Post-0171

呪術女『久しぶりだな蛮族娘。我も王国に招かれた。邪魔でなければここに滞在したい』
蛮族娘『久しぶり、呪術女。オレは熊の皮を得て熊の勇者になった』
呪術女『それは喜ばしい。母熊の如く、弱き者を守れるようになったのだな』
蛮族娘『いや、雄叫びと共に意識を失う』
呪術女『なら、それはまだ仮初めの力。個で守り、群れで攻めるが勇者。お前はまだ守れていない』
蛮族娘『なら、もっと修行するよ』
呪術女『我は勇者ではない。故に教えられない。励め』
蛮族娘『もちろん!』

盗賊娘「蛮族娘、嬉しそう」
盗賊「まあ、普段魔法使い以外に言葉通じないしな」
盗賊娘「私ももうちょっと頑張って言葉覚えよう……」
術士「凄く良い事だな。聖騎士女も辺境の言葉上手いから習うといい」
盗賊「ところで呪術女、王国領に何か用事があったのか?よしみだ、何でも手伝うぞ」
呪術女「我、魔法学院、呼ばれた。我らの、呪術、は、魔法、と、違う、が、研究したい、と」
盗賊「なるほど、魔法使いのやってたアレだな」
呪術女「かわりに、我、魔法、学ぶ。魔法使い、我に、呪術、と、魔術、組み合わせる、見せて、くれた」
術士「はははは!なるほどな、魔法学院がやりたい事を呪術女もしたい。完全に対等だ」
呪術女「我ら、辺境開いた、役割、終えた。でも、我ら、生きる。生きる、には、目的、が、必要」
盗賊娘「そうだね……。生きるために生きるだけじゃなく、何か『したい』があるといいよね」
蛮族娘「オレ、強い、勇者、なる、目的!でも、盗賊娘、仲良い、も、目的!」
盗賊娘「ありがとう、凄く嬉しい。わたしも蛮族娘と一緒にいたいよ」

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Post-0170

魔法使い「禁術を知る最後の者は死なない……?でも、破城の鉄槌にはそんな術式は組み込まれていません」
禁術娘「そうだろう、ねェ。そんなのは誰だってわかる。でも、これでどうだい?特別にいいものを見せてあげるよ、近寄りな」
魔法使い「だ、駄目です、胸元をめくっちゃ」
禁術娘「そんな所よりもっといい物を見せてあげるよ。ほら」
魔法使い「ナイフで胸を……!?いけない、抜かないで。僧侶さんを呼んできます」
禁術娘「ほら、よく見なって。心臓を、こうやって、かき回しても、死なない……ねェ?」
魔法使い「まさか、信じられない」
禁術娘「手品とか疑われてもつまらないからさ。見える、よ、ねェ?ぐずぐずの心臓が、治っていく……」
魔法使い「は、はい。傷も治っていく……。という事は、禁術娘さんは破城の鉄槌以外のオリジナル禁術を持っているんですね」
禁術娘「話が早い。アタシは死なないがアンタは死ぬ。今のところね」
魔法使い「どうしても不思議です。呪文の効果なら呪文に術式が載っているはず」
禁術娘「死なない結果が人に狙われ、術式をゲロしたら殺され、なんなら不死を求める輩にも狙われる。ほぼ呪いだ、ねェ」
魔法使い「うーん。どうしても納得がいかないです……。例えば破城の鉄槌にしても攻勢魔法としておかしい点があります……」
禁術娘「ほう、例えば?」
魔法使い「破城の鉄槌は効果範囲を地面以外全て消し去る術式です。ですが攻勢魔法なら地面もえぐれないと地下の敵が倒せない。これじゃまるで地ならしの魔法だ」
禁術娘「ははッ!最短で答えにたどり着いたね。そう、破術は全部強すぎるだけの便利魔法だ。まあ悪用した方が効果が高いが、ねェ」
魔法使い「……!使い方が問題になるから、封印されたのか……!」
禁術娘「そりゃそうだよ、ねェ。禁術所持による不死がどこまでかを確認するために妹で散々実験するようなクズが求める魔法だ。正しくなんか使わない、ねェ」
魔法使い「そんな事を……」
禁術娘「そりゃあ痛いのにも慣れるよ、ねェ」
魔法使い「それは、ちょっとどころではなく、許せません」
禁術娘「まあそれをやったクズは死んだけど、ねェ」
魔法使い「それについては本当に……」
禁術娘「いいよ、別に。それに、本当は痛いのにはまだ慣れてないし、ねェ」

