Post-0203

騎士「さあここだ。失礼の無いようにな。黒騎士殿は心の広い方だが、許してくれるのと失礼をして良いというのは別だ……。もしもし?黒騎士殿、騎士です。よろしいでしょうか?」
黒騎士「やあようこそ。友が訪ねてくれるのはいつでも心が躍るな」
騎士「いえいえ。友とは気恥ずかしい。私はただの弟子です」
黒騎士「手を離れた相手は守るべき弟子ではない。一人の友だよ。歓迎するよ、入りたまえ。良ければそこの精悍な男と、可憐な女性2人をご紹介頂けるかな?」
騎士「失礼します。では、ご紹介します。いつもお話をしている戦士と、仲間の盗賊娘、蛮族娘です」
戦士「どうも、戦士です。噂はかねがね」
黒騎士「戦士くん、というのか。懐かしい名前だ。昔、守る事ができなかった人と同じ名前だ」
戦士「それはご愁傷……その、鎧の、不名誉印が、刻まれた、凧、の紋章は、若騎士の……」
黒騎士「若騎士……。何故、私のかつての名を知って……戦士、戦士くんか!?姉さんの弟の!おばさんの家の隣に住んでいた!」
戦士「若騎士……さん!?なぜ、俺ら、を、助けて……くれなかった……」
盗賊娘「戦士!?」
蛮族娘「駄目!」
戦士「若騎士さん、いや、黒騎士さん。俺はあんたを殴らなきゃいけない」
騎士「やめろ戦士!」
黒騎士「いや、戦士くんには私を殴る権利がある。殺す権利すら。私は愚かさが故に風鳴き村を守れず皆を失った。生き残った戦士くんには無能な私を処断する権利がある。甘んじて受け入れる。が。言わせてくれ。一人でも、生き残っていてくれたんだな……」
戦士「一人じゃない。おばさんも生きてる。でも、姉も、ガリも、粉挽きも噂好きもみんな死んだ」
黒騎士「そうか、2人も。ありがとう。おばさんにはあえなくても、君に会えただけで私はもう満足だ」
戦士「理由が、あったんだろ。聞かせてくれよ」
黒騎士「そうか。君には知る権利がある。話そう」
盗賊娘「戦士、聞いて後悔しない……?」
戦士「聞かない方が後悔する。続けてくれ」
黒騎士「その日、私の家には療養中の湖の貴婦人殿が滞在していた。そしてその日密偵から、湖の貴婦人に向けて刺客が放たれたとの連絡があった。愚かな私は湖の貴婦人を守るため、彼女を馬に乗せて街道を走った」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「しかし、刺客を放った貴族が、同時に山賊を村にけしかけた。私はそれに気づかなかった。本来、村を守って山賊と戦うべきだったのに。勝てなくても正面で戦い、村人を逃がして死ぬのが誉れであったのに」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「それを知ったのは、湖の貴婦人を送り届けて村に引き返した時だ。許せるわけがない。山賊どもには地獄で悔いて貰っている」
戦士「何も悪くねえ」
黒騎士「そしてそれを命じた貴族を特定し、乗り込んで討った。地獄で悔いて貰っている」
戦士「何一つ悪くねえ。相手しか悪くねえよ」
黒騎士「つまり、私は愚かさが故に皆を失った。それは、私がしたと同じだ、という事だ」
戦士「ちげえ。それはちげえ。やったのは相手で悪いのも相手だ。死ぬべきなのも」
黒騎士「しかし、君には私を処断する権利がある」
戦士「そんな権利いらねえ。ただ、俺には、もう、復讐する相手はいないんだな」
黒騎士「すまない。弔いのつもりで全て片付けてしまった」
戦士「いや、なら、いい」
盗賊娘「戦士、信じられないほど複雑な顔してる……。大丈夫?泣いてもいいんだよ?」
戦士「ありがとな。泣けねえよ。あんなにぶん殴りたかった若騎士様がそんな思いしてたんだからよ」
黒騎士「すまない。君も、みんなも守ってやれなくて。そしれ今ですら」
戦士「手が離れたら守るべき相手じゃない、なんだろ。守って貰わなくていい」
黒騎士「すまない」
戦士「俺はもういいよ。今度、おばさんの店を紹介する。会いに行ってやってくれないか」
黒騎士「ありがとう」
戦士「すまないんだが、俺の代わりに人を守ってほしい。少し協力してくれないか」
黒騎士「私で出来る事なら」
戦士「じゃあ、騎士、任せたよ」

