Post-0122

盗賊娘「遺跡が、内側に崩れていく……」
剣士「余裕で間に合ったな。だが肝を冷やした」
術士「これは魔術じゃない、何かの仕組みだ。相当高度な技術だな……」
聖騎士女「哀れな犠牲者達に祈りを……」
剣士「……!」(柄頭に手を当てる)
聖騎士女「駄目だ。近隣の人だ。ここではこちらが来訪者。先に抜くな」
術士「原住……」
盗賊娘「近隣の、ひと、です」
術士「あ、ああ。すまん」
仮面「いでぃあーざ、ざむざ、ぐらつぃあっか、べれな」
術士「仕方ない、<対話>を」
聖騎士女「やめろ、失礼に当たる。<翻訳>」
術士「この前教えたばっかりだろ……」

聖騎士女『失礼した、我々に敵意はない』
仮面『月の遺跡崩れた。お前らが原因。許されない』
聖騎士女『我々は敵ではない。君達の悲願の成就に助力しに来た』
仮面『お前らが何を知っている?』
聖騎士女『贄の黄金を持たず、鍵と封印の像だけを持ってきた。装飾品は多少ながら分けて貰った』
仮面『……。ぜひ、我らの長代行、呪術女と会ってくれ』

盗賊娘「ぺらぺらですね……」
術士「いや、あれは術によるものだ。問題は、俺が習得するのに2年かかった術を1週間で使いこなしてる部分だよ……」
剣士「まあ目の当たりにすると自分の才能に絶望するな。私もそうだ」
盗賊娘「剣術も信じられないですもんね」

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#ちょっとズレてるお人好しども

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Post-0121

盗賊娘「像を取ります。みなさん、準備はいいですか……?」
剣士「なあ聖騎士女、この黄金の像、1つでも持って行けば相当な収入にならないか?」
術士「今回手に入った財宝だけで十分だと思うが……」
聖騎士女「はは、生き物が金になった、その金を持って帰りたいか?」
剣士「……!?」
術士「言うんだ……」
聖騎士女「像を取れば程なく遺跡が崩れる。墓にふさわしい穴ができる」
剣士「……」
聖騎士女「土に返してやれないのは申し訳ない。が、神ならぬ我らではできない事がある」
剣士「……わかりました」
聖騎士女「しかし、できなかった事をそのままにするつもりもない。次に向けて何か考える。そのためには今逃げろ」
剣士「わかりました。おい、盗賊娘君、像以外は何もいらないから転ばない程度に全力で走るんだ!」
術士「剣士に言われる前に<加速>も使うよ」
剣士「よろしい」

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Post-0120

聖騎士女「盗賊娘が来てから我がパーティは失敗なしだな」
剣士「今回も盗賊娘君がほとんどの罠を外してくれた」
術士「宝箱に至っては全部成功だからな。並大抵の技術じゃない」
盗賊娘「宝箱も結局は鍵ですから……。役に立てて嬉しいです」
剣士「こんな秘境に大量の黄金が。どこで掘った物だろう……?」
術士「それとも、ここに運ぶ意味があったのだろうか……?全て財貨でなく生き物の実物大の像である事に……。ああ、なるほど。ハメたな聖騎士女」
聖騎士女「はは、ハメてなどいない。大量の財宝と、そしてこの『銀月を掲げる女の像』。これだけが実物大ではない。わかるか?」
剣士「……?正直、わかるのは試練絡みだという事だけです」
盗賊娘「どういう事ですか……?」
聖騎士女「これは宝ではなく、『鍵』であり『封印』だ。つまり、これを台から外した後、死ぬ気で走って逃げる必要があるという事だ」
剣士「……?」
聖騎士女「そして、これを持ち逃げした後、もっと大きな遺跡に挑まなければならない」
術士「勘弁してくれよ……」
盗賊娘「必要なこと、なんですね?」
聖騎士女「そうだ」
盗賊娘「なら、みんな先に逃げてください。私が一番早い。みんなが逃げてからこの像を台座から外します」
剣士「盗賊娘君……!それは駄目だ」
盗賊娘「大丈夫です。この像が必要なんですよね?なら『絶対』持って逃げて追いつきます」
剣士「『絶対』か……」
聖騎士女「はは、ついに巣立たれたな、剣士」
術士「そうだなパパ」
剣士「よしたまえ」
盗賊娘「さあみんな、先に行って……!」

