Post-0168

聖騎士女「そろそろ盗賊娘が帰ってくるだろう。身につけている飾りもそろそろ交換時期だ、これを喜んでくれると嬉しいのだが……」

偽聖騎士「違う!違うぞ見習い君!」
聖騎士女「突き抜けるような快活な声だな……」
見習い「いえ、今回も僕は剣術の試験で合格できませんでした。早く帰って一人で素振りしなければ……」
聖騎士女「彼は眩しすぎる、逆効果でなければ良いが……」
偽聖騎士「それは立派だ!しかし!違う!まず悔しい思いに向き合い、存分に悔しがれ!その気持ちを受け止められない人間が強くなっても意味がない!」
見習い「それは貴方が強いから……」
偽聖騎士「強くないし、オレは毎回失敗している!しかし、前を向く前に泣いてわめいて、気持ちを片付けるべきだ!強くても正しくても人の心を踏みにじっては意味がない!」
見習い「あ、あの、手を握らないで……。って、いうか、うぅっ……僕だって、僕だって1年必死で剣を振ってきた……」
偽聖騎士「そうだ!悔しいよな!君も精一杯頑張った!報われなくてもそれは尊い!そして、その積み上げに更に積んで次に続けるんだ!」
見習い「は、はい……。次こそ、次こそ、やってみせます……」
偽聖騎士「オレでよければいつだって練習相手になる!」

聖騎士女「彼はどういう人物なのだ……?」

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Post-0167

魔法使い「と言うわけで、ごめんね、お兄さんはもういないんだ」
禁術娘「それは……もうわかってるよ、ねェ」
魔法使い「だから、そのナイフは自由に使って。でも、僕も身を守らなきゃいけないから、黙ってやられるとは約束できないよ。ごめんね」
禁術娘「まあ殺そうとすりゃ殺されるよ、ねェ……。襲ってくる他の禁術持ちもみんなそうさ」
魔法使い「うん。僕はお兄さんに悪意こそあったけど、それでどうこうしようと思ったわけじゃないんだ。でも、その結果お兄さんがいなくなった事は否定しないよ」
禁術娘「丁寧に、話すねェ」
魔法使い「当然だよ。君は安心してるけど怒ってもいる。それは遺族として当然だよ」
禁術娘「舌ピになりたい酔狂にも見えないし、ねェ……」
魔法使い「とりあえず安心して話し続けていいのかな……?普通禁術っていうと国と魔法学院に止められた術を指すと思うんだけど。」
禁術娘「アタシらの言う禁術はそんな可愛いものじゃない、ねェ。魔術が体系化された時に切り離された、破術と呼ばれる魔術体系さ」
魔法使い「聞いた事だけあります。魔法学院ではメンターの僕ですら触れる事が許されない領域だ……」
禁術娘「ははッ、メンター様だったのかい。まあ破術って言っても難しい術じゃない。難しくないのにとんでもない効果がでるから駄目なのさ」
魔法使い「そういえば、お兄さんは気軽に破城の鉄槌を3回連続で唱えていた……」
禁術娘「隕石が降るクラスの魔法を3連続で唱えるのは、ちょっと天才を超えている、ねェ?」
魔法使い「と、とんでもないですね」
禁術娘「それを、アンタは頭脳だけでコピーした……。やっぱり殺しておこうか、ねェ?クズの分のピアスが余ってる。舌につけて大事に連れ歩いてやるよ」
魔法使い「使わないから見逃して貰う、という訳には」
禁術娘「あはは、アタシは見逃してやるよ。ただ、今アタシが死んだら破城の鉄槌持ちはアンタ一人になる、その瞬間、アンタの人生は変わる」
魔法使い「今ではなく、僕1人になったら?」
禁術娘「死ぬなら先に死んだ方がいいよ。破術は決して失われない。なぜなら」
魔法使い「なぜなら……」
禁術娘「その術を知る最後の一人は、死なない」