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Post-0202

騎士「黒騎士殿は確か、西の繁華街の宿屋にお泊まりのはずだ」
戦士「黒騎士殿ねぇ……。黒騎士っていうのは、鎧が黒の騎士様って事でいいのか?」
盗賊娘「あはは、普通で言う黒騎士って、仕える主を持たない騎士様だよね」
騎士「ああ。そういう意味では私も黒騎士なのだが、まあこの国で黒騎士と言えば黒騎士殿を指すと言ってもいいな」
蛮族娘「黒騎士、有名、何故?」
騎士「黒騎士殿は、湖の貴婦人殿に対して卑劣な謀略を行った高位貴族に抗議し、単身乗り込んで賊として討たれた。誰も逆らえない高位貴族をだ。当初高位貴族を撃つ行為は不忠として騎士号を剥奪されたが、その後各地を転々として人を救い、最終的にその功を持って再度騎士号を与えられた」
戦士「つまり、殴っちゃいけないような上司を殴って立場を投げ捨てて、それでも行動を変えずに再度認められたのか。すげえな」
盗賊娘「戦士だって手を出すときに殴っていい、悪いなんて考えないよね」
戦士「それはよ、俺には立場なんてねえから。でも立場投げ捨ててそれをできるのは偉いよな」
騎士「私もそう思う。だからこそ、私は黒騎士殿に師匠になって貰った。黒騎士殿は剣術だけでなく生き方が素晴らしいと思う」
戦士「そういう師匠を持ってるから、騎士もそういう感じなんだな」
騎士「はは。それでも一度第三王子に仕え、そして見捨てる事になったのだがな」
戦士「見捨てられるのが偉いよ」
騎士「やはりお前とは話しがあうな。きっと黒騎士殿とも話が合う」
戦士「そうだといいけどな」
盗賊娘「素敵な人だといいね」
蛮族娘「強い?オレ、手合わせ、したい」
騎士「はは。私より強いぞ。しかし蛮族娘なら良い勝負になるかもしれない」
蛮族娘「……!楽しみ!」
騎士「さあ、この辺だな。庶民の止まるような宿屋に泊まっているあたりが本当に黒騎士殿らしい」

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Post-0201

騎士「ふむ。運が良い。先日黒騎士殿とお会いしたばかりだ。まだこの地方においでのはず。湖の貴婦人殿に直接押しかけるのも無礼であるから、黒騎士殿にご同席頂いてご紹介頂くのがよいだろう」
魔法使い「早速お願いできますか」
戦士「お、黒騎士さんに会いに行くのか。なら今回俺はあんまり役に立てないだろうし、そっち行こうかな。ついでに紹介してくれよ」
騎士「良いアイディアだな。黒騎士殿も戦士に会いたいと言っていた。それを口実に会いに行き、ついでにご紹介をお願いするのは非常に都合が良い」
盗賊娘「なら許可をもらい次第塔に行きたいし、私もついて行こうかな」
蛮族娘「なら、オレも」
盗賊「大人数で行くのも問題だし、じゃあ俺はちょっとギルドに行ってくるよ。色々わかるかも知れないしな」
偽聖騎士「何ギルドかはあえて聞かないでおくよ。必要悪も悪、という奴もいるからな」
盗賊「ただの正義馬鹿でもないんだな」
聖騎士女「一応訂正しておくが、聖騎士が掟にうるさいのは、それで自分を縛るためだぞ」
盗賊「おっと失礼。見逃して貰えるんならそれでいいよ」
偽聖騎士「ははっ、話が早い」
魔術師「で、私は何をすれば」
魔法使い「一応<魔力消失>だけ準備しながらこの酒場で待機していて下さい。<魔力消失>を打てさえすれば圧倒的に有利に立ち回れるメンバーばかりです」
魔術師「こういう冒険者まがいなのは得意じゃないんです」
術士「冒険者が常にこういうのだって訳でもねえぞ。むしろ特殊だからな。冒険者はお互い全力出すと死ぬから、むしろ手加減とか縛りでの決闘を好むんだよ」
魔術師「そういうものなのですか」
術士「案外、な。今回は冒険者というよりバトルロイヤルだからな」
魔術師「正直、死なない前提でも相当怖いですよ」
魔法使い「それで取り乱さない魔術師さんも相当心強いですよ」
魔術師「なら良かったんですが」
騎士「それでは、私と戦士、盗賊娘と蛮族娘は黒騎士殿の元へ。盗賊はギルドへ。他は酒場で待機しつつ警戒、で良いか?」
魔法使い「お願いします」