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Post-0119

銀騎士「こんな辺境までご足労頂き誠に恐悦至極です」
第三王子「気温が不愉快である。改善せよ」
銀騎士「御意。禁術使い、できるな」
禁術使い「(不意を突かれて)も、もちろん望外の喜び。輿のお背中に失礼します。<凍結>!」
第三王子「速き対応に免じて罰を許す。早く余の望ものを提供せよ」
銀騎士「ご厚意伏して感謝いたします。美食はすぐに。女は申し訳ありません、原住民を見繕いましょう。聖体と供物もすぐに」
第三王子「寄れ」
銀騎士「は」
第三王子(唾を吐きかける)「余が要求する前に用意するのが臣民の務めであろう。戻り次第罰を与える」
銀騎士「は」
第三王子「しかし、働き次第では処遇も考える。務めよ」
銀騎士「もったいなきお申し出。必ずやご期待に添います」
第三王子「そこな術士、湿気も対処せよ」
禁術使い「喜んで。<乾燥>!いかがでしょうか」
第三王子(持っている杯を投げつけて)「余が申す前に対処せよ」
禁術使い「伏してお許しを願い申し上げます」
第三王子「ふむ。励め」
禁術使い「伏して感謝申し上げます」

闘士「手が滑って殴るわけには……いかないな、やるなら殺さんと後腐れになりそうだ」

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Post-0113

聖騎士女「さすがに虫が多いな。虫はちょっと苦手だ」
術士「へぇ、聖騎士様にも苦手なものがあるんだな」
剣士「人間だ、当然苦手なものもある」
盗賊娘「あのね、聖騎士女さん。この辺の虫って、高い音を嫌うんです。ご存じです?」
聖騎士女「ふむ……。高い音を放てば寄りつかないのか」
盗賊娘「<衝撃>って威力低いと高い音が出ますよね」
聖騎士女「はは!<衝撃>を虫除けに!これは役得だな」
術士「聖騎士女だけじゃなく、俺らを囲うように音を出して貰えると助かる」
剣士「そうだな、茶化していたが術士も虫が苦手だものな」
盗賊娘「ふふ、みなさんも人間らしいところあるんですね」
聖騎士女「当然だ。聖職者である前に一人の人間だぞ我々は」

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Post-0103

聖騎士女「やはり、天啓を果たした聖騎士は漏れなく命か<加護>を失っている。文献で例外が見つけられない」
聖騎士女「とすると、この<衝撃>、別に求められる何かがあるのだろうか……?」
(図書館の棚から一冊の本が落ちてくる)
聖騎士女「おっと、本が傷む(キャッチする)。ふむ、『還らずの都市』。何かの伝承か」
聖騎士女「古代魔法王国時代の伝承か。これも何かの導きかも知れないな」

盗賊娘「戦士達、辺境で巡回の仕事をうけて行ってしまったんです」
聖騎士女「あのあたりは紳士協定で危険は少ない、安心しろ。まああやつらに危険を運べる者もそうそういないと思うが」
剣士「我々も何か仕事を探しましょうか。蓄えは十分ありますが減らさないに越した事はない」
術士「いや、なにかあるんだよな、聖騎士女」
聖騎士女「はは、鋭いな術士。たまには冒険者らしく荒野の冒険もでも行かないか?まあ荒野ではなく密林だが」
盗賊娘「密林、ですか……?」
聖騎士女「もしかしたら戦士達にも会えるかも知れないな」
剣士「密林、ですね。虫除けにタバコを用意しましょう。タバコを水に浸すと虫除けになる」
術士「突然前向き……、いや、なんでもない。すぐ準備しよう」
聖騎士女(あの笑顔を見てはな……)
剣士(ウィンク)
術士(ため息)