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Post-0164

魔法使い「詳しく話す前にまず、街ごと僕を殺すのではなく僕だけを殺すと誓って。これを使っていいから。人を巻き込まないでくれる?」
少女「意外と、肝が、座ってるねェ。まあ殺す手段は問わないよ。悪かないナイフ……この、紋章は……!?」
魔法使い「うん、見覚えがあるならお兄さんで間違いない。お兄さんの唯一の形見だから、まず返すよ」
少女「形見……。本当に、あのクズは死んだんだねェ……。こんな手がかりを回収せずに立ち去るようなマヌケじゃない、ねェ」
魔法使い「うん、詳しく話してもいい?」
少女「そうか……。じゃあ、クズの分はピアスを増やさなくていい……ねェ」
魔法使い「お兄さんについて、怒っているのに安心しているんだね。話し終わっても僕が生きていたら後で詳しく教えて。」

少女「つまり、あのクズは出会った時点で雌蜘蛛に憑かれていた、と。そして黄金の呪いに蝕まれ、聖騎士の手によって消滅した」
魔法使い「うん、経緯としてはそうだけど、お兄さんが消えた理由は僕らにある」
少女「あのクソ野郎をこの手で殺せなかったのは残念だけど、消えたならそれでいい、ねェ。これでクズとアタシの持っていた禁術は、アタシだけのものになった、ねェ」
魔法使い「ごめんね、禁術って、お兄さんの使っていた破城の鉄槌?あれなら詠唱を2回見て発動を1回見たから、多分僕同じ術使えるよ」
少女「はぁ?禁術の<能力複製>使わないで詠唱聞いただけで使えるっての……?」
魔法使い「うん……多分」
少女「あははははは!ア、アタシ達が殺し合って無理矢理引き出して集めている禁術を、お前は、見ただけで、ねェ……あはははは」
禁術娘「あはははは……死にな。詠唱破棄!<破城の鉄槌>!」
魔法使い「あわわ、<対抗呪文>!」
禁術娘「あはははは!<対抗呪文>で打ち消せるのは使える呪文だけだよ、ねェ。本当に使えやがる……」
魔法使い「やられました。範囲を絞って僕に当たらないように打つ事で<対抗呪文>を引き出しましたね……」
禁術娘「まあそういう一族だからね……。しかし困った。禁術使いは禁術を集める。相手が追ってこないように殺す。同じ禁術を複数が持つのはあらゆる意味で認められない、ねェ」
魔法使い「じゃあ、そうなっちゃう感じ、ですか……?」
禁術娘「構えなくていい。アタシはこんな下らない殺し合いは好きじゃない。襲いかかってくる相手には容赦できないが、そうじゃない相手をどうこうしようとも思わないよ、ねェ」
魔法使い「じゃあ、ちょっと安心してもいいんですよね……?」
禁術娘「アンタならこの舌ピアスに加えてあげてもいいんだけど、ねェ」

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Post-0160

聖騎士女「ん……?あそこにいるのは偽聖騎士か……?」

偽聖騎士「待て!少年は確かにパンを盗んだかもしれない!しかし理由を聞かずに殴るのが正しいとオレは思わない!」
少年「ご、ごめんよ。親がいなくなっちゃって、妹が腹を空かせてるんだ……」
パン屋「なら最初から言えよ」
偽聖騎士「金はオレが払おう。少年、行く当てはないのか?」
聖騎士女「失礼する。幸い、教会で孤児を世話しているシスターを知っている。少年が望むなら紹介できるが」
偽聖騎士「おや聖騎士女。キミの紹介なら安心だ」

聖騎士女「あそこにいるのは偽聖騎士……?」

偽聖騎士「貴族とは言え平民を斬るには正当な理由が必要だ!理由なく斬るならオレが代理で相手しよう!」
貴族「聖騎士とは言え逆らうならば容赦せぬぞ!」
偽聖騎士「オレは聖騎士ではない!しかしお相手する!」
聖騎士女「失礼する。私は正式な聖騎士だ。理由なく平民を斬るなら、貴族の論理ではなく神の論理で裁かねばならないが」
貴族「くっ、名に聞く聖騎士女か。命拾いしたな若造」
偽聖騎士「引くなら追わん」
聖騎士女「あなたの戦いを奪ってしまったな」
偽聖騎士「正しい結果が出るなら手段は問わない。キミが加勢してくれて助かった」