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Post-0200

聖騎士女「この件、私達も関わってしまった以上無視もできない。片付くまで付き合おう」
魔法使い「助かります」
騎士「しかし、襲ってくるのを返り討ちにする前提でいうのであれば、この宿屋を使うのも危険だな」
魔法使い「そうなんです。そこで、騎士さんと聖騎士女さんのお力をお借りしたいです」
聖騎士女「ふむ。騎士殿だけでなく私も必要という事は権力が必要なのだね?」
魔法使い「はい。まず不死の4人が安心して過ごせて、かつ周囲に大きな損害を与えない立地の場所に仮住居が必要です。それほど長い見込みではないですが、相手に持久戦をされると待ち受けている側の方が圧倒的に消耗します」
戦士「あ、それはわかる。攻撃する側より守る側の方が圧倒的に大変なんだよな」
騎士「なるほど、では立地については思い当たる場所がある。視界が広く高い場所が理想的だな?」
聖騎士女「つまり、湖の畔の風車塔だな。今管理する人もおらず、それほど古くもない。周囲は開けているし、塔をなぎ倒すような強烈な破術も残っていなさそうだ」
魔法使い「はい、助かります。ただ、あの風車塔は湖の貴婦人の持ち物なので、お借りするにしろ買うにしろコネクションが必要です」
騎士「運がいい。湖の貴婦人は黒騎士殿と懇意の方だ。昔黒騎士殿が貴婦人をお守りした事があったらしくてな。私も黒騎士殿と一緒に何度かお目通りを願った事がある。優しいお方だ、きっと力になって下さる」
魔法使い「本当に助かります。そして、基本的は反撃メインですが、こちらから追わない道理もありません。特に、破術を使う人は破術使いに襲われることは想定しているでしょうが、そうでない者に組織だって襲われる事を想定していないはずです」
禁術複製「そりゃそうだねぃ。情報を漏らさない前提だし、偶然雑魚に絡まれても一撃で終わりだねぃ」
禁術娘「そうだねェ。少なくとも、禁術使い以外に命の危険にあわされた事は無いねェ」
魔法使い「ある意味で当然ですよね。誰だって不死になりたい。術者以外にそれを漏らしたら最初に自分が狙われますから」
盗賊「つまり、俺の出番という事でいいか?」
魔法使い「でも、無理はしないで下さい。僕が<転移>の巻物を2つ作ります。魔法コストの問題でそれ以上作れないですけど、1個あれば盗賊さんなら十分逃げられますよね。<転移>先で待ち伏せの可能性があるので2個作りますが、先に転移先を2つ別々に選んでおいて下さい」
盗賊「そんなお宝があるなら普通の仕事より楽だな」
盗賊娘「じゃあ、私も……」
戦士「すまねえ、目のいい奴が一人必要だから、こっちのフォローしてくんねえか?塔に登っても目が節穴だと何も見つけられねえ」
聖騎士女「そうだな、盗賊娘は特に目が良いからな」
戦士「悪いけど頼まれてくれるか?」
盗賊娘「みんながそう言うなら……」
剣士「私達が下で即応できるよう準備するとして、やはり目のいい者は必要だからな」
術士「むしろ一番キツい仕事だから、頼まれてくれるか?」
盗賊娘「うん。喜んで」

