Post-0163

戦士「さ、花も手向けたしそろそろ帰るか。柄にもない事をしたせいか、ちょっと疲れたぜ」
盗賊娘「うん、帰ろう。帰ったら酒場でエールを飲んで、たまにサウナにも行くといいよ」
戦士「サウナか、いいな。散々我慢した後に引っかけるエールが最高だよな」
蛮族娘「サウナ?何?」
戦士「あー、なんて言うんだ、あれ。自分を蒸すんだよ」
蛮族娘「蒸す?自分、食べる?愚か?」
戦士「やってる事は我慢大会だから賢くはねえな。が、まあ一回行って見ろよ」
盗賊娘「帰ったら、一緒に行く?」
蛮族娘「試す、良い事。試さず、断る、勇気ない」
盗賊娘「きっと気に入るよ」
戦士「また森で狼呼ぶのか?」
蛮族娘「ううん。もう、狼、仲間。必要ない、呼ぶ、しない」
盗賊娘「そうだね。友達でも用のないときに一杯呼ぶと迷惑だもんね」
戦士「寂しい時に呼ぶのは用があるって言うけどな」

蛮族娘「……?」
盗賊娘「……狼でも、熊でもない気配!」
戦士「お、蛮族娘、熊の皮被るのか?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「目の錯覚?蛮族娘が薄く光ってる!?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「斧振り回しながら突っ込んでった……。あれは手負いの猪!でかい!避けろ蛮族娘!」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「あの巨体の突進を前から受け止められるの……嘘……」
戦士「そのまま投げ飛ばして斧で止め。やってる事が熊だぞ」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「こっちむいて突っ込んでくるな……」
盗賊娘「ちょ、ちょっとやめて、蛮族娘!?」
戦士「じゃあちょっと失礼して……おら!」
盗賊娘「受け止めて持ち上げるの……?」
戦士「相撲じゃまだ負けないからな。落ち着け……ないんだな。ちょっと締めるぞ。毛皮が邪魔だ」
蛮族娘「……?苦しい、戦士、やめる、して」
盗賊娘「正気に戻った……」
戦士「あー、毛皮が原因か」
蛮族娘「勇者、熊、力、借りる。熊の勇者、全て、勝つ」
戦士「強いのはめちゃくちゃわかったから、ちょっと使い方考えようぜ」

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Post-0158

戦士「ほら、見えてきた。俺の故郷だ。もう何もねえけど、村の真ん中の神像を飾ってた台座だけ残ってる」
盗賊娘「風の、気持ちいい村、だね……」
戦士「もう村じゃねえけどな」
蛮族娘「この、花?何?」
戦士「ああ、矢車花だな。風の通るところに生えるんだ」

少年「あ、矢車花だ。ねーちゃんに持って行こ!木の実も十分集まった!」
おばさん「あれ、少年。もう木の実集まったのかい?じゃあ焼き菓子焼いてあげようか?」
少年「ありがと!でも今日はねーちゃんに焼いて貰う!」
おばさん「そうかい。転ばないようにね」
少年「うん!あ、ガリ!こっちくんなよ!」
ガリ「はは、ごめんね、邪魔だったかな」
少年「邪魔だよ!俺より重い物を持てるようになってからねーちゃんの所に来いよ!」
ガリ「そうだね、頑張るけど、きっとそうなるからそれまでは見逃してくれないかい?」
少年「だーめ!ガリの作った神像は凄いけど、農民は身体が第一!」
ガリ「ははは、じゃあ今日から頑張るよ。またあとでね」
少年「もう来んな!」
姉「あれ、少年。ガリさんは?」
少年「見なかったよ。はい。木の実」
姉「ふふ。じゃあ、焼き菓子を焼きましょうか」
少年「さんせーい!」

若騎士「なんと、お嬢様を狙って刺客が……」
密偵「はい。縁談を断られた貴族様が、お嬢様がこの村に気分転換にお泊まりになる事を知って刺客を放たれたと」
若騎士「やむを得ない。私だって多少は腕に覚えがある。私がお嬢様を馬の後ろに乗せて急ぎお送りしよう」
密偵「お供します」

おばさん「あ、あれは山賊!なんでこんな貧しい村に……!」
農夫「い、いかん、皆逃げろ……!」

山賊「チンケな村だが女がいようが逃げようが皆殺しにすれば後金が貰える。前金だけで十分だが後金は3倍だ」
山賊「遊んでないで奪うだけ奪って皆殺しにしろ」
山賊「はは、貴族様の依頼はうま味があるな!」
山賊「まず逃げる奴から殺せ」