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Post-0169

盗賊娘「熊の力は、危ないよ……?」
蛮族娘「熊の力、練習、必要。力、熊の皮、外す、なくなる。盗賊娘、熊の皮、取れる」
盗賊娘「うん、絶対じゃないけど、多分、できるよ」
蛮族娘「盗賊娘、も、勇者。オレ、安心。その前に」
盗賊娘「あれ、これ熊のなめし皮?」
蛮族娘「熊の頭、被る。盗賊娘、お揃い、喜ぶ」
盗賊娘「そうだね、お揃いだね。似合うかな……?」
蛮族娘「完全な、勇者。見とれる」
盗賊娘「えへへ」
蛮族娘「勇者、勇者、止められる。オレ、悪さ、我慢、する。もし、オレ、止める、任せた」
盗賊娘「うん、わかった」

盗賊「ただいま。猫のおもりで木に登る羽目になった」
術士「どうも。そろそろ盗賊娘が帰って……きてるな。お帰り。楽しかったか?」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊「おい、蛮族娘薄く光ってるぞ!?」
盗賊娘「あ、あれ……?」
術士「おい、盗賊娘も光って……こっちに向かってくる!?」

盗賊「おっと、術士は肉弾戦無理なんだ。こっちに来てくれ」
術士「焦点合ってないし目が血走ってるぞ!とりあえず寝かせる!<眠り>!……って寝ないだと!?」
盗賊「おいおい神殿術士レベルの魔法で寝ないのかよ……、って蛮族娘はまだしも盗賊娘が早くて力が強い……!これは厄介だ!」

呪術女「熊の皮、外せ」

盗賊「助かる!」
術士「すれ違いざまに熊の皮を『盗む』。さすが盗賊」

蛮族娘「……。悪さ、我慢する、できなかった」
盗賊娘「……。一瞬目の前が真っ白になって……。わたし、何を……」

呪術女「勇者、の、熊の叫び、は、他、に、伝わる」
盗賊「なるほど、同じ格好してる奴に伝わるんだな……。魔法使いが喜びそうだぜ」
術士「ところで、何故、呪術女が王国領に……?」

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Post-0168

聖騎士女「そろそろ盗賊娘が帰ってくるだろう。身につけている飾りもそろそろ交換時期だ、これを喜んでくれると嬉しいのだが……」

偽聖騎士「違う!違うぞ見習い君!」
聖騎士女「突き抜けるような快活な声だな……」
見習い「いえ、今回も僕は剣術の試験で合格できませんでした。早く帰って一人で素振りしなければ……」
聖騎士女「彼は眩しすぎる、逆効果でなければ良いが……」
偽聖騎士「それは立派だ!しかし!違う!まず悔しい思いに向き合い、存分に悔しがれ!その気持ちを受け止められない人間が強くなっても意味がない!」
見習い「それは貴方が強いから……」
偽聖騎士「強くないし、オレは毎回失敗している!しかし、前を向く前に泣いてわめいて、気持ちを片付けるべきだ!強くても正しくても人の心を踏みにじっては意味がない!」
見習い「あ、あの、手を握らないで……。って、いうか、うぅっ……僕だって、僕だって1年必死で剣を振ってきた……」
偽聖騎士「そうだ!悔しいよな!君も精一杯頑張った!報われなくてもそれは尊い!そして、その積み上げに更に積んで次に続けるんだ!」
見習い「は、はい……。次こそ、次こそ、やってみせます……」
偽聖騎士「オレでよければいつだって練習相手になる!」