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Post-0199

偽聖騎士「話は済んだ、という事で良いだろうか。つまり、今不死が連れて行かれた破術使いを含めて、魔術師さん、禁術娘くん、禁術複製くんで4人いる。それを守りながら破術を集めるのが最初のステップという事だろうか?」
戦士「あったまいいな」
盗賊「これについてはそれほどでは無いと思うぞ」
戦士「剣の腕が凄くて頭いいのすげーよな。まるで聖騎士女だ」
偽聖騎士「はは、オレもそうあろうと思っているよ。いずれ<加護>を得てね。だが今は聖騎士ではなくても正しい事はできる」
蛮族娘「パイ、ない、なった」
盗賊娘「美味しかったね」
呪術女「我、満足」
魔法使い「ああ、ごめんなさい、ちょっと専門用語が多かったですよね」
呪術女「大丈夫、だいたい、わかる。破術、不死の呪い、集めて広める」
魔法使い「はい、そうです」
呪術女「力になれない、残念。封じられた、呪い。我ら、喰う、できる」
魔法使い「……?封じた呪いを、食べる事ができるんですか?」
呪術女「腹に、納める。徐々に、消える。でも、封じる、しないと、喰う、できない」
僧侶「ちょっと待ってください……。神の加護によらず、呪いを消滅させる事ができるのですか?」
呪術女「神、呪い、消す、できる。しかし、大きい、呪い、そのまま、消す、できない」
僧侶「そうですね。あまりにも大きい呪いは何度も儀式を行って徐々に薄れさせるしかありません」
呪術女「我ら、呪い、封じる。封じた、呪い、喰う。呪い、徐々に、消える」
僧侶「呪いを消化ではなく昇華するのですか……?」
呪術女「我ら、それ、できる。しかし、残念、我ら、封じる、できない」
僧侶「封じる能力の人がいないんですね」
呪術女「そう。我ら、因果喰い。我ら、求める、因果封じ」
僧侶「なるほど、因果の民の中でも、因果封じと呼ばれる人が必要なんですね」
蛮族娘「因果封じ?虹色の、髪の、民。オレら、因果、喰う、とき、髪、虹色」
僧侶「因果を操る時に、髪が虹色になるんですね。綺麗でしょうね」
蛮族娘「オレ、髪、綺麗。僧侶、オレ、好き、なる。でも、伴侶、僧侶、違う」
僧侶「はは、振られてしまいましたね。では、私は人生を神に捧げますね」
戦士「あっはっは!僧侶が振られるなんていいもの見られたな!」

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Post-0198

禁術娘「じゃあ、まず破術を全部集める。として、どうやって集めるんだ、ねェ?」
禁術複製「まあ、なんとなく予想はつくねぃ」
魔法使い「そうですね。さっきの破術使いさんの行動を見ればだいたい分かりますよね」
戦士「???」
魔法使い「破術使いさんは<接続>を求めて王都の破術使いを放逐して、最終的に辺境寄りのこちらに来ました」
盗賊「追いかけて、ではないな。王都で全て片付けて最終的にこっちに来ている」
魔法使い「そうなんです。しかし、これは破術を集めるのには適した方法ではないんです」
僧侶「存在に気づく人数の問題ですか?」
魔法使い「そうです。破術使いが動いたという情報が入れば他の破術使いは身を隠しつつ情報元を仕留めに行くはず」
禁術娘「そうだねェ。情報を漏らす馬鹿は闇討ちするのが定番だよねェ」
禁術複製「だからこそ破術を見せる時は周囲を片付けるか、記憶を操作しないといけないんだよねぃ」
魔法使い「そうです。なのにあの破術使いさんはそんな事をせず悠々と追ってきた」
禁術娘「まあ舐めてるのんもあるんだろうけどね」
禁術複製「魔法使いの人を舐めたとしても、情報が漏れて困るのは自分だねぃ。つまり」
魔法使い「はい。こちらから王都方面にかけて、もう破術使いはいないはずです。そして、これはもう一つの情報と整合します」
禁術娘「整合?」
魔法使い「はい。<伝播>は使われたのを観測された事がない。つまり誰が持っているかわからない。それが眠るのはどう考えても古代魔法文明の遺跡です。しかし今までに見つかっていないものが簡単に見つかるかというと、それは難しい。ですが」
禁術複製「みんな知ってるねぃ。辺境に、今まで見つかった事の無い、大きな古代魔法文明の遺跡があったと」
禁術娘「そうだね、正直、まほクンを引っかけたのはそれが目的だったのさ。何か知ってるんじゃないかって」
魔法使い「あはは、でしょうね。そんな事でも無ければ僕が女の子から声をかけられるなんて一生ないでしょうから」
禁術娘「……。それは、違うよ……」
魔法使い「ありがとうございます。優しいんですね。大丈夫です、傷ついてませんから」
禁術娘「違うよ、優しいのは……」
禁術複製「魔法使いの人にお義兄さんって言われる流れかねぃ?」
禁術娘「ブチ殺すよクズ」
禁術複製「クズに戻されたねぃ」
魔法使い「なので、おそらくこの騒動で残った破術持ちが活発化します」
禁術複製「あの破術使いを白髪の人に渡したのは失敗だったかねぃ?不死じゃない以上簡単に吐くねぃ」
魔法使い「大丈夫です、あの破術使いさんもう1つ唯一の破術持ってるはずですから」
禁術娘「アハハ、本当に頭がいいね」
魔法使い「ですよね。不死である事でチャンスが1回生まれる以上、手詰まりになるまではラスト1個は使いませんよね」
禁術複製「みんなそうするよねぃ」
僧侶「ですがナンバー1は不死性が失われたと……」
魔法使い「ナンバー1さんがどうやって不死性を判断しているのかはわかりませんが、僕たちに対するブラフですよね」
騎士「おいおい」
魔法使い「いえ、ナンバー1さんが常に正しく常に最悪ならば、破術使いさんは引き渡して正解のはずです。なにか理由があって嘘をついてまで引き取ったんです。おそらく、用が終われば本人か、あるいは破術だけ帰ってくるはずです」
禁術娘「ま、まほクン?」
魔法使い「可哀想だとは思いますし、申し訳ないとも思います。でも、彼は裁かれなければならないし、不死を裁くのは神殿の仕事です」