ガリ「姉!少年!隠れろ!山賊が来てる!逃げられない!」
姉「ガリさん!山賊が……!」
少年「隠れてて助かるわけないだろ!逃げるしか」
ガリ「今だけでいい、いう事を聞け!」
少年「ガリが……俺を、殴った!?」
ガリ「ねえさんと一緒に隠れていろ!僕は、山賊を向こうに誘導する!」
少年「そんな事したらガリは……」
ガリ「君と姉さんは生き延びろ!」
姉「ガリさん……。うん……ありがとう……」
少年「ねーちゃん?」
姉「少年、何があっても声を出さないで。このクローゼットは大人は入れない。だから、見つからない」
少年「ねーちゃん?嫌だよ、やめて、なんでそんなに力が強いの……?」
姉「いいから。お願い。絶対に声を出さないで」
(クローゼットの閉まる音)

姉「ガリさん……。あの声は……。ああ、ガリさん」
少年「ねーちゃん!?泣いてるのか!?」
姉「喋らないで!これから一言も!」

山賊「女か。時間がないから命だけ貰うぜ」
姉「こ、これが全財産です。差し出せるものはこれしかありません。ど、どうか助けて」
山賊「駄目だ」
山賊「家捜しするか?」
山賊「死んだ女が命乞いに全額出したろ。探すだけ無駄だ」
山賊「そうか。まあ火を放つしな」

おばさん「姉!少年!いるなら出てきて!火が回ってる!」
おばさん「ああ、姉ちゃん。なんて可哀想に」
おばさん「そこにいるんだね少年!開けるよ。目を閉じて!」
少年「……」
おばさん「見ないで。山賊が村に火を放ったの。誰もいない方向に逃げるわよ」
少年「おばさんだって血まみれだよ……大けがをしてる」
おばさん「いいの。あなたを助けるまで死なないから。さあ一緒においで」
少年「なんで、騎士様は助けてくれなかったの……?」
おばさん「わからない。考えるのは生き延びてからにしましょう……」

戦士(持ってきた酒を台座にかける)
戦士「ガリとねーちゃんのおかげで今日も生きてるよ……」
蛮族娘(黙って矢車花を台に供える)
盗賊娘「ねえ戦士……?」
戦士「ああごめんな。何か気になるものがあったか?」
盗賊娘「ううん……あんたが気になる」
戦士「ああ、ちょっと感傷に浸ってただけだよ。柄にもないな」
盗賊娘「ううん。誰にだって過去と傷はあるから、おかしくない……」
戦士「そうか」
盗賊娘「でも、戦士が人に寄り添ってくれるように、戦士に寄り添いたい人だって一杯いるよ……?」
戦士「そうか……」
盗賊娘「うん。今言って、っていうんじゃなくて、言いたくなったら言って」
戦士「今の俺と、盗賊娘と蛮族娘がいたら、今もここに村があったんだろうな……。今度、堀のパン屋で甘い物でも食いながら話をしようか。この話にはあの婆さんが必要だ」
盗賊娘「うん……」
蛮族娘「話、聞く。そのあと、焼き菓子、食べる!」
戦士「ああ、そうだな。約束だ」

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Post-0156

戦士「おー。狼どもがついてくる」
盗賊娘「すごいね、心強いね」
蛮族娘「狼、熊、探す。熊、盗賊娘、倒す。一人で熊倒す、盗賊娘、勇者」
戦士「なるほど、タイマンで熊を倒せば勇者なのか。じゃあ俺もう勇者だな」
蛮族娘「勇者、熊の皮、被る、と、勝つ。何にでも」
戦士「熊を倒せる奴は熊より強い、なら誰にも負けない。なるほどなー。でも俺熊に勝てるけどチョイチョイ人間に負けるな」
蛮族娘「油断、愚か、負ける。愚か、勇者、ない」
戦士「馬鹿は勇者じゃない。じゃあ俺は勇者じゃないな」
盗賊娘「あはは」
戦士「いい笑顔だな。でもわかってるか?蛮族娘、今お前を勇者にしようとしてるぞ」
盗賊娘「……あはは。」
戦士「困ってるなら逃げてもいいんだぞ」
狼「ウォーン!」
蛮族娘「熊、番い!雌、オレ、服、変え!オス、盗賊娘!胸、ひと突き!かーうぉーうー!」

