Post-0102

盗賊「森が深いな……。木の根に足を取られるな。転ぶと痛いでは済まないぞ」
僧侶「盗賊さんは野伏みたいに野外も得意ですね」
盗賊「はは、色々あって、な。しかし先が見えない」
騎士「む。先刻から、小さく歌のような何かが……」
魔法使い「歌……あ……めまいが……」
蛮族娘「せらっぱ!かみーれ、うぇけな、りーば!」(突然耳を塞ぐ)
魔法使い「この眠さ、魔法です……!なら、<魔力除外壁>!これで……!違う、魔力じゃない、歌だ……」(倒れる)
盗賊「魔法使いよくやった!みんな耳を塞げ!」

(槍を持った仮面の戦士達が襲いかかってくる)

戦士「塞いでる暇ねーだろ!なんだこの馬鹿力!?その体格で出せる力じゃねーだろ!」
騎士「分かっていると思うが殺すなよ。おそらく蛮族娘の関係者だ」

蛮族娘「あが、らいらまーな、でぃあっが!」
??「だいあ、ぐのーら、でぃしあ!」
蛮族娘「やーが、かみーれ!戦士、勇士、あぶらーば!」

(戦士達が槍を引く)
(フェイスペイントの女が木の陰から出てくる)

??「わかった、すまない、勇者たち」
蛮族娘「大丈夫、呪術女、敵、違う」
呪術女「すまない、勇者達。我、呪術女。今、勇者、いない。我、集落、まもる、している」
騎士「なるほど、集落の長を代行しているのだな。私は騎士。よろしくお願いする」
呪術女「鉄の塊、我、強い、嫌。でも、鉄の塊、勇者、あれば、我、辛い、しない」
僧侶「魔法使いさん、<覚醒>です。大丈夫ですか?」
魔法使い「あ、おはようございます。さっきのあれ、多分魔法じゃなく、近いけど違う技術です。面白い……です!」
盗賊「少し空気読もうか」

#ちょっとズレてるお人好しども


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※収録に当たって多少手直ししているものがあります。

Post-0099

騎士「彼女の状況を詳しく知りたいが、こうも片言だと……」
盗賊「ゆっくり聞くしかないな」
蛮族娘「誉れなき、行い!オレ、勇士、助ける、なかった!誉れなき、もの、ども!」
魔法使い「駄目です。多分急ぎです。<対話>!」
蛮族娘「よくもオレの兄を!油断させて手を出すとは、恥を知れ!」
蛮族娘「寄るな弱き者!オレに邪術をかけるなら舌を噛む!」
魔法使い「うん。大丈夫だよ。君の勇気はわかるよ。くやしいね。話を聞かせて」
蛮族娘「……!?話が、わかる……!?」
魔法使い「邪術はね、人と仲良くするためにあるんだよ」
戦士「名前を教えてくれるか、勇士の妹」
蛮族娘「勇士を知っているのか!?お前、戦士か!オレの許嫁の!」
戦士「勇士は知ってるが許嫁は知らねえ」
騎士「まあ嘘をつけるほどの頭はないからな」


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Post-0098

盗賊「辺境との境の警備、ねえ。紳士協定でお互い手を出さないんだろ」
騎士「紳士協定があるからこそ、だな。お互い見張り合っている建前が必要だ」
戦士「一日歩いてそれなりの金、酒も飲めるしいいんじゃねーの?」
魔法使い「あ、あそこに誰かが!」
僧侶「いけない、怪我をしている……!」

魔法使い「ちょっとどこを見ていいかわかりませんね。僕には刺激が強い露出度です」
戦士「あまり近づくなよ、素手でも首を引きちぎれる筋肉をしてる」
蛮族娘「……?」
僧侶「気づきましたか?」
蛮族娘「卑怯!先に、手を出した!勇士、兄、誉れなき、行い!」
騎士「こちらの言葉が……誉れなき行い?」
蛮族娘「戦士、兄、勇士、約束、守る!戦士、兄、部族、助ける!オレ、勝てない、だった。悔しい、悔しい、悔しい!」
盗賊「お、おい、泣くな。戦士、知り合いか?」
戦士「知らねえ。でも勇士は知ってる。お前、勇士の妹か……?」
蛮族娘「戦士、オレ、いいなづけ、兄とオレ、助ける、約束!」
魔法使い「いいなづけ……?」
戦士「おい魔法使い、なんで冷たい目で見るんだ……?」