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Post-0197

ナンバー1「面白いものを見つけて参りました」
???「ふむ、説明したまえ」
ナンバー1「特殊な呪いにより不死になった存在です」
???「それは、神の呪いかね?」
ナンバー1「解析してみないとなんとも言えません。が、おおよそ魔術によるものでしょう」
???「そうだな。神が与えるのは常に祝福、呪いであれば魔道のものだ」
ナンバー1「ご明察かと。しかし、調べてみないとなんとも言えません」
???「しかし不死は大きな問題だ。神殿の術士団にて調べを行う。異論はないな」
ナンバー1「無論です。不死は神に対する反逆に等しい。神は命を与え、命を受け取る。借りた物を返したくない、では通じません」
???「ふむ。では、迎えを送る。引き渡せ」
ナンバー1「魔法の能力を1週間ほど奪っています。完全に魔法に依存している者ですから、脱走の恐れはないでしょう」
???「奪った?そんな事が可能なのか?」
ナンバー1「ご安心を。魔術による呪いで封じているのではありません。全ては神の思し召しのままに」
???「まあ良い。君は常に正しい」
ナンバー1「ありがとうございます」
???「では励め」
ナンバー1「ありがたきお言葉」

ナンバー1「大山鳴動し……。まあ良い。私が仕えるは常に神」

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Post-0196

禁術複製「終わらせる?」
禁術娘「破術争奪戦を?」
魔法使い「確実ではないんですけど、試す価値はあると思います。じゃあ、どうやって破術を集めるかを考えましょう」
禁術複製「どうやって終わらせるんだよねぃ?」
禁術娘「まほクンは、まず集める、その後危ない部分を修正して広める、って言ったねェ?」
魔法使い「そうですね。まず、前提として争奪戦に参加している人、みんな勘違いをしているんです」
禁術娘「勘違い?」
魔法使い「破術を全部集めたい、と不死を守りたい、の2つを守る場合、参加者全員を殺すのは一つの答えですが、最適解ではないんです」
禁術複製「最適解ではない?どういう意味なんだねぃ?襲ってくるのは全部殺せばいいよねぃ?」
魔法使い「そうとも限りません。まず、不死を確保するために自分しか知らない破術を1つ持っておく事自体は意味があります」
禁術娘「そうだねェ」
魔法使い「しかし、人から破術を奪った後、相手を殺す必要は無いんです」
盗賊「それだと取り返そうとして後で襲ってくるぞ」
魔法使い「そうです。だから、襲ってくる前に他に広めればいい。そうすれば知ってる人間が3人、相手は1人ですがこっちは2人です。その2人が手を組めばもっと楽に身を守れます」
騎士「しかし、それだと全ての破術を集められないな」
魔法使い「そこです。逆に言えば、集める瞬間までは手を組んだ方がいいし、最終的な判断は独占するために殺し合うか、不死を捨てて全員が全ての破術を得るかです。今の戦い方だとその選択肢がない」
禁術娘「つまり、まほクンと組めば、不死は捨てる事になるけど、全ての破術を集めることができる、って事だねェ?」
魔法使い「そうです。そして、不死自体は魔法使いなら別の手段で達成できる」
禁術複製「不死を達成?」
魔法使い「厳密には不死ではありませんが、極限まで死なない形を作ることができる。それを越えて生きたいなら、いつか全ての生命が失われて荒廃のみが残るという『黄昏の後』で永遠に一人で生きる事になります」
禁術娘「みんな死んだ後、誰もいない世界に自分だけ……。それは、生きていて嫌になるかもねぇ……」
魔法使い「そうなったとき、もう破術を教える相手もいない。詰みです。そんなのがいい人生なわけがない」
禁術複製「ちょっと、ぞっとしないねぃ」
魔法使い「ね。その前提なら殺し合わない選択肢があるんです」