聖騎士女「行く先々に偽聖騎士がいるな……。何の巡り合わせだ……?」

偽聖騎士「見つけた!少年の両親を殺したのはお前らだな!これは天誅ではない、人誅だ!抜け!」
聖騎士女「判断が早すぎる。まるで戦士のようだ。この早さで行動されるとフォローが間に合わない……」
偽聖騎士「一閃!命は取らない。懺悔しろ」
聖騎士女「失礼する。官憲に突き出す前に話を聞かせて貰おう」
偽聖騎士「やあ聖騎士女。証人がいてくれると助かる」

聖騎士女「あなたはあまりにも判断が速い。しかし間違っているようにも見えない」
偽聖騎士「それは持っている力の違いだろう。オレは今腕力以外の力を持たない。だから大きな被害も出ない」
聖騎士女「それは、確かにそうかも知れない。私は加護があるが故に、まず被害範囲を考えてしまう」
偽聖騎士「それは責任のある考え方だし、全く悪くない。が、オレはその場で動けるフットワークがある」
聖騎士女「確かに。なるほど、あなたはやはり面白い」
偽聖騎士「ははは、引き続きがんばるよ。では!」

聖騎士女「神は彼にあえて加護を与えないのでは……?」

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Post-0154

聖騎士女「盗賊娘がいないと、なんというか、風穴が開いたような気持ちになるな」
剣士「そうですね。ただ、まあ、蛮族娘さんと一緒にいるときは本当に子供のように笑う。だから、いいのではないですか?」
術士「お前神殿に仕えてなかったらいいパパになったろうにな」
剣士「はは、あんなに素直な子がいてくれるなら、きっと世の中の親というのは幸せなのだろうな」
術士「そうかね。幸せに生きて神にたどり着く奴もいるし、地獄の中で神にすがるものもいる。思い込みが一番危ないんじゃねえかな」
剣士「す、すまん。あまりにも雑な物言いだった」
術士「いいよ。少なくとも俺は今毎日が楽しい」
聖騎士女「ん……?向こうで騒ぎが起きてる。急ごう」

偽聖騎士「借金のカタに子供を連れて行くなんて、人が許しても神が許さん!抜け!」
悪徳商人「聖騎士の鎧……。しかし加護を撃つ前に畳みかければ!行け手下ども」
手下「うぉー!」
偽聖騎士「オレには加護はない!天誅ではなく人誅だ!」
剣士「凄い技術だ。私とも戦士君とも騎士殿とも違う。膂力を完全に流れで活かしている」
術士「が多勢に無勢だな。偽物みたいだが助けるか?」
聖騎士女「格好ではなく行いで判断すべきだ。が、私一人で十分だ。そこの人、合わせる」
偽聖騎士「ありがたい!オレは左から右へ、キミは逆を頼む。キミは女性だが守る方が失礼だ」
聖騎士女「そのように言ってくれるのは嬉しいな。10手詰みだ。まず1手」
偽聖騎士「お上手。では2手3手」
悪徳商人「聖騎士が2人……。あまりにも強い。お前らはそこで時間を稼げ!」
剣士「ようこそこちらへ。怪我をしない程度に、お相手しましょうか」
術士「こいつはちょっとスネてるんでな。運がなかったな」

偽聖騎士「ふぅ、誰も怪我せず鎮圧できた。協力してくれてありがとう」
聖騎士女「礼には及ばない。失礼だが、その鎧は聖騎士にのみ与えられるもの。あなたも同じく聖騎士という認識で良いか?」
偽聖騎士「いや、オレは加護を与えられていない。だから聖騎士ではない。が、この鎧は死んだ聖騎士から譲られたもの、正式にオレのものだ」
聖騎士女「そうか、失礼した」
偽聖騎士「……怒らないのか?神に認められて初めて身につけられる鎧を、聖騎士でないオレが身につけていて。キミも血のにじむ努力の上で聖騎士になったのだろう?」
聖騎士女「努力したのは私が望んでの事だ。それで誰かを責める権利がある訳でもない。鎧が奪ったものではなく譲られたものであれば責める道理がない」
偽聖騎士「ありがとう。キミのような聖騎士を見たのは初めてだ」
聖騎士女「まあ私も変わり者だからな。それよりも今の詳しい話を聞かせて貰えるだろうか」

