Post-0097

術士「盗賊娘、ちょっといいか」
盗賊娘「はい、もちろん」
術士「聖騎士女が眩しいのは分かる。俺もそう思う。ただ、あまり真似しようとするな」
盗賊娘「はい……?」
術士「聖騎士女は天才だ。なんでもできる。のが、神の酷いところだよ」
盗賊娘「天才なのに、ですか?」
術士「聖騎士女は努力すればなんでもできる。そして、何でもできるから何にでも努力する。常に次々に手を出す。休む暇がない。お前も完璧でない事が多すぎて努力をしすぎる。少し休め」
盗賊娘「私も、早く、みんなの役に立ちたくて……」
術士「もう役に立っている。聖騎士女はできるから立ち止まらない。お前は足りないから立ち止まらない。でも、それは危うい。もっとゆっくり歩け。おぼつかない者が速く歩くと転ぶ」
盗賊娘「はい、ありがとうございます」
術士「本当は聖騎士女にも言いたいんだが、あいつは聞かないからな……」
盗賊娘「はい……」
剣士「おい、術士、盗賊娘を泣かせているのか……?さすがにお前相手でも許せんな」
術士「おい勘弁してくれよ。俺は抜く剣がない」
盗賊娘「違うんです、嬉しくて……」
剣士「そうか、なら良い……」
盗賊娘「そう言ってくれるのも嬉しいんです……」


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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0091

剣士「聖騎士女さん、<衝撃>の練習を?」
聖騎士女「ああ、天啓を果たした後も<衝撃>は残る。これをどう使うかを考えねば」
術士「あいかわらず真面目だな。例えば狭く弱く使って対人に使えないか?」
聖騎士女「なるほど、今まで強く広く使ってきたが、冒険者ならそちらの方が良さそうだ」
盗賊娘「ごはんですよー」

聖騎士女「盗賊娘は料理が上手いな」
剣士「安い肉なのに驚くほど柔らかい。余分な脂がなくむしろ好みだ」
術士「安い肉を丹念に叩いて筋切りしたんだな」
聖騎士女「ふむ、筋切り……」

聖騎士女「今日は私が料理をしよう」
剣士「いいですよ、私がします」
術士「そうだな」
聖騎士女「いいから。安い肉を買ってきた」
(目をつぶって手をかざす)
聖騎士女「優しく、小さく。<衝撃>」
(ヴゥン)

剣士「見事に飛び散りましたね」
術士「やりたい事だけは理解できた」
聖騎士女「面目ない」
盗賊娘「聖騎士女さんも失敗するんですね」
聖騎士女「むしろ誰よりも失敗する。そうしないと身につかないからな」


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Post-0090

聖騎士女「しかし、お前らがそんな思いで着いてきてくれていたとは。私が盲目だった。本当にありがとう」
剣士「いえ、私が好きでした事ですから。貴方のように気高い人が神殿の兵器として使われるのは忍びなかった」
術士「俺は、聖騎士女が、眩しかったから着いてきた。神殿術士とはいえ魔術を使う身、他の者からは唾棄される。だが、聖騎士女だけは、俺のことを名前で呼んだ」
聖騎士女「それだけで……?」
術士「それが、どれだけ眩しかった事か」
聖騎士女「すまない、私はそんな事すら知らなかったのだな」
術士「光が影を生むのは当然、それは光の責任ではない。でも、聖騎士女は俺を照らしてくれた」
聖騎士女「そして盗賊娘。お前がわがままを言わなければ我々は帰ってきていないだろう。ありがとう」
盗賊娘「いえ、そんな。でも、みんな帰って来れて嬉しいです」
聖騎士女「これで戦士に恨まれずに済む」
盗賊娘(赤くなってうつむく)


