Post-0170

魔法使い「禁術を知る最後の者は死なない……?でも、破城の鉄槌にはそんな術式は組み込まれていません」
禁術娘「そうだろう、ねェ。そんなのは誰だってわかる。でも、これでどうだい?特別にいいものを見せてあげるよ、近寄りな」
魔法使い「だ、駄目です、胸元をめくっちゃ」
禁術娘「そんな所よりもっといい物を見せてあげるよ。ほら」
魔法使い「ナイフで胸を……!?いけない、抜かないで。僧侶さんを呼んできます」
禁術娘「ほら、よく見なって。心臓を、こうやって、かき回しても、死なない……ねェ?」
魔法使い「まさか、信じられない」
禁術娘「手品とか疑われてもつまらないからさ。見える、よ、ねェ?ぐずぐずの心臓が、治っていく……」
魔法使い「は、はい。傷も治っていく……。という事は、禁術娘さんは破城の鉄槌以外のオリジナル禁術を持っているんですね」
禁術娘「話が早い。アタシは死なないがアンタは死ぬ。今のところね」
魔法使い「どうしても不思議です。呪文の効果なら呪文に術式が載っているはず」
禁術娘「死なない結果が人に狙われ、術式をゲロしたら殺され、なんなら不死を求める輩にも狙われる。ほぼ呪いだ、ねェ」
魔法使い「うーん。どうしても納得がいかないです……。例えば破城の鉄槌にしても攻勢魔法としておかしい点があります……」
禁術娘「ほう、例えば?」
魔法使い「破城の鉄槌は効果範囲を地面以外全て消し去る術式です。ですが攻勢魔法なら地面もえぐれないと地下の敵が倒せない。これじゃまるで地ならしの魔法だ」
禁術娘「ははッ!最短で答えにたどり着いたね。そう、破術は全部強すぎるだけの便利魔法だ。まあ悪用した方が効果が高いが、ねェ」
魔法使い「……!使い方が問題になるから、封印されたのか……!」
禁術娘「そりゃそうだよ、ねェ。禁術所持による不死がどこまでかを確認するために妹で散々実験するようなクズが求める魔法だ。正しくなんか使わない、ねェ」
魔法使い「そんな事を……」
禁術娘「そりゃあ痛いのにも慣れるよ、ねェ」
魔法使い「それは、ちょっとどころではなく、許せません」
禁術娘「まあそれをやったクズは死んだけど、ねェ」
魔法使い「それについては本当に……」
禁術娘「いいよ、別に。それに、本当は痛いのにはまだ慣れてないし、ねェ」

#ズレよし
#ちょっとズレてるお人好しども
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Post-0167

魔法使い「と言うわけで、ごめんね、お兄さんはもういないんだ」
禁術娘「それは……もうわかってるよ、ねェ」
魔法使い「だから、そのナイフは自由に使って。でも、僕も身を守らなきゃいけないから、黙ってやられるとは約束できないよ。ごめんね」
禁術娘「まあ殺そうとすりゃ殺されるよ、ねェ……。襲ってくる他の禁術持ちもみんなそうさ」
魔法使い「うん。僕はお兄さんに悪意こそあったけど、それでどうこうしようと思ったわけじゃないんだ。でも、その結果お兄さんがいなくなった事は否定しないよ」
禁術娘「丁寧に、話すねェ」
魔法使い「当然だよ。君は安心してるけど怒ってもいる。それは遺族として当然だよ」
禁術娘「舌ピになりたい酔狂にも見えないし、ねェ……」
魔法使い「とりあえず安心して話し続けていいのかな……?普通禁術っていうと国と魔法学院に止められた術を指すと思うんだけど。」
禁術娘「アタシらの言う禁術はそんな可愛いものじゃない、ねェ。魔術が体系化された時に切り離された、破術と呼ばれる魔術体系さ」
魔法使い「聞いた事だけあります。魔法学院ではメンターの僕ですら触れる事が許されない領域だ……」
禁術娘「ははッ、メンター様だったのかい。まあ破術って言っても難しい術じゃない。難しくないのにとんでもない効果がでるから駄目なのさ」
魔法使い「そういえば、お兄さんは気軽に破城の鉄槌を3回連続で唱えていた……」
禁術娘「隕石が降るクラスの魔法を3連続で唱えるのは、ちょっと天才を超えている、ねェ?」
魔法使い「と、とんでもないですね」
禁術娘「それを、アンタは頭脳だけでコピーした……。やっぱり殺しておこうか、ねェ?クズの分のピアスが余ってる。舌につけて大事に連れ歩いてやるよ」
魔法使い「使わないから見逃して貰う、という訳には」
禁術娘「あはは、アタシは見逃してやるよ。ただ、今アタシが死んだら破城の鉄槌持ちはアンタ一人になる、その瞬間、アンタの人生は変わる」
魔法使い「今ではなく、僕1人になったら?」
禁術娘「死ぬなら先に死んだ方がいいよ。破術は決して失われない。なぜなら」
魔法使い「なぜなら……」
禁術娘「その術を知る最後の一人は、死なない」