戦士「すげえな、正面から一気に攻め込んでる。下払いで立ち上がらせて下から切り上げ。これは動物にはできないな」
蛮族娘「うーららー!」
戦士「オスが突っ込んでくるぞ!俺が受けるか盗賊娘?」
盗賊娘「ううん。まかせて。ごめんね、命と皮を貰うよ……」
戦士「寸前で避けて足を攻撃。立ち上がらせて飛び込み胸を一突き。もう並大抵の相手じゃ俺の出番ないな」
蛮族娘「盗賊娘、勇者!オレ、服、作る!」
盗賊娘「ありがとう……あのね。番いだから子供がいないかな」
戦士「いや、時期じゃないな。が、一応探そう」
蛮族娘「狼、子供、探す」

戦士「どうやら子供はいなかったな。熊肉は大して美味くもねえけど、今日明日分の肉を貰って残りは狼にまかせるか。あと皮だな」
蛮族娘「皮、剥ぐ、できる!」
盗賊娘「わたしもできるよ」
戦士「いよいよ俺いらなかったな」

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Post-0154

聖騎士女「盗賊娘がいないと、なんというか、風穴が開いたような気持ちになるな」
剣士「そうですね。ただ、まあ、蛮族娘さんと一緒にいるときは本当に子供のように笑う。だから、いいのではないですか?」
術士「お前神殿に仕えてなかったらいいパパになったろうにな」
剣士「はは、あんなに素直な子がいてくれるなら、きっと世の中の親というのは幸せなのだろうな」
術士「そうかね。幸せに生きて神にたどり着く奴もいるし、地獄の中で神にすがるものもいる。思い込みが一番危ないんじゃねえかな」
剣士「す、すまん。あまりにも雑な物言いだった」
術士「いいよ。少なくとも俺は今毎日が楽しい」
聖騎士女「ん……?向こうで騒ぎが起きてる。急ごう」

偽聖騎士「借金のカタに子供を連れて行くなんて、人が許しても神が許さん!抜け!」
悪徳商人「聖騎士の鎧……。しかし加護を撃つ前に畳みかければ!行け手下ども」
手下「うぉー!」
偽聖騎士「オレには加護はない!天誅ではなく人誅だ!」
剣士「凄い技術だ。私とも戦士君とも騎士殿とも違う。膂力を完全に流れで活かしている」
術士「が多勢に無勢だな。偽物みたいだが助けるか?」
聖騎士女「格好ではなく行いで判断すべきだ。が、私一人で十分だ。そこの人、合わせる」
偽聖騎士「ありがたい!オレは左から右へ、キミは逆を頼む。キミは女性だが守る方が失礼だ」
聖騎士女「そのように言ってくれるのは嬉しいな。10手詰みだ。まず1手」
偽聖騎士「お上手。では2手3手」
悪徳商人「聖騎士が2人……。あまりにも強い。お前らはそこで時間を稼げ!」
剣士「ようこそこちらへ。怪我をしない程度に、お相手しましょうか」
術士「こいつはちょっとスネてるんでな。運がなかったな」

偽聖騎士「ふぅ、誰も怪我せず鎮圧できた。協力してくれてありがとう」
聖騎士女「礼には及ばない。失礼だが、その鎧は聖騎士にのみ与えられるもの。あなたも同じく聖騎士という認識で良いか?」
偽聖騎士「いや、オレは加護を与えられていない。だから聖騎士ではない。が、この鎧は死んだ聖騎士から譲られたもの、正式にオレのものだ」
聖騎士女「そうか、失礼した」
偽聖騎士「……怒らないのか?神に認められて初めて身につけられる鎧を、聖騎士でないオレが身につけていて。キミも血のにじむ努力の上で聖騎士になったのだろう?」
聖騎士女「努力したのは私が望んでの事だ。それで誰かを責める権利がある訳でもない。鎧が奪ったものではなく譲られたものであれば責める道理がない」
偽聖騎士「ありがとう。キミのような聖騎士を見たのは初めてだ」
聖騎士女「まあ私も変わり者だからな。それよりも今の詳しい話を聞かせて貰えるだろうか」

