Post-0093

魔法使い「ちょっと面白い事を発見したんです」
僧侶「面白い事、ですか?」
魔法使い「ええ。便利魔法の<振動>なんですけど、これを長く使うと振動しているものが熱くなるんです」
僧侶「面白いですね」
魔法使い「調べてみて、多分なんですけど、『熱い』っていうのって、多分『揺れ』と関係あるんですよね。これなにか新しい魔法にできないかな……?」

魔法使い「という事で新しい魔法ができました。<加熱>です。やっぱり振動させると熱くなるんです」
僧侶「これ、食べ物を温めるのにいいですね」
盗賊「人間につかったらグロい事になるからやめておけよ」

盗賊娘「っていう事があったんです」
聖騎士女「ふむ……。振動。衝撃。これは……」

聖騎士女「やはりな。弱い<衝撃>を長く照射すれば加熱できる」
術士「天才なのもほどほどにしとけよ」


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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0091

剣士「聖騎士女さん、<衝撃>の練習を?」
聖騎士女「ああ、天啓を果たした後も<衝撃>は残る。これをどう使うかを考えねば」
術士「あいかわらず真面目だな。例えば狭く弱く使って対人に使えないか?」
聖騎士女「なるほど、今まで強く広く使ってきたが、冒険者ならそちらの方が良さそうだ」
盗賊娘「ごはんですよー」

聖騎士女「盗賊娘は料理が上手いな」
剣士「安い肉なのに驚くほど柔らかい。余分な脂がなくむしろ好みだ」
術士「安い肉を丹念に叩いて筋切りしたんだな」
聖騎士女「ふむ、筋切り……」

聖騎士女「今日は私が料理をしよう」
剣士「いいですよ、私がします」
術士「そうだな」
聖騎士女「いいから。安い肉を買ってきた」
(目をつぶって手をかざす)
聖騎士女「優しく、小さく。<衝撃>」
(ヴゥン)

剣士「見事に飛び散りましたね」
術士「やりたい事だけは理解できた」
聖騎士女「面目ない」
盗賊娘「聖騎士女さんも失敗するんですね」
聖騎士女「むしろ誰よりも失敗する。そうしないと身につかないからな」


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Post-0090

聖騎士女「しかし、お前らがそんな思いで着いてきてくれていたとは。私が盲目だった。本当にありがとう」
剣士「いえ、私が好きでした事ですから。貴方のように気高い人が神殿の兵器として使われるのは忍びなかった」
術士「俺は、聖騎士女が、眩しかったから着いてきた。神殿術士とはいえ魔術を使う身、他の者からは唾棄される。だが、聖騎士女だけは、俺のことを名前で呼んだ」
聖騎士女「それだけで……?」
術士「それが、どれだけ眩しかった事か」
聖騎士女「すまない、私はそんな事すら知らなかったのだな」
術士「光が影を生むのは当然、それは光の責任ではない。でも、聖騎士女は俺を照らしてくれた」
聖騎士女「そして盗賊娘。お前がわがままを言わなければ我々は帰ってきていないだろう。ありがとう」
盗賊娘「いえ、そんな。でも、みんな帰って来れて嬉しいです」
聖騎士女「これで戦士に恨まれずに済む」
盗賊娘(赤くなってうつむく)