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Post-0097

術士「盗賊娘、ちょっといいか」
盗賊娘「はい、もちろん」
術士「聖騎士女が眩しいのは分かる。俺もそう思う。ただ、あまり真似しようとするな」
盗賊娘「はい……?」
術士「聖騎士女は天才だ。なんでもできる。のが、神の酷いところだよ」
盗賊娘「天才なのに、ですか?」
術士「聖騎士女は努力すればなんでもできる。そして、何でもできるから何にでも努力する。常に次々に手を出す。休む暇がない。お前も完璧でない事が多すぎて努力をしすぎる。少し休め」
盗賊娘「私も、早く、みんなの役に立ちたくて……」
術士「もう役に立っている。聖騎士女はできるから立ち止まらない。お前は足りないから立ち止まらない。でも、それは危うい。もっとゆっくり歩け。おぼつかない者が速く歩くと転ぶ」
盗賊娘「はい、ありがとうございます」
術士「本当は聖騎士女にも言いたいんだが、あいつは聞かないからな……」
盗賊娘「はい……」
剣士「おい、術士、盗賊娘を泣かせているのか……?さすがにお前相手でも許せんな」
術士「おい勘弁してくれよ。俺は抜く剣がない」
盗賊娘「違うんです、嬉しくて……」
剣士「そうか、なら良い……」
盗賊娘「そう言ってくれるのも嬉しいんです……」


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Post-0093

魔法使い「ちょっと面白い事を発見したんです」
僧侶「面白い事、ですか?」
魔法使い「ええ。便利魔法の<振動>なんですけど、これを長く使うと振動しているものが熱くなるんです」
僧侶「面白いですね」
魔法使い「調べてみて、多分なんですけど、『熱い』っていうのって、多分『揺れ』と関係あるんですよね。これなにか新しい魔法にできないかな……?」

魔法使い「という事で新しい魔法ができました。<加熱>です。やっぱり振動させると熱くなるんです」
僧侶「これ、食べ物を温めるのにいいですね」
盗賊「人間につかったらグロい事になるからやめておけよ」

盗賊娘「っていう事があったんです」
聖騎士女「ふむ……。振動。衝撃。これは……」

聖騎士女「やはりな。弱い<衝撃>を長く照射すれば加熱できる」
術士「天才なのもほどほどにしとけよ」


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Post-0091

剣士「聖騎士女さん、<衝撃>の練習を?」
聖騎士女「ああ、天啓を果たした後も<衝撃>は残る。これをどう使うかを考えねば」
術士「あいかわらず真面目だな。例えば狭く弱く使って対人に使えないか?」
聖騎士女「なるほど、今まで強く広く使ってきたが、冒険者ならそちらの方が良さそうだ」
盗賊娘「ごはんですよー」

聖騎士女「盗賊娘は料理が上手いな」
剣士「安い肉なのに驚くほど柔らかい。余分な脂がなくむしろ好みだ」
術士「安い肉を丹念に叩いて筋切りしたんだな」
聖騎士女「ふむ、筋切り……」

聖騎士女「今日は私が料理をしよう」
剣士「いいですよ、私がします」
術士「そうだな」
聖騎士女「いいから。安い肉を買ってきた」
(目をつぶって手をかざす)
聖騎士女「優しく、小さく。<衝撃>」
(ヴゥン)

剣士「見事に飛び散りましたね」
術士「やりたい事だけは理解できた」
聖騎士女「面目ない」
盗賊娘「聖騎士女さんも失敗するんですね」
聖騎士女「むしろ誰よりも失敗する。そうしないと身につかないからな」


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Post-0090

聖騎士女「しかし、お前らがそんな思いで着いてきてくれていたとは。私が盲目だった。本当にありがとう」
剣士「いえ、私が好きでした事ですから。貴方のように気高い人が神殿の兵器として使われるのは忍びなかった」
術士「俺は、聖騎士女が、眩しかったから着いてきた。神殿術士とはいえ魔術を使う身、他の者からは唾棄される。だが、聖騎士女だけは、俺のことを名前で呼んだ」
聖騎士女「それだけで……?」
術士「それが、どれだけ眩しかった事か」
聖騎士女「すまない、私はそんな事すら知らなかったのだな」
術士「光が影を生むのは当然、それは光の責任ではない。でも、聖騎士女は俺を照らしてくれた」
聖騎士女「そして盗賊娘。お前がわがままを言わなければ我々は帰ってきていないだろう。ありがとう」
盗賊娘「いえ、そんな。でも、みんな帰って来れて嬉しいです」
聖騎士女「これで戦士に恨まれずに済む」
盗賊娘(赤くなってうつむく)


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