偽聖騎士「と言う訳で、あの悪徳商人が無理矢理金を貸しては剥がして子供を連れ去っていた。それを誰もとがめる事ができなかった」
聖騎士女「責めるな。強くない事を怒るのは強者の驕りだ」
偽聖騎士「もちろんだ。だからこその放浪者だ。オレにしかできない事を、今日オレはした」
聖騎士女「立派だ。神ならぬ私にはわからないが、あなたは必要な物を備えていると思う」
偽聖騎士「はは、本物に認めて貰うのはくすぐったいな。だが、オレもいつか加護を得て人を救う本物になるために修行を続けていくよ」
聖騎士女「そうなる事を願っている。もし何かあれば、私達の酒場を訪ねてくれ」
偽聖騎士「ああ、助かるよ。いい女だな」
聖騎士女「真顔でそう言ってくれる人間は初めてかもしれないな」

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Post-0153

戦士「よっと、準備もできたし、あとは背嚢に2〜3本キツい酒を……」
魔法使い「どこかお出かけですか?」
戦士「ああ、ちょっと暇だし、思い出の場所にでも行ってこようかな、って思ってな」
盗賊「……殊勝な事だな」
僧侶「……祈りは必要ですか?」
戦士「あっはっは、勝手に暗い話にするなよ」
盗賊娘「こんにちは」
蛮族娘「戦士、盗賊娘、一緒、森へ!」
盗賊娘「あっ……」
魔法使い「こんにちは!」
戦士「おう、森に行きたいのか?ならちょっと付き合ってくれるなら俺の行く先も森の向こうだ」
盗賊娘「……ついて、いって、いいの?」
蛮族娘「オレ、熊、毛皮、取る!盗賊娘、オレ、同じ服、着る!」
盗賊娘「……!……あ、ありがとう。でもわたし勇者じゃないから、勇者になってからで、いい?」
蛮族娘「勇者、自分の事、わかる。盗賊娘、勇者、近づいた」
盗賊娘「ありがとう」
戦士「そうか、盗賊娘が蛮族娘と同じ格好か。かなり格好いいな」
盗賊娘「よくないよ!きわどいよ!服じゃなくてわたしが恥ずかしい……」
戦士「すまんすまん。でも盗賊娘も蛮族娘も、何着ても似合うよな。真っ直ぐな奴は何着たって似合うんだよ」
蛮族娘「じゃあ、戦士、オレの服、似合う?」
戦士「本気で悪かった。流石に適当言い過ぎた」

戦士「森の向こうに、昔、村があったんだよな」
盗賊娘「そう……あったんだ」
蛮族娘「!?」
狼「ワォーン!ウォー」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
狼「ワォーン!ウォー」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
戦士「寄ってくる……!普通じゃねえ!構えろ!」
蛮族娘「大丈夫!かーうぉーうー!」
狼「ワォーン!ウォー」
盗賊娘「狼が、みんなお腹見せてる……」
蛮族娘「雄叫び、狼、降ろす。強い、白い、狼。狼、みんな、仲間」
戦士「蛮族娘がボス狼になったから、みんなが言う事を聞く、って事か?まるで魔法だな」
蛮族娘「魔法使い、オレの雄叫び、魔法、言った。オレ、魔法勇者」
盗賊娘「魔法勇者……。格好いいね!」

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Post-0151

盗賊「ただいま。結構釣れたぞ」
蛮族娘「魚、たくさん、取れた!」
盗賊「凄いな、慣れていない地なのに、蛮族娘の言うとおりに網を投げたら大量に魚が捕れる」
戦士「おう、そんなに取れたのか。すげえな」
蛮族娘「うーららー!」
魔法使い「自信満々ですね」
盗賊「というわけで頼むよ看板娘。適当に作ってくれ。お代は魚の半分でいいだろ?」
看板娘「ありがと!まかせて。これだけあれば酒場のみんなにおつまみを出せるね!まあお代は頂くけど」
戦士「じゃあそのおつまみも1個頼もうかな。残った魚は焼きたいが……この時期薪なんてないよな」
看板娘「店の外に切ってない薪あるから適当につかっていいよ!」
戦士「なら一働きするかな」
蛮族娘「木、切る!オレ、得意!」
戦士「お前は魚とってきてくれたんだから働かなくていいんだよ」
蛮族娘「二人、すると、早い!」
戦士「そりゃそうだな。じゃあ頼むか」
魔法使い「なら2人と半分ならもうちょっと早いですよね、僕もやります」
戦士「お、ありがたい」