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Post-0097

術士「盗賊娘、ちょっといいか」
盗賊娘「はい、もちろん」
術士「聖騎士女が眩しいのは分かる。俺もそう思う。ただ、あまり真似しようとするな」
盗賊娘「はい……?」
術士「聖騎士女は天才だ。なんでもできる。のが、神の酷いところだよ」
盗賊娘「天才なのに、ですか?」
術士「聖騎士女は努力すればなんでもできる。そして、何でもできるから何にでも努力する。常に次々に手を出す。休む暇がない。お前も完璧でない事が多すぎて努力をしすぎる。少し休め」
盗賊娘「私も、早く、みんなの役に立ちたくて……」
術士「もう役に立っている。聖騎士女はできるから立ち止まらない。お前は足りないから立ち止まらない。でも、それは危うい。もっとゆっくり歩け。おぼつかない者が速く歩くと転ぶ」
盗賊娘「はい、ありがとうございます」
術士「本当は聖騎士女にも言いたいんだが、あいつは聞かないからな……」
盗賊娘「はい……」
剣士「おい、術士、盗賊娘を泣かせているのか……?さすがにお前相手でも許せんな」
術士「おい勘弁してくれよ。俺は抜く剣がない」
盗賊娘「違うんです、嬉しくて……」
剣士「そうか、なら良い……」
盗賊娘「そう言ってくれるのも嬉しいんです……」


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Post-0096

貴族「なんなんだあいつら!?」
貴族「組織に属していないから圧力がかけられない!」
貴族「金で動かないから金で黙らせられない!」
貴族「下手に手を出したらこっちの命が危ない!」
貴族「なんであんな奴らがいるんだ!」
執事「お怒りですな」
貴族「なぜ貴族の私が、冒険者どもを恐れて行動しなければならないのだ!?」
??「公明正大でおイタせずに生きれば何も恐れなくていいよ」
貴族「!?」

貴族「はぁ、一旦儲かる事からは手を引くか」
執事「はい、旦那様」
貴族「ええい!腹が立つ!(カップを執事に投げつけようとして止める)」
貴族「こんなくだらない事で危険には会いたくないな……」


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Post-0095

戦士「狭い通路に射手が5人。殺意たけー。さすがに根性じゃ通して貰えないな」
騎士「クロスボウだと鎧も貫通するな」
盗賊「警告無しで撃ってきたぞ」
魔法使い「<不可視障壁>!」
僧侶「なぜコストの低い<障壁>ではないのですか?」
魔法使い「みなさん、もちろん突破ですよね?」
戦士「もちろん。何かいい方法あるのか?」
魔法使い「<魔法の手>はものを動かします。重さに関係なくなんでも。魔法で作ったものでも」
盗賊「……!お前、<棘の壁>出さないだけ優しいな」
魔法使い「じゃあいきますよー!」


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Post-0094

僧侶「今日はお布施を持って参りました」
シスター「感謝にたえません、ありがたく頂戴します」
子供達「僧侶のおじさん、今日は何で遊んでいくー?」
僧侶「はは、みんなのお話を聞かせて貰おうかな」
シスター「子供達、ちょっと大事なお話があるから、向こうの部屋に行ってドアを閉めてくれる?」
子供達「はーい」
シスター「いい子ね……おい、それ以上近づくと、祈りの先が変わるぞ」
僧侶「面目ない、どうやら私が狙われている様子。出て行きます」
シスター「はッ、お優しい僧侶さんがやられたら子供が泣くだろうよ」
僧侶「ありがとうございます。……すぐ片付けます」
シスター「予備のメイス貸しな。なまってて殺しちまったら意味ない」