偽聖騎士「と言う訳で、あの悪徳商人が無理矢理金を貸しては剥がして子供を連れ去っていた。それを誰もとがめる事ができなかった」
聖騎士女「責めるな。強くない事を怒るのは強者の驕りだ」
偽聖騎士「もちろんだ。だからこその放浪者だ。オレにしかできない事を、今日オレはした」
聖騎士女「立派だ。神ならぬ私にはわからないが、あなたは必要な物を備えていると思う」
偽聖騎士「はは、本物に認めて貰うのはくすぐったいな。だが、オレもいつか加護を得て人を救う本物になるために修行を続けていくよ」
聖騎士女「そうなる事を願っている。もし何かあれば、私達の酒場を訪ねてくれ」
偽聖騎士「ああ、助かるよ。いい女だな」
聖騎士女「真顔でそう言ってくれる人間は初めてかもしれないな」

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Post-0151

盗賊「ただいま。結構釣れたぞ」
蛮族娘「魚、たくさん、取れた!」
盗賊「凄いな、慣れていない地なのに、蛮族娘の言うとおりに網を投げたら大量に魚が捕れる」
戦士「おう、そんなに取れたのか。すげえな」
蛮族娘「うーららー!」
魔法使い「自信満々ですね」
盗賊「というわけで頼むよ看板娘。適当に作ってくれ。お代は魚の半分でいいだろ?」
看板娘「ありがと!まかせて。これだけあれば酒場のみんなにおつまみを出せるね!まあお代は頂くけど」
戦士「じゃあそのおつまみも1個頼もうかな。残った魚は焼きたいが……この時期薪なんてないよな」
看板娘「店の外に切ってない薪あるから適当につかっていいよ!」
戦士「なら一働きするかな」
蛮族娘「木、切る!オレ、得意!」
戦士「お前は魚とってきてくれたんだから働かなくていいんだよ」
蛮族娘「二人、すると、早い!」
戦士「そりゃそうだな。じゃあ頼むか」
魔法使い「なら2人と半分ならもうちょっと早いですよね、僕もやります」
戦士「お、ありがたい」

蛮族娘「……!」
魔法使い「さすが力が強い」
戦士「よっと」
魔法使い「さすが手慣れてる」
魔法使い「そもそも斧が重いのは考えてなかったです。ふうふう」
戦士「結構腰据わってるし悪くないぞ」
魔法使い「どうも」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
魔法使い「うわ、金属の台まで食い込んだ……!」
戦士「あー、怒られるな。俺が謝っておくわ」
魔法使い「お願いします……って、金属に食い込む?ちょっと、蛮族娘さん、もう一回雄叫びをあげて貰えますか……?」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
魔法使い「なるほど……なるほど!?こ、これは大発見です!」
戦士「金属の台に2回食い込んだのが?」
魔法使い「違います!蛮族娘さんの雄叫び、雄叫びを上げた瞬間に体内でだけ魔力が走って身体が強化されています!」
戦士「……?」
蛮族娘「勇者、雄叫び、身体、強くする。心、強くする。勇者、は、逃げない」
魔法使い「雄叫びだけ語尾がアじゃないの、これは自分にだけしか効かない魔法だから、遠くまで届けなくていいんだ……!」
戦士「よくわからねえけど、このままやらせると金属の台真っ二つになるぞ」

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Post-0150

僧侶「シスター、お布施を持って参りました、どうぞお受け取り下さい」
シスター「感謝します。僧侶さんもご無理をなされませんように」
僧侶「月が……昇って、来ましたね」