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Post-0085

剣士「遺跡の闘技場。なるほど、なぜこの広さが必要だったか、何と戦っていたかが明らかになったな」
術士「つまり、怪物をつないで餌を食わせる檻。あまりにも大きい」
聖騎士女「ついに天啓の時が来たわけだ。私が<衝撃>を授かった理由が……」
盗賊娘「山のような大きさの腐敗したドラゴン……。こんな化け物が……」
術士「おっとブレスだな。<透明防壁>。威力はともかく、この大きさはな」
聖騎士女「だからこその私だろう。皆下がっててくれ。撃つ」
剣士「いえ、下がりません」
術士「そうだね、下がらない。盗賊娘はちょっと下がっててくれ」
聖騎士女「下がりなさい。巻き込んでしまう」
剣士「リーダー、いえ、貴方は我々が引いたら確実を期すために自分を巻き込む威力で<衝撃>を使う。それをさせないためにずっと着いてきたんですよ」
術士「俺は聖騎士女がいい女だから着いてきたよ。だがちょっと俺の手には余るな。ただいい女が世の中から減るのには同意できない」
盗賊娘「みんな……」
剣士「すまないな。だが君も仲間はずれではない。君は我々のマスターピースだ」
術士「聖騎士女が<衝撃>を撃ったらドラゴンの目が落ちる。それを剣士と共に取りに行って破壊してくれ。それができないと奴は復活する。じり貧だ」
盗賊娘「お前は帰れ、って言わないんですか……?」
聖騎士女「悪いが付き合ってくれ。だが、君には生きて達成したい目的があるのだろう?絶対に生き残れ」
盗賊娘「嫌です」
剣士「嫌……?」
盗賊娘「みんなで生き残らないと嫌です」
聖騎士女「はは!欲張りだな!だがそれが冒険者の本質だ。行くぞ!」


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Post-0082

盗賊「なあ聖騎士女、地下にも<衝撃>を撃てば楽できるんじゃないか?」
剣士「やめろ。我がリーダーに<加護>を使わせようとするな。<加護>は彼女の判断で使うものだ」
聖騎士女「ありがとう剣士。すまない、盗賊。<衝撃>は減衰する。地中に向けるのは威力調整が難しいのだ」
盗賊「なるほど。威力が下がるのではなく、不要に殺すから使いたくないんだな」
剣士「黙れ。<加護>を探るな」
術士「落ち着け剣士。探っていない。奴はお前と同じ事を考えている」
剣士「あ……すまない。無礼を働いた」
盗賊「いいパーティだな」


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Post-0081

魔法使い「新しい杖にも慣れてきて、無理なく魔法3連発くらいできるようになりましたー」
騎士「凄いな。精神力は持つのか?」
魔法使い「だいぶコツを覚えてきたので」
戦士「あー、コツ覚えると負担軽くなるよな」

敵「強いな。しかし後衛は強くないだろう!」
戦士「やべ」
(後ろのドアが開き強そうな敵が現れる)
盗賊「魔法使い、僧侶、逃げろ!」
僧侶「突破しないと逃げられません!」
魔法使い「1人だけなら大丈夫ですよ。<障壁>!<障壁>!<障壁>!」
敵「!?」
魔法使い「閉じ込めました」
戦士「聖騎士女以外に『敵に回したくねえ』って思ったの初めてかも」


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Post-0080

戦士「辺境の廃城を反乱者が根城にしてるって、この地方は呪われてんのかよ」
騎士「まあ、無礼にはなるが、この地方の領主は少々頼りなく見えるからな。少なくとも武人肌ではない」
魔法使い「でも領地運営は上手く行ってますし、わりとみんな暮らしやすいですよ」
盗賊「逆に言うと領民におもねって見えるんだろうな」
剣士「コホン、我がリーダーが聞いて困るような事は小声で言ってくれるか」
聖騎士女「聞かなかった事にする。人の口に戸は立てられない」
盗賊娘「今回は2パーティ連携だから、喧嘩しないでね……?」
僧侶「聖騎士女さんのパーティであれば安心して任せられます。我々は不要では?」
聖騎士女「謙遜するな。が、適材適所。盗賊娘、入り口の向こうには反乱者しかいないな?」
盗賊娘「はい。間違いないです」
盗賊「俺も見てきた。間違いない」
聖騎士女「ならば手加減は不要だな。下がっていてくれ」
(聖騎士女、城門に手を当てる)
聖騎士女「神よ!<衝撃>!」
(ヴゥン!)
聖騎士女「終わった。地下には届いていないから、そこを集中的に探索しよう」

