Post-0043

盗賊「なあ戦士」
戦士「……ん?」
盗賊「あの盗賊娘な」
戦士「うん」
盗賊「動きが盗む動きじゃない。殺す動きだ。まだ抜けてない」
戦士「そうだな」
盗賊「近くにいる時に、スイッチが入ったら。一撃で命まで持ってくのが刺客だぞ」
戦士「スイッチなんて入んねーよ。入ったとしてもあの娘の責任じゃねーだろ」
盗賊「責任じゃなくても、命は持って行かれるぞ」
戦士「そんな事そもそもさせねーよ。あとな、たとえお前でもあの娘にそれ言ったら許さねーぞ」
盗賊「わかってるよ。だからお前に言ってるんだろうが」
戦士「一回手を差し伸べたんだから最後まで面倒見るよ。好きで仕込まれたんじゃないんだろ。お前も」
盗賊「……お前」
戦士「いい。言いたくなるまで聞かねーよ。それは誰に対してもだ」


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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0042

盗賊「なあ騎士」
騎士「なんだ?」
盗賊「お前さ、戦士の腕を『普通』って言ったろ?」
騎士「言った。普通だ」
盗賊「あんなのが『普通』っていうのも相当だぞ。どういう判断基準だよ」
騎士「私が王子に仕えていた時の周囲と同じくらいだ」
盗賊「おめえよ。それは国のトップレベルの平均だろ。それで普通って言われる戦士が可哀想だろ」
戦士「別に可哀想でもないな。負ける時は負けるしな。強いとも思ってねーよ。が、根性比べなら話は別だ」
騎士「本当にお前らしいな。そういう所は評価できる」
戦士「はは、騎士様お墨付きの根性か、悪くねーな」


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Post-0041

騎士「今回はかなりの大成功だったな。生還を祝って乾杯しよう。杯を掲げろ!」
全員「かんぱーい!」
戦士「(一気にあおって)今日は久々に蒸留酒飲むか」
盗賊「お前は駄目だぞ、魔法使い」
魔法使い「はい。蜂蜜酒くらいがちょうどいいです」
僧侶「せせらぎ村のワインもありますよ」
看板娘「ほら、子豚の蒸し焼きだよ。今回は儲かったの?」
戦士「あはは、久々に大儲けだよ」

(しばらく楽しく飲んでいる)
(町人が一人脇を通りかかる)
(突然町人を引き倒す盗賊)

盗賊「おい、お前町の者じゃないな」
町人「いえ、この町の者です」
盗賊「残念だったな、俺は全員の顔を覚えてるんだ」

(町人の懐をまさぐる盗賊)

盗賊「そして町人はこんな毒瓶を持っていない。飲んでみるか?」
町人「く、くそ、化け物か」
盗賊「変装は上手かったな。しかしそいつには目元にほくろがあるんだ」
町人「お前何者だ」
盗賊「しがない盗賊だよ。おい、みんな、俺はちょっとコイツと遊んでくるから続けておいてくれ」


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Post-0040

騎士「ふむ、こちらの山賊どもは一息つける感じか」
騎士「ん?向こうに一団が行くな。あっちは手薄だ」
騎士「まあ死ぬほどの怪我でもないな。行こう」

騎士「ぜぇぜぇ……。片付けた。む、向こうにまた一団が」
騎士「もう少し減らせれば皆が怪我をせずに済む。行こう」

戦士「馬鹿野郎!てめえ怪我だらけじゃねえか!行くな!俺が行く!」
騎士「おお、戦士。2人いれば楽に」
戦士「てめえは帰れ!貴族の行いだか知らんが、『一人も死なせない』から自分を外すんじゃねえ!」
騎士「……!」
戦士「てめえが死んでも『一人も死なせない』が守れないだろ!騎士様は約束を守らないのか!?」
騎士「す、すまん」
戦士「とっとと帰って僧侶に治して貰って、後は最終ラインで身体を休めてろ生真面目野郎!」


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Post-0039

盗賊娘「ねえ戦士、あんたは誰にでもそんな感じで優しいの?」
戦士「優しくはねえけど、相手で態度も変えねえな」
盗賊娘「あー、そんな感じなんだ」
戦士「まあ、な。仲間は別だぞ。あいつらはもう分かってるし分かってくれてる」
盗賊娘「へー、いいね」
戦士「ん?お前も仲間だろ?」
盗賊娘「別パーティに押し込んでおいて?」
戦士「パーティが別でも仲間だろ」
盗賊娘「そう。……認めて、くれてるんだ」
戦士「当たり前だろ。お前すげえ大活躍だって聞いてるぞ」
盗賊娘「そりゃ、まあ、あんたの紹介だからね」
戦士「俺の顔はどうでもいいからさ、楽しくやれよ。他に行きたかったらそれでもいいし、冒険者やめてもいいんだからな」
盗賊娘「うん……。わかった」
戦士「おうよ。じゃあな。またなんかあったら来いよ。俺もそっち行くし」
盗賊娘「うん……。じゃあ、またね」

