事を怒るのは強者の驕りだ」
偽聖騎士「もちろんだ。だからこその放浪者だ。オレにしかできない事を、今日オレはした」
聖騎士女「立派だ。神ならぬ私にはわからないが、あなたは必要な物を備えていると思う」
偽聖騎士「はは、本物に認めて貰うのはくすぐったいな。だが、オレもいつか加護を得て人を救う本物になるために修行を続けていくよ」
聖騎士女「そうなる事を願っている。もし何かあれば、私達の酒場を訪ねてくれ」
偽聖騎士「ああ、助かるよ。いい女だな」
聖騎士女「真顔でそう言ってくれる人間は初めてかもしれないな」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
#日常編

追って加筆修正し、以下まとめサイトに掲載します!
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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。