ナンバー2「新入りかい。お前は狂えるか?人を救う神を称えながら、神の手から零れたものを刈り取る、その狂気をお前は持てるか?」
聖堂騎士「持てません。私は人を害する事を人を救うために必要だと美化する気はありません」
ナンバー2「そうか。じゃあ出て行け。お前はいつか人ではなく自分を殺す。命令以外で死ぬ猟犬は必要ない」
聖堂騎士「しかし、必要から逃げることもしません」
ナンバー2「あたし達は月なんだよ。大司教が太陽なら、あたし達は太陽にかき消される月。太陽がいない間だけ罪人を裁く夜の女王だ」
聖堂騎士「あなたのように、ですか?」
ナンバー2「茶化して貰って構わない。狗は自分の評価を気にしない」
聖堂騎士「一人の騎士として、狗というのは流石に」
ナンバー2「この仕事は結果が全て。誇りなんかを大事にするならそれこそこの仕事に向いていない。死ぬ前に、帰りな」
聖堂騎士「いえ、他の聖堂騎士にこのような仕事はさせられません」
ナンバー2「……ならせめて約束しな。殺すか死ぬかの時、常に殺す事を選ぶと。神とあたしにここで誓え」
聖堂騎士「喜んで。苛烈なる夜の女王」
ナンバー2「次に同じ事を真顔で言ったら顔を踏むよ」

シスター「全ての人生が、切れる事なく続いています。あなたにも加護がありますよう」
僧侶「シスターこそ、もう戻らずに済みますよう」
シスター「さあ子供達、僧侶さんがお菓子を持ってきてくれましたよ。お礼を言って一緒に食べましょう……?」

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Post-0147

少女「すみませーん」
盗賊「ん?依頼に来てる感じでもないな?何の用だお嬢ちゃん、ここは俺みたいな危ない奴もいるぞ」
少女「……?危ないの?」
盗賊「危ないぞ」
少女「うん。僧侶さんいますか?」
戦士「あっはっは、全然怖がられてねえ」
盗賊「お前の顔見ても泣かないな」
少女「僧侶さん、いますか?」
戦士「ごめんごめん。上で休んでるから呼んでくるよ」

聖堂騎士「わ、私は何を守るために……」
(重い物が落ちる音)
ナンバー2「せめて恐怖から解放してやれ」
ナンバー1「邪神が降臨すれば世界が滅ぶ。余すことなく全員だ」
町民「聖堂騎士様、ご加護を」
町娘「ウチによって一杯飲んで来なよ。もちろん奢るよ!」
少年「俺も将来聖堂騎士に!」
少女「あのね、お花摘んだの。聖堂騎士様に、あげる」

僧侶「……はっ!ゆ、夢……」
戦士「おう邪魔するぞ。かわいこちゃんが呼んでるぜ。あと、顔洗ってから降りろ」
僧侶「す、すみません」

戦士「ほら、おじさんが降りてきた」
僧侶「どうもこんにちは、って、あのときの子ですね」
少女「僧侶さん、お母さんを治してくれてありがとう。お礼を持ってきたの」
僧侶「これは可憐なお花ですね。とっても嬉しいです」
少女「どうもありがとう」
僧侶「神はどんなときでも皆さんを見守ってくれていますよ。いつでも神を頼って下さいね」
少女「ありがとう。じゃあねー」
僧侶「では、さようなら」
戦士「……また泣いてるのか」
僧侶「私は、こういう、世界を、続けたいんです。ずっと」
戦士「そうなるように、お互い頑張ろうな」

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Post-0139

勇士「異邦の皆、協力に感謝する。『黄金郷』が消え、我らはついに呪いに打ち勝った」
聖騎士女「全てはあなた方が封印を守り続けてきたからだ」
勇士「重ねて感謝する。そして、我が妹蛮族娘を再度勇者にしてくれた事にも感謝する」
蛮族娘「かーうぉーうー!」
勇士「戦士には申し訳ないが、妹は勇者になった。勇者は群れの意向ではなく、自ら番いを選べる」
蛮族娘「オレ、勇者!勇者、自分で、番い、選べる!」
蛮族娘「オレの、番い……」
騎士「ごくり」
盗賊「ごくり」
僧侶(にこにこ)
魔法使い(手で目を覆う)
猟犬女「……」
聖騎士女「あわわ」
盗賊娘(どきどき)
剣士「ごくり」
術士(にやにや)
戦士「……?」
蛮族娘「もっと、後で、決める!」
全員(ほッ)
盗賊娘「あ、あのね、蛮族娘ちゃん。わたし、卑怯な手はつかわないよ」
蛮族娘「卑怯、しない、偉い。オレも、卑怯、しない!」
盗賊娘&蛮族娘(笑顔を交わす)
術士「聖騎士女が『あわわ』って言う所なんてもう一生見られないな」
聖騎士女「あまりからかうな」
僧侶「私、もしかして生きてて良かったかもしれません……」
盗賊「もしかしなくても生きてるだけですでに良いことなんだよ」