僧侶(もう少し、戦士さんが察し良ければいいんですけどねぇ……)


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Post-0038

盗賊「危ない戦いだったな。一直線に繰り返し行くのはさすがに肝が冷えた」
戦士「勝ったからいいだろ。卑怯者はまっすぐ殴り倒さねえと意味ねえ」
魔法使い「最後には勝つんですからそれでいいんでしょうね」
騎士「虚仮の一念岩をも通す、か」
戦士「虚仮って何だ?」
騎士「まあ、馬鹿って事だよ。いい意味のな」
戦士「何をどう考えても褒めてねえな」


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Post-0037

盗賊「なあ、別パーティにいる盗賊娘、アイツなんなんだ?」
戦士「ああ、昔色々あってな」
僧侶「聞いても?」
戦士「別に隠してもいないからな。アイツ地下組織の刺客だったんだよ」
騎士「お前を狙って?」
戦士「いや、まだ仕事をした事がなかった。行きがけで地下組織ぶっ潰した時に拾ってな」
魔法使い「だいたい想像できます」
戦士「いや、さすがにさ、堅気にはなれないだろうから、知ってるパーティに預けたんだよ」
盗賊「それだけ?」
戦士「それだけ。まあたまに様子は見に行ったけどな」
騎士「お前が拾ってやれば良かったのに」
戦士「変に俺に恩を感じて貰っても良くねーしさ。あとあっちのパーティには女いるから」
魔法使い「本当に戦士さんっていい人ですよね」
僧侶(いい人過ぎるんですよねぇ……)
戦士「ん?なんか言った?」
僧侶「いえ、正しき行いは神に認められますよ」
戦士「認めて貰っても腹は膨れねえけどな」


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Post-0036

看板娘「あんたらさ、もうちょっと上手く生きられないの?」
戦士「冒険者の時点で上手く生きられてねえだろ。何言ってんだ?」
盗賊(吹き出す)
僧侶「あはははは、おっしゃるとおりですね」
騎士「私は十分上手く生きているつもりだが?」
魔法使い「左遷されているのに?」
騎士「言われてみればそうだな」
看板娘「あんたらさ、正しい事はしてると思うんだけどさ、もうちょっと上手くやれない?」
戦士「俺らは冒険者だからさ。人の目に怯えてても死ぬ時は死ぬからさ。だから自分が正しいと思う事を曲げたくねーんだよな。ああしとけば良かったと思いながら死にたくねえ」
盗賊「お前、本当に馬鹿だな。でもまあ馬鹿にしか見えない真実もあると思うわ」
僧侶「戦士さん、是非教会にいらっしゃい」
騎士「やり方は馬鹿だが、正しさが間違っていなければ別に問題ないな」
魔法使い「自分を曲げないって凄いですよね」
看板娘「きいたあたしが馬鹿だったよ。馬鹿がうつったかね。ほら、エール飲んでいきな」


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Post-0035

戦士「よし、奥歯をガッと噛みしめて」
子供「噛みしめて」
戦士「頭の上からまっすぐに剣を下ろせ」
子供「下ろす」
戦士「そうだ。盾とか兜とか関係ねえ。一撃でぶっとばせ」
子供「ぶっとばす」
騎士「戦士、その少年の体格では無理だ」
子供「……無理?」
戦士「いや、無理じゃねえ。振りができたら次は身体の動きで威力が出る」
騎士「ふむ……?」
戦士「騎士様は腕力と鎧で動かず勝負だろ。戦士はな、鎧は軽めで全身で行くんだよ」
騎士「なるほどな」
戦士「でもまあ、ガタイがいい子には鎧着せて重戦士がいいからな。お前教えられるか?」
騎士「お前は変なところで面倒見がいいな」


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Post-0034

魔法使い「なんで戦士さんはあんなに下がらずに前に出るんですか?」
戦士「あー。俺さ、多分下がったら逃げちまうんだよ」
魔法使い「戦士さんが?」
戦士「うん。俺さ、子供の頃、犬が恐くて」
魔法使い「犬?」
戦士「道ばたで犬に出会うと家まで逃げて姉貴に泣きついてた」
魔法使い「せ、戦士さんが……?」
戦士「だからさ、一歩下がったら、多分俺、逃げるんだよ」
魔法使い「絶対そんな事ないですよ」
戦士「それにさ、下がった分踏み込まれたら、誰かが窮屈な思いをするだろ?だから俺は踏み込むんだよ」
魔法使い「戦士さんらしいですね」
戦士「だから安心して俺の後ろにいろよ。絶対に抜かせねえから」


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