聖騎士女「彼はどういう人物なのだ……?」

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Post-0167

魔法使い「と言うわけで、ごめんね、お兄さんはもういないんだ」
禁術娘「それは……もうわかってるよ、ねェ」
魔法使い「だから、そのナイフは自由に使って。でも、僕も身を守らなきゃいけないから、黙ってやられるとは約束できないよ。ごめんね」
禁術娘「まあ殺そうとすりゃ殺されるよ、ねェ……。襲ってくる他の禁術持ちもみんなそうさ」
魔法使い「うん。僕はお兄さんに悪意こそあったけど、それでどうこうしようと思ったわけじゃないんだ。でも、その結果お兄さんがいなくなった事は否定しないよ」
禁術娘「丁寧に、話すねェ」
魔法使い「当然だよ。君は安心してるけど怒ってもいる。それは遺族として当然だよ」
禁術娘「舌ピになりたい酔狂にも見えないし、ねェ……」
魔法使い「とりあえず安心して話し続けていいのかな……?普通禁術っていうと国と魔法学院に止められた術を指すと思うんだけど。」
禁術娘「アタシらの言う禁術はそんな可愛いものじゃない、ねェ。魔術が体系化された時に切り離された、破術と呼ばれる魔術体系さ」
魔法使い「聞いた事だけあります。魔法学院ではメンターの僕ですら触れる事が許されない領域だ……」
禁術娘「ははッ、メンター様だったのかい。まあ破術って言っても難しい術じゃない。難しくないのにとんでもない効果がでるから駄目なのさ」
魔法使い「そういえば、お兄さんは気軽に破城の鉄槌を3回連続で唱えていた……」
禁術娘「隕石が降るクラスの魔法を3連続で唱えるのは、ちょっと天才を超えている、ねェ?」
魔法使い「と、とんでもないですね」
禁術娘「それを、アンタは頭脳だけでコピーした……。やっぱり殺しておこうか、ねェ?クズの分のピアスが余ってる。舌につけて大事に連れ歩いてやるよ」
魔法使い「使わないから見逃して貰う、という訳には」
禁術娘「あはは、アタシは見逃してやるよ。ただ、今アタシが死んだら破城の鉄槌持ちはアンタ一人になる、その瞬間、アンタの人生は変わる」
魔法使い「今ではなく、僕1人になったら?」
禁術娘「死ぬなら先に死んだ方がいいよ。破術は決して失われない。なぜなら」
魔法使い「なぜなら……」
禁術娘「その術を知る最後の一人は、死なない」

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Post-0166

戦士「よう、ただいま。無縁墓地か。穴を掘ればいいか?」
騎士「話が早くて助かる」
僧侶「すみません、故郷の帰りにこんなお願いを」
戦士「いや、いいよ。騎士も運ぶのに疲れてるだろうし、僧侶には祈りの仕事があるだろ」
僧侶「すみません、今日は私も穴を掘ります」
戦士「わかった。聞かねえ。ほらシャベルだ。普段使わないだろうから背筋痛めるなよ」
騎士「私も手伝おう。しかし、戦士は何故穴掘りも得意なのだ?」
戦士「傭兵時代に散々塹壕掘ったからな。投石機で飛んでくる石は地面より下に隠れないと駄目だからな」
騎士「なるほど、塹壕か。それは掘った事がないな。師の黒騎士殿は経験があると言っていた記憶がある」
戦士「面白い騎士様だな。塹壕掘るのなんて下っ端の仕事なのにな」
騎士「善い方だ。誰に対しても分け隔てなく接し、そして考えが深い。いつか戦士達を紹介したいと思っていた」
戦士「はは、騎士が尊敬する人なら悪い人のわけがねえな。堅苦しい場じゃなきゃいつでも歓迎だぜ」
僧侶「私もそのように思慮深ければ……」
騎士「自分を責める前に穴を掘れ。そして、後悔によって事実を変えては駄目だ」
戦士「なにがあったのか知らねえけど、自分を変えるのは難しいし、人を変えるのはそれより難しいと思うぞ」
僧侶「今の私は、僧侶でも聖堂騎士でもなく、泣きながら穴を掘る一人の男に過ぎません」
戦士「男だって泣いていいんだからな。ただ、誰かがお前を泣かせたんなら俺はそいつを殴る。だからお前を殴らせるな」

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Post-0164

魔法使い「詳しく話す前にまず、街ごと僕を殺すのではなく僕だけを殺すと誓って。これを使っていいから。人を巻き込まないでくれる?」
少女「意外と、肝が、座ってるねェ。まあ殺す手段は問わないよ。悪かないナイフ……この、紋章は……!?」
魔法使い「うん、見覚えがあるならお兄さんで間違いない。お兄さんの唯一の形見だから、まず返すよ」
少女「形見……。本当に、あのクズは死んだんだねェ……。こんな手がかりを回収せずに立ち去るようなマヌケじゃない、ねェ」
魔法使い「うん、詳しく話してもいい?」
少女「そうか……。じゃあ、クズの分はピアスを増やさなくていい……ねェ」
魔法使い「お兄さんについて、怒っているのに安心しているんだね。話し終わっても僕が生きていたら後で詳しく教えて。」