??「事はどうなったのだね?」
ナンバー1「ご報告通り、第三王子は辺境で邪神に出会い取り込まれました。それだけです」
??「王宮に邪神崇拝がはびこっているという噂は?」
ナンバー1「痛みを我慢できない貴族を徹底的に洗って影響範囲は綺麗になっています」
??「つまり?」
ナンバー1「用意したスケープゴートは不要でした。別に使う可能性もあります。温存しましょう」
??「王子を殺したシスターの首を取る、という話は」
ナンバー1「使われなかった以上最初から存在しなかった、という事ですね」
??「まあ自滅してくれて助かった。王子レベルが相手だとどうしても対価に差し出す首が必要になる」
ナンバー1「それを恐れて邪神を放置すれば1人の被害ではすまない。神は人を区別しません。犠牲になる人間が何者であるかも」
??「君を敵に回したくないね」
ナンバー1「神に見放されなければ大丈夫です」

猟犬女「ほら、追いかけっこしなくてすんだんだ、喜んで一杯奢られな」
聖剣部隊「すみません」
猟犬女「ただ、次にあたしを呼んだらおしまいだと思えよ。二度とあたしを地獄に引き戻すな。蓋が開いちまう」

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Post-0136

聖剣部隊「……!」
猟犬女「狗ども動くな!あたしらはあくまで対人間部隊、神相手には太刀打ちできない」
聖剣部隊「……しかし」
猟犬女「牙はしまうな、しかし今噛みついても消されるだけだ。下手したら相手が強くなる」

聖騎士女「む……。<衝撃>で神は倒せるものか?下手に撃つと刺激する危険が」
剣士「近寄ると吸収される恐れ……やっかいですね」
術士「……。どうした、盗賊娘?僧侶を見ているのか?
盗賊娘「……金属。」
雌蜘蛛「雄蜘蛛ノ封印ヲ差シ出セ」
僧侶「……。すみません、みなさん。これは渡せない」
僧侶「……みなさんの命を勝手に使って申し訳ない。私がこれを持ってこなければ……」
(黄金郷の中に向けて聖印を大きく投げる)
雌蜘蛛「雄蜘蛛……!?」

盗賊娘「盗賊さん、フック!」
盗賊「もちろんだ、こっちも投げ返す!」
(盗賊娘と盗賊がお互い持っているフック付きロープを投げ合う)
盗賊「相手は浮ける!思いっきり『ぶつける』ぞ!触られるなよ!」
(盗賊と盗賊娘が間にロープを張りながら雌蜘蛛の横を駆け抜ける)
雌蜘蛛「……!愚カナ!」(手を伸ばそうとする)

魔法使い「なるほど!なら<加速>!お二人に」
戦士「あー、ロープ引っかけて投げ飛ばすのか。すげえ勢いで飛んでったな」
雌蜘蛛「……!シカシ、呪イハ遅イ!」
僧侶「<解呪:逆術>!呪いを解く奇跡は呪いを進められます」
雌蜘蛛「災イアレ!呪イアレ!貴様ラノ道行キニ死ト傷アラン事ヲ!アア、雄蜘蛛、会イタカッタ……」
術士「完全に、金の彫像になったな。悪趣味だが」

猟犬女「……さて。標的は消えて、邪神も消えた。これは任務失敗かね?」
聖剣部隊「……しかも、著名な聖騎士女さんに見られていますね」
猟犬女「名高き聖騎士女さんが、第三王子は自滅したって証言して貰えると助かるね」
聖騎士女「もちろんだ、聖剣部隊ナンバー2。今はシスターをしているのでは?」
猟犬女「……知られていたのか」
聖騎士女「我々は近い位置にいるからね。表舞台に立っているからと言って陰の英雄達を馬鹿はしない」
猟犬女「ご立派なこった」

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