子供達「もういいー?」
シスター「お待たせしました。僧侶さん急用で帰ってしまいました」
子供達「えー?」
シスター「今日は特別に生クリームをのせたお菓子を食べましょうか」


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Post-0093

魔法使い「ちょっと面白い事を発見したんです」
僧侶「面白い事、ですか?」
魔法使い「ええ。便利魔法の<振動>なんですけど、これを長く使うと振動しているものが熱くなるんです」
僧侶「面白いですね」
魔法使い「調べてみて、多分なんですけど、『熱い』っていうのって、多分『揺れ』と関係あるんですよね。これなにか新しい魔法にできないかな……?」

魔法使い「という事で新しい魔法ができました。<加熱>です。やっぱり振動させると熱くなるんです」
僧侶「これ、食べ物を温めるのにいいですね」
盗賊「人間につかったらグロい事になるからやめておけよ」

盗賊娘「っていう事があったんです」
聖騎士女「ふむ……。振動。衝撃。これは……」

聖騎士女「やはりな。弱い<衝撃>を長く照射すれば加熱できる」
術士「天才なのもほどほどにしとけよ」


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Post-0092

僧侶「こうやって二人でお話しするのも久しぶりですね」
シスター「聞きました……って、言っても本性は見抜かれてるね。聞いたよ、邪神を封印したんだろ?」
僧侶「ええ、私ではなく仲間の魔法使いさんが」
シスター「ついに、敵が取れたんだね」
僧侶「いえ、あの子の敵は私です。あの手応えは一生消えない」
シスター「あんたには辛い思いをさせちまった」
僧侶「いえ、あなたが言ってくれなければ、私は自分で選ばなければならなかった」
シスター「そんな綺麗なもんじゃないよ」
僧侶「だから、私は今日来たのです。あなたは間違っていなかった。だからご自身を責める必要はありません」
シスター「はッ、いっちょ前にあたしを許すと?違うね、あたしが罪深かったのは、あんたが手を下した瞬間、奴の加護が一瞬なくなったのを喜んだ事だよ。あの子と、あんたと、世界を天秤にかけちまった。猟犬として仕事を果たした瞬間、あたしは人間じゃなく狗だったのさ」
僧侶「そこまでご自身を責めなくても」
シスター「あんたもだよ。どうせあたしたちは自分を許せない。だから人を救うんだろ。次は全員救えよ」
僧侶「ありがとう……ございます」

シスター「お気をつけてお帰り下さいね」
僧侶「お世話になりました。また」
子供「シスター、今日のおやつはなに?」
シスター「ホットケーキに蜂蜜をかけましょうか」


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Post-0091

剣士「聖騎士女さん、<衝撃>の練習を?」
聖騎士女「ああ、天啓を果たした後も<衝撃>は残る。これをどう使うかを考えねば」
術士「あいかわらず真面目だな。例えば狭く弱く使って対人に使えないか?」
聖騎士女「なるほど、今まで強く広く使ってきたが、冒険者ならそちらの方が良さそうだ」
盗賊娘「ごはんですよー」

聖騎士女「盗賊娘は料理が上手いな」
剣士「安い肉なのに驚くほど柔らかい。余分な脂がなくむしろ好みだ」
術士「安い肉を丹念に叩いて筋切りしたんだな」
聖騎士女「ふむ、筋切り……」

聖騎士女「今日は私が料理をしよう」
剣士「いいですよ、私がします」
術士「そうだな」
聖騎士女「いいから。安い肉を買ってきた」
(目をつぶって手をかざす)
聖騎士女「優しく、小さく。<衝撃>」
(ヴゥン)

剣士「見事に飛び散りましたね」
術士「やりたい事だけは理解できた」
聖騎士女「面目ない」
盗賊娘「聖騎士女さんも失敗するんですね」
聖騎士女「むしろ誰よりも失敗する。そうしないと身につかないからな」


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