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Post-0085

剣士「遺跡の闘技場。なるほど、なぜこの広さが必要だったか、何と戦っていたかが明らかになったな」
術士「つまり、怪物をつないで餌を食わせる檻。あまりにも大きい」
聖騎士女「ついに天啓の時が来たわけだ。私が<衝撃>を授かった理由が……」
盗賊娘「山のような大きさの腐敗したドラゴン……。こんな化け物が……」
術士「おっとブレスだな。<透明防壁>。威力はともかく、この大きさはな」
聖騎士女「だからこその私だろう。皆下がっててくれ。撃つ」
剣士「いえ、下がりません」
術士「そうだね、下がらない。盗賊娘はちょっと下がっててくれ」
聖騎士女「下がりなさい。巻き込んでしまう」
剣士「リーダー、いえ、貴方は我々が引いたら確実を期すために自分を巻き込む威力で<衝撃>を使う。それをさせないためにずっと着いてきたんですよ」
術士「俺は聖騎士女がいい女だから着いてきたよ。だがちょっと俺の手には余るな。ただいい女が世の中から減るのには同意できない」
盗賊娘「みんな……」
剣士「すまないな。だが君も仲間はずれではない。君は我々のマスターピースだ」
術士「聖騎士女が<衝撃>を撃ったらドラゴンの目が落ちる。それを剣士と共に取りに行って破壊してくれ。それができないと奴は復活する。じり貧だ」
盗賊娘「お前は帰れ、って言わないんですか……?」
聖騎士女「悪いが付き合ってくれ。だが、君には生きて達成したい目的があるのだろう?絶対に生き残れ」
盗賊娘「嫌です」
剣士「嫌……?」
盗賊娘「みんなで生き残らないと嫌です」
聖騎士女「はは!欲張りだな!だがそれが冒険者の本質だ。行くぞ!」


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Post-0082

盗賊「なあ聖騎士女、地下にも<衝撃>を撃てば楽できるんじゃないか?」
剣士「やめろ。我がリーダーに<加護>を使わせようとするな。<加護>は彼女の判断で使うものだ」
聖騎士女「ありがとう剣士。すまない、盗賊。<衝撃>は減衰する。地中に向けるのは威力調整が難しいのだ」
盗賊「なるほど。威力が下がるのではなく、不要に殺すから使いたくないんだな」
剣士「黙れ。<加護>を探るな」
術士「落ち着け剣士。探っていない。奴はお前と同じ事を考えている」
剣士「あ……すまない。無礼を働いた」
盗賊「いいパーティだな」


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Post-0080

戦士「辺境の廃城を反乱者が根城にしてるって、この地方は呪われてんのかよ」
騎士「まあ、無礼にはなるが、この地方の領主は少々頼りなく見えるからな。少なくとも武人肌ではない」
魔法使い「でも領地運営は上手く行ってますし、わりとみんな暮らしやすいですよ」
盗賊「逆に言うと領民におもねって見えるんだろうな」
剣士「コホン、我がリーダーが聞いて困るような事は小声で言ってくれるか」
聖騎士女「聞かなかった事にする。人の口に戸は立てられない」
盗賊娘「今回は2パーティ連携だから、喧嘩しないでね……?」
僧侶「聖騎士女さんのパーティであれば安心して任せられます。我々は不要では?」
聖騎士女「謙遜するな。が、適材適所。盗賊娘、入り口の向こうには反乱者しかいないな?」
盗賊娘「はい。間違いないです」
盗賊「俺も見てきた。間違いない」
聖騎士女「ならば手加減は不要だな。下がっていてくれ」
(聖騎士女、城門に手を当てる)
聖騎士女「神よ!<衝撃>!」
(ヴゥン!)
聖騎士女「終わった。地下には届いていないから、そこを集中的に探索しよう」

魔法使い「こ、恐い……」
戦士「あんなの喰らったら骨バラバラだからな」


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Post-0076

聖騎士女「みな、お疲れ。今回も上手く行ったな。今日は飲んでくれ」
他パーティ「かんぱーい!」
盗賊娘「思ったより収入になりましたね」
聖騎士女「盗賊娘が全ての罠を外してくれたおかげだ。今までなら手に入らないものまで手に入った。本当にありがとう」
盗賊娘「うふふ。みんなの役に立てて嬉しいです」
剣士「盗賊娘君は戦いも十分に強いしな」
盗賊娘「あ、ありがとう」
術士「前が一枚厚くなると安心して術が使える」
剣士「君を紹介してくれた戦士君には感謝にたえないな」
盗賊娘(無邪気な笑みを浮かべる)
聖騎士女「いい笑顔をする」
盗賊娘(赤面する)

(しばらく楽しく飲んでいる)
(酔っ払いが盗賊娘に近づく)

盗賊娘「(伸ばした手をひねり上げて)ごめんね、そういうの、嫌なんだ」
剣士「我らの団員に手を出すという事はそれなりに覚悟があるのだな?」
聖騎士女「私ではなく盗賊娘に手を出したという事は、酔っての狼藉ではないと判断するぞ」
酔っ払い「ひ、ひぃっ……」
術士「斬られる前に謝って逃げな」

盗賊娘「あの人達さ、めちゃくちゃいい人達なんだよ」
戦士「だろ。ちょっとお高いけどいい奴らだと思うよ」


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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。