蛮族娘「……!」
魔法使い「さすが力が強い」
戦士「よっと」
魔法使い「さすが手慣れてる」
魔法使い「そもそも斧が重いのは考えてなかったです。ふうふう」
戦士「結構腰据わってるし悪くないぞ」
魔法使い「どうも」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
魔法使い「うわ、金属の台まで食い込んだ……!」
戦士「あー、怒られるな。俺が謝っておくわ」
魔法使い「お願いします……って、金属に食い込む?ちょっと、蛮族娘さん、もう一回雄叫びをあげて貰えますか……?」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
魔法使い「なるほど……なるほど!?こ、これは大発見です!」
戦士「金属の台に2回食い込んだのが?」
魔法使い「違います!蛮族娘さんの雄叫び、雄叫びを上げた瞬間に体内でだけ魔力が走って身体が強化されています!」
戦士「……?」
蛮族娘「勇者、雄叫び、身体、強くする。心、強くする。勇者、は、逃げない」
魔法使い「雄叫びだけ語尾がアじゃないの、これは自分にだけしか効かない魔法だから、遠くまで届けなくていいんだ……!」
戦士「よくわからねえけど、このままやらせると金属の台真っ二つになるぞ」

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Post-0149

盗賊娘「わぁ、凄く素敵なお店……!」
蛮族娘「いい、匂い!」
戦士「邪魔するよ。久々だなおばさん。っていうかもう婆さんだな。膝の調子はいいのか?」
老婆「おや、いらっしゃい戦士。両手に花だね」
戦士「俺にゃあもったいねえよ。美味い焼き菓子適当に見繕ってくれるか。この子焼き菓子初めてなんだ」
老婆「そう。素敵な子達ね。じゃあ木の実を使った焼き菓子がいいかしら」
戦士「ああ、美味いよな」
老婆「昔はジャリだったあんたに木の実拾いをお願いしたね」
戦士「婆さんだってその頃おばさんだったろ」
老婆「もう、あの村を覚えてるのも私達だけね」
戦士「はは、その話はまた聞くよ。適当にいいのを見繕ってくれ」
盗賊娘「……」
蛮族娘「これ、ちょっと焦げた匂い。苦い、味、しない?」
戦士「大丈夫、ちょっと苦いが、それ以上に甘いぞ。そこが美味い」
老婆「あんたは腹に入りゃ一緒だろ」
戦士「あっはっは、そりゃまあそうだ。でも婆さんの腕を見込んでるから連れてきたんだよ」
老婆「じゃあちょっとおまけしてあげようかね」
戦士「たすかる。ちょっと蜂蜜も貰えるか?」
老婆「もちろん」
戦士「ミルクも貰うよ。外の椅子借りていいか?」

蛮族娘「うわぁ……」
戦士「結構固いからな。ザクザク噛んで食えよ」
盗賊娘「うん。もう匂いからして美味しいよ。優しいおばあさんだったね」
戦士「そうだな。昔から気のいい、優しい人だよ。俺みたいに怒り狂う事なんて決してない」
盗賊娘「うん……」
戦士「だから、あの婆さんの代わりに誰か怒らないと駄目だと、思うんだよな」
盗賊娘「それってさ……いや、今はいいや……」
戦士「ほら、大きくかぶりつくと噛めなくなるぞ。ミルクも忘れるなよ」
蛮族娘「あーん」
蛮族娘「……!」
蛮族娘「……!……!美味い!木の実、ガリガリ、言う!苦い、だけど、甘い!甘い、強い、甘い!」
戦士「な、美味いだろ」
盗賊娘「ね、こっちにも素敵な事が一杯あるよ」
蛮族娘「素敵!」
盗賊娘「あなたたちの素敵も、いつか教えてね」

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Post-0148

戦士「ん。こんなもんだろ。後は繰り返しだ」
盗賊娘「ありがと」
蛮族娘「盗賊娘、覚える、早い」
戦士「本当に盗賊娘は筋がいいんだよな。蛮族娘も相手としてめちゃくちゃ上手いよ。相手が悪いと練習も身につかないからな」
蛮族娘「うん!」
戦士「疲れただろうし甘いモンでも食いに行くか。疲れたときは甘いモンもいいよな」
盗賊娘「いいね。ねえ蛮族娘ちゃん、一緒に行こう?」
蛮族娘「行く!盗賊娘、オレ、ちゃん、いらない。オレ、盗賊娘、ちゃん、言わない」
盗賊娘「……うん。じゃあ、蛮族娘って呼び捨てにするね」
戦士「なんかいい感じだな。じゃあ、堀のパン屋で焼き菓子に蜂蜜かけたのでも喰ってくるか。あそこ酒ねえけど」
盗賊娘「戦士が焼き菓子食べてるの想像つかないね」
蛮族娘「焼き菓子、何?」
戦士「ああ、知らないよな。まあ喰ってみるのが一番だよ。俺も昔、姉貴の作る焼き菓子好きだったなぁ。貧しい農村だったから滅多に喰えなかったけど」
盗賊娘「ああ、お姉さんの、お話……?」
戦士「近々命日だな。最近暇だし一回村の跡地にでも行ってこようかな」
盗賊娘「……ごめんね、思い出させちゃったね」
戦士「いや、嫌でもねえし勝手に思い出しただけだしな。まあ焼き菓子が不味くなる、行こうぜ」
蛮族娘「焼き菓子!」
盗賊娘「そうやって、踏み込ませてくれないんだね……」
戦士「ん?なんか言ったか……?」