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Post-0164

魔法使い「詳しく話す前にまず、街ごと僕を殺すのではなく僕だけを殺すと誓って。これを使っていいから。人を巻き込まないでくれる?」
少女「意外と、肝が、座ってるねェ。まあ殺す手段は問わないよ。悪かないナイフ……この、紋章は……!?」
魔法使い「うん、見覚えがあるならお兄さんで間違いない。お兄さんの唯一の形見だから、まず返すよ」
少女「形見……。本当に、あのクズは死んだんだねェ……。こんな手がかりを回収せずに立ち去るようなマヌケじゃない、ねェ」
魔法使い「うん、詳しく話してもいい?」
少女「そうか……。じゃあ、クズの分はピアスを増やさなくていい……ねェ」
魔法使い「お兄さんについて、怒っているのに安心しているんだね。話し終わっても僕が生きていたら後で詳しく教えて。」

少女「つまり、あのクズは出会った時点で雌蜘蛛に憑かれていた、と。そして黄金の呪いに蝕まれ、聖騎士の手によって消滅した」
魔法使い「うん、経緯としてはそうだけど、お兄さんが消えた理由は僕らにある」
少女「あのクソ野郎をこの手で殺せなかったのは残念だけど、消えたならそれでいい、ねェ。これでクズとアタシの持っていた禁術は、アタシだけのものになった、ねェ」
魔法使い「ごめんね、禁術って、お兄さんの使っていた破城の鉄槌?あれなら詠唱を2回見て発動を1回見たから、多分僕同じ術使えるよ」
少女「はぁ?禁術の<能力複製>使わないで詠唱聞いただけで使えるっての……?」
魔法使い「うん……多分」
少女「あははははは!ア、アタシ達が殺し合って無理矢理引き出して集めている禁術を、お前は、見ただけで、ねェ……あはははは」
禁術娘「あはははは……死にな。詠唱破棄!<破城の鉄槌>!」
魔法使い「あわわ、<対抗呪文>!」
禁術娘「あはははは!<対抗呪文>で打ち消せるのは使える呪文だけだよ、ねェ。本当に使えやがる……」
魔法使い「やられました。範囲を絞って僕に当たらないように打つ事で<対抗呪文>を引き出しましたね……」
禁術娘「まあそういう一族だからね……。しかし困った。禁術使いは禁術を集める。相手が追ってこないように殺す。同じ禁術を複数が持つのはあらゆる意味で認められない、ねェ」
魔法使い「じゃあ、そうなっちゃう感じ、ですか……?」
禁術娘「構えなくていい。アタシはこんな下らない殺し合いは好きじゃない。襲いかかってくる相手には容赦できないが、そうじゃない相手をどうこうしようとも思わないよ、ねェ」
魔法使い「じゃあ、ちょっと安心してもいいんですよね……?」
禁術娘「アンタならこの舌ピアスに加えてあげてもいいんだけど、ねェ」

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