魔法使い「こ、恐い……」
戦士「あんなの喰らったら骨バラバラだからな」


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Post-0079

盗賊娘「聖騎士女さん、聖騎士女さんは聖騎士だから、<加護>を持っているんですよね?」
聖騎士女「当然、そうだ。<加護>を授からない者は聖騎士ではない」
盗賊娘「聖騎士女さんが<加護>を使っているところを見た事がない気がします」
聖騎士女「はは、気を使ってくれているのか。単に使う必要がないから使わない。見せびらかすものでもないからな」
盗賊娘「な、なるほど」
聖騎士女「私が誇っているのは、<加護>そのものではない。それを授かるに至った努力をこそ誇っている」
盗賊娘「……?」
聖騎士女「<加護>も技術も努力の上にしか成り立たない。それがどんなものであれ、それを得るに至った努力は誇ってよいと私は思う。盗賊娘の技術もそうだ」
盗賊娘「……!」
聖騎士女「得たものをどう使うか。そして使わない事も含め、それが授かるという事だと、私は思う」
盗賊娘「聖騎士女さん……!」
聖騎士女「それと、特別に教えてあげよう。私の<加護>は<衝撃>だ(いたずらっぽい笑みで)」


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Post-0076

聖騎士女「みな、お疲れ。今回も上手く行ったな。今日は飲んでくれ」
他パーティ「かんぱーい!」
盗賊娘「思ったより収入になりましたね」
聖騎士女「盗賊娘が全ての罠を外してくれたおかげだ。今までなら手に入らないものまで手に入った。本当にありがとう」
盗賊娘「うふふ。みんなの役に立てて嬉しいです」
剣士「盗賊娘君は戦いも十分に強いしな」
盗賊娘「あ、ありがとう」
術士「前が一枚厚くなると安心して術が使える」
剣士「君を紹介してくれた戦士君には感謝にたえないな」
盗賊娘(無邪気な笑みを浮かべる)
聖騎士女「いい笑顔をする」
盗賊娘(赤面する)

(しばらく楽しく飲んでいる)
(酔っ払いが盗賊娘に近づく)

盗賊娘「(伸ばした手をひねり上げて)ごめんね、そういうの、嫌なんだ」
剣士「我らの団員に手を出すという事はそれなりに覚悟があるのだな?」
聖騎士女「私ではなく盗賊娘に手を出したという事は、酔っての狼藉ではないと判断するぞ」
酔っ払い「ひ、ひぃっ……」
術士「斬られる前に謝って逃げな」

盗賊娘「あの人達さ、めちゃくちゃいい人達なんだよ」
戦士「だろ。ちょっとお高いけどいい奴らだと思うよ」


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Post-0071

魔法使い「戦士さん、あの聖騎士女さんとはどこで知り合ったんですか?」
戦士「あー、何回か絡みがあったんだけどな。最初のでいいか?」
魔法使い「ぜひ」
戦士「俺は当時傭兵でさ。町の警備をしてたんだが、町で辻斬りが起きてな」
魔法使い「嫌な事件ですね……」
戦士「ああ。でさ、神殿領だったから聖堂騎士様が捜査に来てな。当然俺ら傭兵が疑われるんだよ」
魔法使い「まあ、辻斬りできる以上剣を使えるわけですしね」
戦士「俺らまとめてしょっ引かれてさ。『これで辻斬りが終わればお前らが犯人だ』だとさ」
魔法使い「終わるに決まってますよね。濡れ衣着せられるんですから」
戦士「そこで割って入ってきたのが聖騎士女だよ。『自らの潔白を示してから人を疑え』ってな」
魔法使い「うわー格好いい」
戦士「しかもよ、犯人聖堂騎士だったんだよ。それを一撃で切り伏せた」
魔法使い「はー。でも戦士さんいいところナシですね」
戦士「いや。その時にさ、目を伏せてる奴がいたんだよ。釈放されてから殴りに行った」
魔法使い「戦士さんらしいですね」
戦士「その先にまた聖騎士女がいてさ。『君は見る目があるな』ってよ。そこからある意味腐れ縁だよな」
魔法使い「へぇー」


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