少女「つまり、あのクズは出会った時点で雌蜘蛛に憑かれていた、と。そして黄金の呪いに蝕まれ、聖騎士の手によって消滅した」
魔法使い「うん、経緯としてはそうだけど、お兄さんが消えた理由は僕らにある」
少女「あのクソ野郎をこの手で殺せなかったのは残念だけど、消えたならそれでいい、ねェ。これでクズとアタシの持っていた禁術は、アタシだけのものになった、ねェ」
魔法使い「ごめんね、禁術って、お兄さんの使っていた破城の鉄槌?あれなら詠唱を2回見て発動を1回見たから、多分僕同じ術使えるよ」
少女「はぁ?禁術の<能力複製>使わないで詠唱聞いただけで使えるっての……?」
魔法使い「うん……多分」
少女「あははははは!ア、アタシ達が殺し合って無理矢理引き出して集めている禁術を、お前は、見ただけで、ねェ……あはははは」
禁術娘「あはははは……死にな。詠唱破棄!<破城の鉄槌>!」
魔法使い「あわわ、<対抗呪文>!」
禁術娘「あはははは!<対抗呪文>で打ち消せるのは使える呪文だけだよ、ねェ。本当に使えやがる……」
魔法使い「やられました。範囲を絞って僕に当たらないように打つ事で<対抗呪文>を引き出しましたね……」
禁術娘「まあそういう一族だからね……。しかし困った。禁術使いは禁術を集める。相手が追ってこないように殺す。同じ禁術を複数が持つのはあらゆる意味で認められない、ねェ」
魔法使い「じゃあ、そうなっちゃう感じ、ですか……?」
禁術娘「構えなくていい。アタシはこんな下らない殺し合いは好きじゃない。襲いかかってくる相手には容赦できないが、そうじゃない相手をどうこうしようとも思わないよ、ねェ」
魔法使い「じゃあ、ちょっと安心してもいいんですよね……?」
禁術娘「アンタならこの舌ピアスに加えてあげてもいいんだけど、ねェ」

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Post-0163

戦士「さ、花も手向けたしそろそろ帰るか。柄にもない事をしたせいか、ちょっと疲れたぜ」
盗賊娘「うん、帰ろう。帰ったら酒場でエールを飲んで、たまにサウナにも行くといいよ」
戦士「サウナか、いいな。散々我慢した後に引っかけるエールが最高だよな」
蛮族娘「サウナ?何?」
戦士「あー、なんて言うんだ、あれ。自分を蒸すんだよ」
蛮族娘「蒸す?自分、食べる?愚か?」
戦士「やってる事は我慢大会だから賢くはねえな。が、まあ一回行って見ろよ」
盗賊娘「帰ったら、一緒に行く?」
蛮族娘「試す、良い事。試さず、断る、勇気ない」
盗賊娘「きっと気に入るよ」
戦士「また森で狼呼ぶのか?」
蛮族娘「ううん。もう、狼、仲間。必要ない、呼ぶ、しない」
盗賊娘「そうだね。友達でも用のないときに一杯呼ぶと迷惑だもんね」
戦士「寂しい時に呼ぶのは用があるって言うけどな」

蛮族娘「……?」
盗賊娘「……狼でも、熊でもない気配!」
戦士「お、蛮族娘、熊の皮被るのか?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「目の錯覚?蛮族娘が薄く光ってる!?」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「斧振り回しながら突っ込んでった……。あれは手負いの猪!でかい!避けろ蛮族娘!」
蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
盗賊娘「あの巨体の突進を前から受け止められるの……嘘……」
戦士「そのまま投げ飛ばして斧で止め。やってる事が熊だぞ」

蛮族娘「ぐらぁーう゛ぁー!」
戦士「こっちむいて突っ込んでくるな……」
盗賊娘「ちょ、ちょっとやめて、蛮族娘!?」
戦士「じゃあちょっと失礼して……おら!」
盗賊娘「受け止めて持ち上げるの……?」
戦士「相撲じゃまだ負けないからな。落ち着け……ないんだな。ちょっと締めるぞ。毛皮が邪魔だ」
蛮族娘「……?苦しい、戦士、やめる、して」
盗賊娘「正気に戻った……」
戦士「あー、毛皮が原因か」
蛮族娘「勇者、熊、力、借りる。熊の勇者、全て、勝つ」
戦士「強いのはめちゃくちゃわかったから、ちょっと使い方考えようぜ」