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Post-0146

聖騎士女「邪魔をする」
戦士「おう、珍しいな。全員で来てるのか」
剣士「盗賊娘君の武器を新しくしようと思ってね。もう少し重い短剣にすれば弾きが効率的にできる」
盗賊娘「あのね、戦士。わたしトレーニングしてちょっと力が強くなったんだ」
戦士「すげえな!」
蛮族娘「盗賊娘、力、強くなる。強い、梟、強い」
盗賊娘「それで、二人に、ちょっと弾きのコツ教えて欲しいんだ」
剣士「私は細剣使いだからね、武器万能の戦士君に聞いた方がいいと思う」
術士(盗賊にウィンク)
盗賊「はは、確かに。俺も弾きじゃなくカウンターが主体だから戦士に聞くのがあってるな」
騎士「是非ゆっくりしていってくれ」
聖騎士女「で、魔法使いは何を読んでいるんだ?」
魔法使い「わわ、すみません、気づきませんでした」
聖騎士女「はは、集中力があるのは素晴らしいことだ」
魔法使い「古代の禁忌魔法について調べていました。この前禁術使いと事を構えたので」
聖騎士女「危険な知識だ……。しかし君ほどの人物なら大丈夫だろう」
魔法使い「この『伝染する呪い』という禁術奥義の一つ。触れたものに呪いが伝播して広がっていくと言います。あまりにも危険です」
聖騎士女「ああ……危険だったな」
魔法使い「だった……?」
聖騎士女「そうか、気づいていなかったか。黄金郷だ」
魔法使い「え……?あっ!そうか、全てが黄金になる呪い。それを封じていたのが辺境、守っていたのは古代魔法の末裔……!」
聖騎士女「そうだ。私も言葉を覚えて気づいた。蛮族娘こそ、古代魔法使いの末裔だ」

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Post-0145

戦士「辺境行ったきり蒸留酒は久々だったから飲み過ぎたな……頭ガンガンする……」
魔法使い「あ、戦士さんおはようございます。いつもの鍛錬ですか?」
戦士「ああ、汗かくと頭スッキリするし、武器は振っておかないと機嫌悪くするからな」
魔法使い「機嫌を、悪くする……?」
戦士「毎朝振っておかないと、突然なんか違うと思うことがあるんだよな」
魔法使い「肉体言語はちょっと分からないですねー……」
戦士「まあ、しっくりくるまで振っておけって事だよ」
魔法使い「なるほど。確かに詠唱も身振り手振りが確実にできないと駄目ですし、型っていう意味では一緒かも」
戦士「ごめんな、それは俺がさっぱりわからん」
魔法使い「あはは」

蛮族娘「おはよう」
魔法使い「おはようございます」
戦士「おう、おはよう」
魔法使い『今日は戦士さんと一緒に服を買いに来ませんか?』
蛮族娘『服?オレは誇り高い勇者の服を着ているぞ?』
魔法使い『こっちは密林より寒いですし。あと、ちょっとその服は刺激が強くて』
蛮族娘『勇者も母も人を守る。母である勇者は子供に乳を与える。そのための服だ。貶すのか?』
魔法使い『そんなつもりはないんです。ごめんなさい』
蛮族娘『ならいい。買いに行くというのも断らない。王国人の服を貶すつもりもない』
魔法使い『助かります。お金は僕が出しますから戦士さんを誘っていきましょう』
戦士「なに話してるんだ?」
魔法使い「あ、蛮族娘さんの服を買いに行こうかと」
戦士「勇者らしいしそのままでいいんじゃないか?」
蛮族娘「……!オレ、勇者の服、が!いい!」
魔法使い「あはは、また日を改めますね……」

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