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Post-0195

破術使い「くそッ、こんな化け物が揃っているとは聞いていない……!」
ナンバー1「ふむ。諦めたまえ。運がなかった」
破術使い「くそッ」
ナンバー1「無駄だ。君はまだ不死なのを隠している事を、私は知っている」
破術使い「……!?」
ナンバー1「図星だろう。私には、わかる。神の恩寵から零れた者が」
破術使い「てめえ……」
ナンバー1「無駄だ。神に逆らう者は皆魔術を好む。常にそれと対する我々は、魔術師以上に魔術を理解している」
破術使い「なら、逆も然りだろうが……」
ナンバー1「口だけでも勝ちたいのか?お前らには知識と技を体系的に継承する術がない。魔術師が学院を作ったのも最近の話だ」
破術使い「……ぎゃッ!」
ナンバー1「自分を巻き込んで魔法を使うつもりだったのだろう?無駄だ。行動は読めている」
破術使い「くそ、最悪だ」
ナンバー1「だが、誇れ。君は世界と、そして神に貢献することができる。誰にでもできる事ではない」
破術使い「笑ってやがるのか……。その歪んだ顔……。狂ってやがる」
ナンバー1「狂っている?神は理不尽を賜る。ならば、理を求める人間の方が狂っているのではないか?」
破術使い「お、おい、やめろ。その目で俺を見るな」
ナンバー1「……。見られたくないなら、そうしてやろう。神がそうあるように、私も慈悲深くしよう」

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Post-0194

魔法使い「禁術娘さん、禁術複製さん。今知られている破術について教えてください」
禁術複製「俺っちが説明」
禁術娘「アンタは自分に都合良く説明するだろ。アタシがするよ」
禁術複製「あれ、クズって言わなかったねぃ?」
禁術娘「痛い目に遭いたくなければ黙ってな」
禁術複製「はいはい」
禁術娘「破術は4門4術で16種類。創造門は<創造><伸縮><複写><転質>、移送門は<引力><接続><置換><整地>、操作門は<分離><固定><促進><還元>、魔力門は<透過><蓄積><均衡><伝播>だよ」
戦士「なんかの試験かよ」
盗賊「実際試験だな」
魔法使い「えーと、<創造>がさっきの破術使いの棘、<伸縮>もさっきの破術使い、<複写>が禁術複製さん、<接続>が魔術師さん、<置換>が禁術娘さん、<整地>が<破城の鉄槌>で合ってますよね?」
戦士「何言ってるのか全然わからねえ」
禁術複製「あってる。さすがまほクンは頭がいいねぃ」
魔法使い「じゃあ残り10個ですよね。あと、<固定>っていう魔法はありますよね?」
禁術娘「今使われている<固定>の源流だねェ。こっちは魔法だけじゃなく全ての状態を固定する」
魔法使い「ということは、動きを完全に止められる?」
禁術複製「ご明察。そうだと言われてるねぃ」
魔法使い「では、存在が確認できていない破術ってこの中にあります?」
禁術複製「<伝播>が使われた事実は確認できないねぃ」
魔法使い「どういう破術ですか?」
禁術娘「何かの状態を伝染させる術だって言われてるねェ」
魔法使い「……!なるほど。他は実在が確認できているんですよね?もうちょっと詳しく教えて頂ければ、多分、終わらせられる……」
禁術複製「終わらせる?」
禁術娘「破術争奪戦を?」
魔法使い「確実ではないんですけど、試す価値はあると思います。じゃあ、どうやって破術を集めるかを考えましょう」

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