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Post-0162

魔法使い「戦士さん達そろそろ帰ってきますね。せせらぎ村のワインでも買いに行きましょう」
ごろつき「なあねーちゃん、俺たちと遊ぼうぜ?」
少女「近づくな。街ごと吹き飛ばされたいのか、ねェ?」
ごろつき「おー怖い怖い。いいから付き合えよ」
魔法使い「あれ、あちこちにピアスをつけてる女の子だ。ちょっと怖いけど困ってるんだよね、きっと」
魔法使い「ねえ、ナンパ断られて食い下がるのは格好良くないよ」
ごろつき「あンだって?って、魔法使いか……」
魔法使い「あ、僕のこと知ってるんだ。じゃあわかるよね?僕殴られても引き下がらないよ?」
ごろつき「けッ、腰巾着の分際で!戦士とかが来る前に見逃してやるよ」
魔法使い「戦士さん今いないですけどね。でも見逃してくれるなら。さ、行きましょう」
少女「触んな!気安いんだよ、ねェ?」
魔法使い「ご、ごめんね。連れ出すのが嫌なんじゃなくて触ったのが嫌だったんだよね。それは本当にごめん」
少女「ちッ、ついてってやるよ。お代になんか奢って貰うよ、ねェ?」
魔法使い「あはは、じゃあお茶でも。これって僕がナンパした事になるのかな?」

魔法使い「落ち着いた?ここのお茶は茶葉も蜂蜜もいいんだよね」
少女「悪かない、ねェ」
魔法使い「気に入って貰えて良かった」
魔法使い「見かけない顔だけど、もし良かったら力になるよ」
少女「んー。まあ素人になら話してもいいかも、ねェ」

魔法使い「なるほど、禁術を求めて旅立った兄を探している、と。黒髪でいつもニヤニヤしていて口癖が『ねぃ』。」
少女「そう、手段のために目的を選ばないクソ野郎だ。禁術が漏れる前に殺さないと、ねェ?」
魔法使い「ごめん、僕には心当たりがある。そして、僕らのせいでお兄さんはもうこの世にいない」
少女「……なんだと……!?口を慎め、お前は今街と共に死ぬ運命の分岐路にいるぞ」

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Post-0161

黒騎士「君と最後に打ち合ってからどれくらいになるだろうな。随分名を上げたようだ」
騎士「いえいえ。黒騎士殿に師として教えを請うたからこそ、今の私があります」
黒騎士「主を定めず流浪に生きる私に教えを乞いに来た時には驚いたものだ」
騎士「いえ、黒騎士殿は誰よりも騎士として素晴らしい。主に悪意を向けた貴族を単身討伐し、責任として騎士号を返上された。誰にでもできる事ではない」
黒騎士「はは、なるほど、剣の腕ではなく行いを見ての事だったのか。その行いも褒められたものではないが」
騎士「何を仰るか。黒騎士殿の勲は王国中に知れる。行いと勲が揃っていれば、小僧の私が惹かれるのも当然」
黒騎士「まあ実際に本当に褒められたものではないのだ」
騎士「そうでなければ流浪の身で再度騎士号など与えられません」
黒騎士「まあ、それで領地を貰わなかった事は幸いではある」
騎士「流浪できないからですか?」
黒騎士「いや、そうではない。それより、君は今も制度だけでなく全てを俯瞰して行動できているか?」
騎士「もちろんです」
黒騎士「ならば良い。制度だけで救えない、力だけでも掬えない、知恵がなければ救えない。立場があるからこそ、判断を誤ってはならないのだ」
騎士「当然です。私だって、身に染みて思っております」
黒騎士「あの件か……。いい。失敗は取り戻せない。しかし、生きている以上次の失敗を防がねばならない」
騎士「そうですね。いつか、師である黒騎士殿に会わせたい男達がいます。癖はありますが気のいい奴らです」
黒騎士「良い仲間に恵まれたのだな……。心から祝福する。私で良ければいつでも会わせてくれ」

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